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#文学

孤絶した場所にいる存在 —夏目漱石の小説「坊つちやん」について—

孤絶した場所にいる存在 —夏目漱石の小説「坊つちやん」について—

 今回は、夏目漱石の小説「坊つちやん」について見ていきます。
 この小説は、一人称が「おれ」である人物の語りで展開されます。この「おれ」については、精神のありようが、ほんの少しおかしい、そんな人物であると言えます。では、一体、どこがおかしいのでしょうか。それについては、登場人物である清の言葉を借りたいと思います。清は、「おれ」の性格について、「真っ直」(まっすぐ)な気性である、と評しています。その

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第十八回読書会:夏目漱石『門』レポート(感想・レビュー)

第十八回読書会:夏目漱石『門』レポート(感想・レビュー)

夏目漱石前期三部作のラストを飾るのが本作品です。

3冊の中で一番読みやすく、ターニングポイントと言われる意味が分かる作品でした。

読書会でも盛り上がり、「門」とは一体何を意味するのか?どう解釈するのか?がやはり焦点となりました。

雨の中ご参加いただいた皆さま!ありがとうございました!

参加者の感想をご紹介良い印象の感想は……
・100年前に書かれたとは思えないほど、今読んでも新しい
・仲睦

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【考察】私が『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を、村上春樹の入門小説として推す理由

【考察】私が『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を、村上春樹の入門小説として推す理由

・村上春樹の小説を読んでみようと思うけど、何から読めば良いのかわからない。
・小説は読まないけど、村上春樹は有名なので読んでみたい。
・一番有名な『ノルウェイの森』を読んでみたけど、読んでも何が良いのかわからない。

日本はもちろんのこと、世界でも相当有名な作家、村上春樹。

一番売れたであろう『ノルウェイの森』や『1Q84』、最近発売された『騎士団長殺し』など、ニュースでも取り上げられることが多

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軽やかな青春の一ページ -夏目漱石『三四郎』についての随想

軽やかな青春の一ページ -夏目漱石『三四郎』についての随想

【水曜日は文学の日】


あらゆる芸術家には最盛期というものがあります。どれほど平板な創作人生に見えようと、始まりと終わりがある以上、最も充実した期間が生まれてきます。

初期の頃は初々しく、多少崩れたところがあっても、勢いに満ちて駆け抜ける力がある。

円熟期になると、それまでの技法が集積して、固有の美を発すると同時にある種の停滞に向かう。晩年は、そうした円熟も停滞も消え、枯れ切った諦念と

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小説で何がプロとアマの差を分けるのか?

小説で何がプロとアマの差を分けるのか?

前回のnoteにも書いた通り、この10日間でアマチュアネット小説を一気に70作読みました。

まず70作読んで感じたことは・・・
リア友には小説を書いている人は少ないのですが、世の中にはたくさん物書きがいるんだなあって思いました。

仲間がいて嬉しいなと思いました。

一番思ったのは、膨大な分量を、コンスタントに書き続けている人たちがいっぱいいる!ってことでした。

小説って思っているよりも書き上

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