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【現代詩】『 初 夏 』

 『 初 夏 』

あかきみどりむらさき





みかんの房を頬張る飛沫に

乾ききった喉元が

呼応する



見ず知らずの太陽が

妬けに馴れ馴れしいのは

ど う し て か

し ら ん


「 、 」

ゆっくりと たいせつに

 登 り 詰 め て ゆ く 

坂 道 の 途 中

小さな胸に

大きな宇宙を

抱き寄せるように

深 呼 吸 す る




地平線に平行に

飽く迄洒落て

傾けてみた

「 、 」

麦茶の入った

ビールジョッキイ

焼け焦げるほどに、愛したお前は

天の上



うだる・現世界

涙を拭いて涎(よだれ)も拭いた

古く湿気た塵紙が

軈(やが)て大きく膨れ上がって

お前を励ます

紫陽花になる



2024
赤黄緑紫


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