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読書メモ

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読書ブログなどで取り上げられることが少ない本を中心にしています。
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記事一覧

対話が成立しない国

対話が成立しない国

宮台真司氏が暴漢に襲われ、首などを切られたとのこと。

犯人はまだ捕まっていません。事件についての無責任な憶測は控えます。早く元気になって欲しいです。

私が、宮台氏を初めて知ったのは、平成8年ごろです。『終わりなき日常を生きろ』という彼の本が、話題になっていました。

彼は、新進気鋭の社会学者という触れ込みで、テレビの討論番組やニュースショーのコメンテータとして、当時よく見かけました。例えば、平

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今までの自分に疑いを持つ

今までの自分に疑いを持つ

とても示唆に富んだ言葉を紹介します。

塩野七生『ルネサンスとは何であったのか』から引用しました。

この言葉と関連して塩野は、池内恵との対談の中で、キリスト教世界とイスラム世界との比較に話題が及んだ際、このように発言しています。

注)引用は上記の対談から抜粋しました。

特に、「自らに疑いを持つことで、疑いを持って自分を見つめ切った後にしか、本当の飛躍がないことを。」という言葉は、平穏無事な今

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知ると「解る」

知ると「解る」

阿部謹也さんという学者がいた。

ドイツ中世の歴史が専門で、社会史と呼ばれる分野で数々の実績を残された。例えば、『ハーメルンの笛吹き男 - 伝説とその世界』は、40年以上の長きにわたって読み継がれている阿部さんの代表作だ。文庫本として現在でも手軽に読める。

また、阿部さんは、日本人の意識や行動様式を拘束している世間なるものにも大きな問題意識を持ち、『「世間」とは何か』をはじめとする著作を発表。話

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求めよさらば与えられん

求めよさらば与えられん

週刊ブックレビューというテレビ番組が、かつてありました。児玉清が司会を長年担当。毎回3人の書評ゲストが登場して、自分がおすすめする本をめぐって、児玉をはじめとする司会者たちと、絶妙なやり取りを進める番組でした。

書評ゲストの1人として、作家の中野孝次が時々出演していました。和服を着て、頑固そうな風貌で、本の魅力を愚直に語っていた姿が印象に残っています。中野の著は、『清貧の思想』までたくさん読んで

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金子光晴 反対

金子光晴 反対

反対    金子光晴

僕は少年の頃
学校に反対だった。
僕は、いままた
働くことに反対だ。

ぼくは第一、健康とか
正義とかが大きらひなのだ。
健康で正しいほど
人間を無情にするものはない。

むろん、やまと魂は反対だ
義理人情もへどが出る。
いつの政府にも反対であり、
文壇画壇にも尻をむけてゐる。

なにしに生まれてきたと問はるれば、
躊躇なく答へよう。反対しにと。
ぼくは、東にゐるときは、

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いつもこころに太陽と青空を

いつもこころに太陽と青空を

この詩を読んでみてください。

タ イ ト ル : な り た い

北海道の遠軽という町に教護院北海道家庭学校があります。
そこで校長を務めた谷昌恒さんの著書『教育力の原点-家庭学校と少年たち』を読んでいて出会った詩です。
千歳の少年院に入っていた和規という少年が創りました。

ストレートに自分の心情を綴っています。
これからどう生きるのかをきっぱり決意しています。
彼の真っすぐさは、日々の生活

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