RYOKO@北欧で働く理学療法士

北欧ノルウェーで働く理学療法士。

RYOKO@北欧で働く理学療法士

北欧ノルウェーで働く理学療法士。

マガジン

  • アルツハイマー村、行ってみた

    ノルウェー・オスロ市にあるアルツハイマー村を訪れた時の様子を写真を交えてお伝えします。

  • 【リハビリテーションの変遷期】~北欧ノルウェーの取り組み~

    ノルウェーのリハビリテーション業界には、革新が求められています。医療従事者や専門家たちが手を組み、「救われた命は、生き続けるべきだ」という信念を掲げリハビリテーションの重要性を叫んでいます。さらに、高齢者やフレイル高齢者に対するリハビリのニーズの増加も明らかになっています。リハビリテーションの定義も見直され、個々の患者や利用者の生活状況と目標を基にした包括的なアプローチが必要とされています。ノルウェーで起こるリハビリテーション改革・問題点などこちらのマガジンにまとめていきたいと思います。

  • 北欧界隈でのペインリハ

    「北欧界隈でのペインリハ」マガジンでは、ノルウェーで理学療法(PT)学生として、そしてPTとしての日々の中での「痛み」を訴える方々に対する経験談などを皆さんと分かち合いながら、北欧界隈のペインリハビリテーションの考え方や概念の変化などを参考文献を交えて紹介していきます。 エッセイ風な記事もあれば、がっつり研究記事紹介なスタイルもあります。お暇なときにぜひ覗いてみてください。コメントなど大歓迎です♪XもしているのでDMなどもお気軽にどうぞ!

  • 【ノーリフティングケア】~北欧ノルウェーの福祉用具~

    世界中で腰痛は大きな問題となっており、医療従事者の間では他の職業に比べて特に高い発生率が報告されています。このマガジンでは北欧ノルウェーで理学療法士として働く中での福祉用具・移乗技術の紹介・経験談を紹介していきたいと思います。

  • 【北欧ノルウェー】人口1400人の村で働いた日本人PTの話

    本マガジンでは、ノルウェーの田舎村で理学療法士(PT)として働いた時の生活の日々を記録しています。人口わずか1400人の小さなコミュニティでの生活と仕事の様子を通して、北欧の美しい自然に囲まれた環境でのリハビリテーションの現場を紹介します。異文化の中で働くことの挑戦と喜び、そして現地の人々との交流など、多くの興味深いエピソードが満載です。ノルウェーの田舎村での生活の魅力や、日本人の目線から見た北欧のリハビリ事情に迫る内容となっています。異国でのキャリアに挑戦したい方や、北欧の文化や海外全般の生活に興味がある方にとって、なにかインスピレーションになりますように♪

記事一覧

デジタル見守りシステムRoom Mate(ルームメイト)

5年前、地域理学療法士として働いていた時、徘徊がとても多い老人ホームに住むおじいさんがいて、その時隣の自治体の専門家の人から「ルームメイトってしってる?今度福祉…

デジタル化する高齢者施設@アルツハイマー村

こんにちは!今日もお仕事お疲れ様です♪さて、今日は以前少し触れていたアルツハイマー村でのデジタル化はどう進んでいるのかについてご紹介させてください。 1.入居者…

アルツハイマー村入居のために必要なことは本人の過去・現在・未来を全て考慮すること

前回の記事はこちらから→ アルツハイマー村への入居条件  1.部屋数は限られている前回の記事でもお話ししましたが、部屋数にも限りがあるので認知症の方全員が入居で…

アルツハイマー村への入居条件

1.認知症の診断があれば誰でもアルツハイマー村に入居できるわけではない結論からいえば、アルツハイマー村での生活やそこで提供されるサービスを有効活用できる出来る…

アルツハイマー村とは

今回はノルウェー・オスロ市が2か所運営するアルツハイマー村のひとつ「Furuset hageby(フールセット・ハーゲビー)」についてオスロ市が掲載している情報をもとに簡単な…

噂のアルツハイマー村行ってみた

1.最近ひろゆき界隈で話題になっていた「アルツハイマー村」こんにちは。人生最期の過ごし方はどうありたいかというところから、ひろゆきさんがコメントしていた南フラ…

転倒してもと言えるように~その②~

前回の記事を読んでいない方はこちらからまずは読んでいただけると嬉しいです! 転倒予防だけでいいの?~その①~ この投稿記事は、私個人の見解なので参考資料などはあ…

転倒予防だけでいいの?~その①~

1.年間で発生する股関節骨折は世界トップレベルのノルウェーノルウェーは年間約9000件の股関節骨折が発生しており、世界でもトップクラスの件数です。股関節骨折は機能…

オスロ市もついにAIを使ったシフト管理システム導入開始

1.看護師の上司が医療業務とは直接関係のないシフト作成・管理をしなければならない現状回復期で働き、看護師の直近の上司をもつ私は目の前で見てきた。朝勤・夕勤・夜…

首の慢性的な痛みは運動すれば治るのか

1.痛いから我々のところに来る原因がはっきりと分からない首の痛みは、世界中で多くの人々が経験しているやっかいなものだ。私たち医療者、特にクリニックで働いているセ…

自動寝返り支援ベッド【ターンオール】

昔の同僚で理学療法士のフレデリックが、福祉テクVarodd社に転職して福祉用具専門職についたことで、LinkedInでよくVarodd社の製品を紹介してくれるようになりました。 そ…

いたみxからだx哲学

1.フランスのポンティさん医療関係で論文を書いたことある人などは、哲学者のメルロー・ポンティだとか現象学だとか、聞いたことはあるのではないでしょうか。 私は理…

セラピスト達が集まるノルウェー最大の【痛み科学ポータル】グループ

1.Facebookのグループを紹介される痛みの科学についてどんどん惹きこまれていくなかで、メルザックやモーズリーの痛みの研究について知り、論文は読んだものの、さぁ私…

Lorimer Moseleyとの出会い

Lorimer Moseley(ロリマー・モーズリー)と聞いて「あ~あの人ね」と思う方はオーストラリアで医療関係に携わっていたり、彼の勤める医療系大学に通っているか、もしくは…

メルザックとの出会い

前回の記事3つでは、私自身が臨床実習を通して痛みを抱える方々との出会いから、【痛み】と【脳】の関係に引き込まれていくプロセスを話した。 前回の記事を読みたい方は…

ファントムペイン(幻肢痛)

その人は糖尿病と心不全が悪化して、右脚を切断しなければいけなかった。 古い義足がサイズが合わなくなって、新しい義足が届くから、実習生の私は担当を任された。 「痛…

デジタル見守りシステムRoom Mate(ルームメイト)

デジタル見守りシステムRoom Mate(ルームメイト)

5年前、地域理学療法士として働いていた時、徘徊がとても多い老人ホームに住むおじいさんがいて、その時隣の自治体の専門家の人から「ルームメイトってしってる?今度福祉テクノロジーのセミナーで話すからぜひ話でも聞いてみて!」と言われて紹介された製品が、この見守りセンサールームメイトでした。

5年経った今、まさかこんなにノルウェーの高齢者施設で使用されてるなんて、少し感慨深い気分になります。私が先日訪れた

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デジタル化する高齢者施設@アルツハイマー村

デジタル化する高齢者施設@アルツハイマー村

こんにちは!今日もお仕事お疲れ様です♪さて、今日は以前少し触れていたアルツハイマー村でのデジタル化はどう進んでいるのかについてご紹介させてください。

1.入居者全員へ配布されるデジタルブレスレットこの村では入居条件のひとつに見守りデジタルブレスレットと見守りカメラ(のようで、実はカメラではありません)の部屋への取り付けに同意する、というものがあります。

デジタルブレスレット

このブレスレット

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アルツハイマー村入居のために必要なことは本人の過去・現在・未来を全て考慮すること

アルツハイマー村入居のために必要なことは本人の過去・現在・未来を全て考慮すること

前回の記事はこちらから→ アルツハイマー村への入居条件 

1.部屋数は限られている前回の記事でもお話ししましたが、部屋数にも限りがあるので認知症の方全員が入居できるわけでもありません。回復期リハでフレイル高齢者を対象としたリハビリを行う私ですが、回復期リハ施設から自宅退院せずそのままアルツハイマー村へ入居した方も見てきました。

2.もともと自治体のサービスを受けていた入居したほとんどの方は、以

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アルツハイマー村への入居条件

アルツハイマー村への入居条件


1.認知症の診断があれば誰でもアルツハイマー村に入居できるわけではない結論からいえば、アルツハイマー村での生活やそこで提供されるサービスを有効活用できる出来る人が入居者の条件を満たすことができます。

無限に部屋数があるわけでもないですし、全ての認知症の方が誰でも入居できるわけではありません。医療スタッフや専門家が本人や家族を交えて1つ1つ丁寧に審査をしていくわけですが、基本的な入居条件というも

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アルツハイマー村とは

アルツハイマー村とは

今回はノルウェー・オスロ市が2か所運営するアルツハイマー村のひとつ「Furuset hageby(フールセット・ハーゲビー)」についてオスロ市が掲載している情報をもとに簡単な紹介をしていきたいと思います!

1.Furuset Hageby(FURUSET・シティーガーデン)

ネット界隈ではアルツハイマー村と呼ばれていますが、正確には認知症全般の主診断をもつかたを対象にした小さなコミュニティーで

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噂のアルツハイマー村行ってみた

噂のアルツハイマー村行ってみた


1.最近ひろゆき界隈で話題になっていた「アルツハイマー村」こんにちは。人生最期の過ごし方はどうありたいかというところから、ひろゆきさんがコメントしていた南フランスにあるアルツハイマー村。色々なメディアで取り上げられていました。知らない方がいらっしゃるなら、まずはこの2分ほどの動画をご覧ください♪

2.ノルウェーでもオープンしたアルツハイマー村ノルウェー・オスロに住んでいる私ですが、数年前からオ

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転倒してもと言えるように~その②~

転倒してもと言えるように~その②~

前回の記事を読んでいない方はこちらからまずは読んでいただけると嬉しいです!

転倒予防だけでいいの?~その①~

この投稿記事は、私個人の見解なので参考資料などはあまり使いません。あらかじめご了承ください。

1.転倒は100%防ぐことはできないイヤイヤ、そりゃ当たり前でしょう、そんなことは分かっているわ!と思われるかもしれません。でも、患者さんご本人やご家族にこのような事実は通用しない場合もあり

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転倒予防だけでいいの?~その①~

転倒予防だけでいいの?~その①~


1.年間で発生する股関節骨折は世界トップレベルのノルウェーノルウェーは年間約9000件の股関節骨折が発生しており、世界でもトップクラスの件数です。股関節骨折は機能レベルを低下させ、生活の質を悪化させる場合がほとんどです。全ての老人ホームへの入居のうち、40%は転倒による怪我が原因です。

2.80歳以上の2人に1人が年に少なくとも1回転倒している現状ノルウェーでは、65歳以上の3人に1人、80歳

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オスロ市もついにAIを使ったシフト管理システム導入開始

オスロ市もついにAIを使ったシフト管理システム導入開始


1.看護師の上司が医療業務とは直接関係のないシフト作成・管理をしなければならない現状回復期で働き、看護師の直近の上司をもつ私は目の前で見てきた。朝勤・夕勤・夜勤で働かなければならない看護師・介護士さんたちのシフト作成を夜遅くまでかけて作成しなければならないリーダーたちを。

インフルエンザの季節・子どもたちの学校が始まるシーズン・急に流行るコロナの時期になると、前日の夜もしくは朝イチで同僚から仕

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首の慢性的な痛みは運動すれば治るのか

首の慢性的な痛みは運動すれば治るのか

1.痛いから我々のところに来る原因がはっきりと分からない首の痛みは、世界中で多くの人々が経験しているやっかいなものだ。私たち医療者、特にクリニックで働いているセラピストの多くは「痛み」を抱える患者さんに出会い、患者さんは「痛み」をとりのぞいてくれることを期待してクリニックにいく。

ということは、私たちが「痛み」のメカニズムについて十分な理解がない限り、患者さんのそれを、取り除いてあげることはでき

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自動寝返り支援ベッド【ターンオール】

自動寝返り支援ベッド【ターンオール】

昔の同僚で理学療法士のフレデリックが、福祉テクVarodd社に転職して福祉用具専門職についたことで、LinkedInでよくVarodd社の製品を紹介してくれるようになりました。

その中でとても興味深い、かつ私自身もとても使ってみて良い経験がある自動寝返り支援ベッドを紹介していた投稿があったので、今回はその投稿の一部を紹介させてください('◇')ゞ

1.自動寝返りターンオールってなに?「Turn

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いたみxからだx哲学

いたみxからだx哲学


1.フランスのポンティさん医療関係で論文を書いたことある人などは、哲学者のメルロー・ポンティだとか現象学だとか、聞いたことはあるのではないでしょうか。

私は理学療法の専門学校に通っているときと、継続教育でレポートを書くときに叩き込まれた記憶があります。(でも難しくてなかなか理解できなかったので叩かれただけで込まれてない。。。)

現象学というのは、簡単に言えば私たちが体験することや感じることに

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セラピスト達が集まるノルウェー最大の【痛み科学ポータル】グループ

セラピスト達が集まるノルウェー最大の【痛み科学ポータル】グループ


1.Facebookのグループを紹介される痛みの科学についてどんどん惹きこまれていくなかで、メルザックやモーズリーの痛みの研究について知り、論文は読んだものの、さぁ私はこれから何をどうしたらいいのだろうかという状況だった。学生だったし臨床実習がずっとあるわけでもない。

でももっと知りたい。

そんな中、実習のバイザーから「Facebookにペインリハ関連のノルウェー人が運営しているサイトがある

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Lorimer Moseleyとの出会い

Lorimer Moseleyとの出会い

Lorimer Moseley(ロリマー・モーズリー)と聞いて「あ~あの人ね」と思う方はオーストラリアで医療関係に携わっていたり、彼の勤める医療系大学に通っているか、もしくはこの世界のどこかで痛み科学に興味がある人だろう。

Lorimer Moseley(ロリマー・モーズリー)はオーストラリアの理学療法士であり神経科学者、痛みの研究者であり、ペインサイエンスでメルザックとともに彼の名前を知らない

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メルザックとの出会い

メルザックとの出会い

前回の記事3つでは、私自身が臨床実習を通して痛みを抱える方々との出会いから、【痛み】と【脳】の関係に引き込まれていくプロセスを話した。

前回の記事を読みたい方はこちらから↓

ノルウェーの精神科で実習したときの話~【痛み】の知識を深めたくなったきっかけ~

ノルウェーの神経科病棟で実習したときの話~【痛み】の世界へどんどん引き込まれていく私~

ファントムペイン(幻肢痛)

1.メルザックとの出

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ファントムペイン(幻肢痛)

ファントムペイン(幻肢痛)

その人は糖尿病と心不全が悪化して、右脚を切断しなければいけなかった。

古い義足がサイズが合わなくなって、新しい義足が届くから、実習生の私は担当を任された。

「痛いんです、右足首が。」

実習生だった私は言葉に詰まった。なぜならその人の右足首は数年前に切断されていて存在しないのだから。

「幻肢痛ですかね、、難しいですよね、、」

実習生の私はそんな言葉くらいしかその場ではかけられなかった。

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