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気になった本をただただ読む。そのまとめ。
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『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.2

『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.2

以下の〈vol.1〉の続きです。
引用した文章をササっと読むだけでも気付きが多いと思います。

第3章 家族・資本主義・アヌスP79¶1
「資本主義というイデオロギーの最強の武器は、オイディプスをある社会的自然、ある心追を再構成させるがままにしておく。」

ホモセクシュアリティを弁明するために、古代ギリシア時代の文献をさかのぼることが多く、その迂回によって説明されうる。今となっては幻想的となった物

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競争には99%勝つことができない

競争には99%勝つことができない

「不自由な男たち」というのは殆ど〈形式名詞的〉だ。不自由な男は、男内部に存在している一部分でもあれば、男社会に存在している男の一部分でもある。このタイトルは、実質的に中身がない。ネガティブなタイトルに惹かれて購入を迫られる消費者に向けることで、空虚な意味を得ることが出来るような、無意味な〈形式名詞〉だ。しかしながら、このような空虚な意味を、ある意味で明確な当事者意識をもって目にすることが出来る男た

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『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.1

『ホモセクシュアルな欲望』を読み解く vol.1

1993年刊行の『ホモセクシュアルな欲望』には、一貫した《異性愛規範の問いただし》があります。
「問い直されるべきなのは、ホモセクシュアル側ではなくヘテロセクシュアル側である。」という主張です。

当時、この視点には目新しいものがありました。
しかしながら、それが今の我々の「無意識的な何か」になっているとは言えません。

30年前の著作ですが、そのような意味において(非常に残念であるという意図も込

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ジェンダーの海から自分らしさを見つけたい

ジェンダーの海から自分らしさを見つけたい

なぜ
《「自分らしさ」に疑問を抱えるのか?》
《「自分らしさ」に納得するのか?》
《「自分らしさ」に振り回されるのか?》

***

「自分らしさ」が起点の思案は、常に外部に接続された自己が、その外部の広い範囲を占めている《分からないもの》に翻弄されていることの証明ほかなりません。

外部に全ての真実が包摂されているわけがない、と理解しているつもりでも、人というものは《他者》や《自分以外》のモノを

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あなたの「知ったかぶり」が、セクシュアルマイノリティを追い込む 『LGBTを読み解く』/森山至貴

あなたの「知ったかぶり」が、セクシュアルマイノリティを追い込む 『LGBTを読み解く』/森山至貴

「偏見がない」では、差別はなくならない。

マジョリティとされる大多数は、「偏見がない」「(マイノリティも)普通」と主張する。この主張の背後には、私というマジョリティと、その他のマイノリティという二項対立において、明確に区別していることを暗に示します。

区別して相対系に分けることは、理解の促進に一役買うかもしれませんが、性の問題については、おそらくマイノリティに対する、不当さを生むきっかけになる

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闇 の 自 己 啓 発 , 光 の 自 己 啓 発 『闇の自己啓発』/江永泉 他

闇 の 自 己 啓 発 , 光 の 自 己 啓 発 『闇の自己啓発』/江永泉 他

※長くなってしまいました…。

私が過ごした過去になかった言葉を、現在多く耳にする。全く理解できない異質なものもあれば、理解できないような不思議な言葉もある。その言葉は果たして、真に新しくできた言葉なのか、それとも、人の深層心理よりも深い、可視化できない何かを通奏低音として、もともと存在していたとある「概念」なのか、それを判断することはほぼ無理なのかもしれない。

近年は、とある事象たちは分かりや

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