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エゾラノ短編マガジン

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蝦空千鶴が書いた短編小説。
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『キャンバスとゴミ箱が花になった話』シュールレアリスム“Advanced”(短篇)+実験詩『四季色花の話』

『キャンバスとゴミ箱が花になった話』シュールレアリスム“Advanced”(短篇)+実験詩『四季色花の話』

☆『キャンバスとゴミ箱が花になった話』
シュールレアリスム“Advanced”(実験短編小説) というわけで、オレは物騒な爆発音で無情にも叩き起こされた。
 ドコ――――――ッッ……! バコ―――ンッッッ!!
 一体どこの馬鹿が、こんな朝っぱらに騒いでいるのだろうか。
 オレは、ハッと目を開けた。
 すると──。
 なんとなんとなんとぉ!!
 オレの部屋の天井が、
たった今、撤去と解体作業が行われ

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幻想短篇:『花の世界で暮らす少女の話』

幻想短篇:『花の世界で暮らす少女の話』

(原作:ジュール・シュペルヴィエル)

 優しい朝の光と、遠くから聞こえてくる鳥のさえずりで、
わたしは目が覚めました。
 視界に入ってくる最初の光景は、
天使が優美に舞うフレスコ画の天井です。
 誰が描いたフレスコ画なのかは、わかりません。
 それにしても――。
 とてもとても、とーっても、高い天井です。
 おそらく、わたしには一生、
手が届きそうにない――と言ってもいいくらい天井は高いです。

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短編小説『ちーちゃんの青春混沌日和』

短編小説『ちーちゃんの青春混沌日和』

「きっぱりいいきろう。不可思議はつねに美しい、どのような不可思議も美しい、それどころか不可思議のほかに美しいものはない。」
(アンドレ・ブルトン著『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』より 
 訳:巖谷國士)

 これは朝の段階で既に始まっている話だった。
 なんだかドロネバのヘドロみたいな長くて厭な夢の沼から脱出し――、
 ようやく目覚めたあたしの視界に入ってきたのは、
いつものあたしの住む狭いボロ

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