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#SF小説
巨神の山(SFショートショート)
まだ幼かったミノルの記憶に、それはハッキリ焼きつけられた。彼が生まれ育った村から見える山の陰から、白い服を着た巨大な男が現れたのだ。
「ばあば。あれは一体なんじゃ」
身も凍る戦慄を感じながら、幼な子は祖母に問いかけた。遥かに望む山と同じ大きさの巨大な男が突然視界に現れたのだ。想像を超える事態である。が、それを見たばあばの顔は穏やかで、当然のように、その大いなる存在を受けとめていた。
「あれ
22世紀の学校(SFショートショート)
あらすじ
22世紀の学校を描いたショートショートです。
22世紀の日本の高校は、以前とは様変わりした。
21世紀の大型感染症でこりたため、オンライン授業がメインになったのだ。国語や数学はパソコンを通じて勉強した。
ちなみに英語の授業はなくなったのだ。
なぜならネックレス型の小型翻訳機が普及して英語に限らず世界で使われる主要言語は大抵瞬時に日本語に訳してくれるから。
日本人に限らず世
人魚のやってくる渚(SFショートショート)
あらすじ
オカルト雑誌の編集者は、人魚が出たという話を聞いて、その場所に行くが……。
「人魚の画像を手に入れたけど、見てみるか」
まるで小学生のガキみたいな笑顔を浮かべて、同僚の海野(うんの)がビジホに浮かぶホロ画像を俺に見せる。
ちなみに俺と海野が記者を勤める雑誌ってのは、そんな高尚な雑誌じゃない。
扱うネタは心霊写真に座敷童、宇宙人やUFО、ツチノコ、口裂け女、雪男に雪女……そんな
コロナのあとで(SFショートショート)
あらすじ
2020年に始まったコロナ禍にこりた未来の人類は引きこもりの生活を送るようになっていた。主人公の男性も、女性型の人造人間と一緒に暮らしていたが……。
2020年に始まったコロナ禍は、人類の方向性を一変させた。新たなワクチンを開発しても別の変異株が生まれるためいつまでたってもコロナ禍は収まらず、人類は室内に引きこもるようになったのだ。
一方テクノロジーの進歩は、人間を労働から解放
暗殺ロボット(SFショートショート)
あらすじ
22世紀の未来。パースノイドと呼ばれる人造人間が人類に対し反乱を起こしたのだが……。
22世紀の世界は、人工頭脳が進化したパースノイドと呼ばれる機械人間が人類に対し反乱を起こし、ロボット対人間の、戦争が続いていた。
やがて人類側のリーダーに優秀かつカリスマ性のある女性がつき、パースノイド側は不利な状況に置かれる。
ちょうどその頃ヒト陣営も機械軍団も、タイムボートを発明し
追われる男(SFショートショート)
あらすじ
「俺」はロボットに追われていた。なぜなら……。
俺はロボットに追われていた。追ってくるロボットは身長3メートルはある。当然だけど、俺よりもずっと身長が上なのだ。ロボットはラバーコーティングされた手にナイフを持ち息も切らせず、逃げる俺を追ってくる。
周囲には誰もいない。無人の荒野だ。俺を助けてくれそうな者は、どこにもいない。俺は汗まみれになって、走り続けた。すでに腿はパンパンに
楽園は、ここにはない(SFショートショート)
あらすじ
経済的に没落した未来の日本では自殺が急増。自分だけでなく他人を巻き込む自死事件も頻発していた。そんな状況を食い止めるため日本政府は、ある妙案を思いつく。
肌を突き刺す冷たい雨が降りだしてから、30分が経過している。いつやむともしれないそんな冬の空の下、俺は脚をひきずるように歩いていた。
今日はバイト先に行く時、エアカーを使わず電車で行ったのが失敗の原因である。
頭上10センチ
異形の大陸(SFショートショート)
あらすじ
時は未来。地球から派遣された宇宙探査艦は、未知の惑星に到達するが……。
ドロシー・ミラー艦長の乗る宇宙探査艦は、銀河系内の、地球人にとっては未知の宙域を航行していた。
やがて眼前に地球そっくりの青い惑星が現れる。白い雲があり、海があり、陸地が存在していたのだ。
惑星の周囲は3つの衛星が回っており、人工衛星の姿もある。
「見てください。あれを!」
部下の1人が大声をあげた。
「賞金稼ぎ」(SFショートショート)
あらすじ
未来の宇宙を股にかける賞金稼ぎの男。彼は凶悪犯のケインがムザ星にいるという情報をキャッチするのだが……。
ケインが消息を絶ったのは、地球時間で20年前。奴は伝説のギャングで、殺人、強盗何でもありの凶悪犯だ。
その首には今も多額の賞金がかけられていた。賞金稼ぎの俺には、魅力的な標的だ。
そのケインが、ムザ星にいるという情報が入った。
ムザの文明は中世の地球レベル。惑星全体