セラピスト達が集まるノルウェー最大の【痛み科学ポータル】グループ
1.Facebookのグループを紹介される
痛みの科学についてどんどん惹きこまれていくなかで、メルザックやモーズリーの痛みの研究について知り、論文は読んだものの、さぁ私はこれから何をどうしたらいいのだろうかという状況だった。学生だったし臨床実習がずっとあるわけでもない。
でももっと知りたい。
そんな中、実習のバイザーから「Facebookにペインリハ関連のノルウェー人が運営しているサイトがあるよー」というアドバイスをうけすぐに検索。
2.【痛みポータル】
2011年に設立されたこのグループは、2024年時点で8000人(ノルウェーレベルではかなりの人数!!)を超えるノルウェー最大の痛みに関するFBグループです。
私がメンバーになった2014年時点で800人くらいだったのを覚えています。それでも「おぉ、こんなにたくさんの同じ興味をもったメンバーがいるんだ」と嬉しくなったことを覚えています。プライベート設定されているので申請して自分もメンバーに入れてもらうことに。
このグループの目的は、痛みのみにとどまらず、筋肉や骨の問題を扱うさまざまな専門家が集まり、関連する研究やトピックについて意見を交換したり、議論したりできる場を提供することです。 議論は科学的根拠に基づいた実践に基づいて行われることを大切にしており、最新の情報や研究結果をもとにした話し合いができるようなルールを設けています。
3.痛みについて熱い議論が飛び交う交流場
2024年現在では、大きくなりすぎたのが原因なのか、ルールや規制が厳しくなったのか、管理者が本職で忙しいのか、投稿も少し落ち着いてきていますが、10年前、私がメンバーになりたての頃は、それはそれは熱い議論が繰り広げられていました。
議論のテーマは主に、生物心理社会モデルを用いての理学療法をどう行うべきか、時には症例を用いたり「〇〇の疾患をもっていて、慢性の痛みの患者さんへのアプローチ、なかなか良い方法が見つからない、アドバイスください」的なものも多かった。(もちろん個人情報は守りながら!)
数年かけてモンスターグループになっていったこともあり、痛みと向き合うあらゆるタイプのセラピストが集まる場になりました。意見が合わずにぶつかりあう場面も多々。読んでいて(私は基本ROM専でした(ていうかROM専ってもう死語?))「おいおいおい、決めつけすぎ、言いすぎじゃないの?」なんてこともありました。
でもそれだけ、みんな痛みについて理解を深めたかった。深めたい。
4.議論だけでなく有益な情報や知識も
議論だけでなく、学生だった私にとってとても有益な情報なども載せてくれるフォーラムでもありました。たとえば、こちらの記事(ノルウェーの神経科病棟で実習したときの話~【痛み】の世界へどんどん引き込まれていく私~)でお話ししたCRPS患者への理学療法士の最新のアプローチ方法などもノルウェーの大学病院でどう研究・理解されているのかなど、グループに所属しているからこそ触れる情報などもよくあがります。
せっかくなので、上記のCRPSに関してオスロ大学病院の公式ページにのっている記事の一部をこちらで紹介してこの記事を書き終わりたいとおもいます♪
「CRPS Assist」というツールを開発–
~強い痛みを伴うこの状態において、理学療法士が重要な役割を果たす~
理学療法士は、さまざまなタイプの患者に対応し、興味深くかつ難しい症状に直面することがよくあります。中には、患者に深刻な苦痛をもたらし、治療が非常に困難なケースもあります。その一例が、複雑性局所疼痛症候群(CRPS)です。
ーー中略ーー
CRPSに関する知識が限られているため、診断が難しく、治療が遅れることがありますが、欧州疼痛連合(EFIC)は「CRPS Assist」というツールを開発し、理学療法士がCRPSをより早く、より効果的に対応できるよう支援しています。このツールは、CRPSの早期発見と治療に役立ち、患者との信頼関係を築くためのコミュニケーション方法や段階的なアプローチの指導も提供しています。
「CRPS Assist」は、理学療法士が治療において包括的なアプローチを取ることを推奨しており、心理的サポートの重要性や、自律神経系の調整が症状管理に役立つことを強調しています。また、TENS(経皮的電気神経刺激)などの治療法も考慮すべき点として挙げています。
原文はこちら
原文記事で紹介されている「CRPS Assist」のホームページはこちら。
5.前回の記事はこちらから
前回の記事を読みたい方はこちらから↓
ノルウェーの精神科で実習したときの話~【痛み】の知識を深めたくなったきっかけ~
ノルウェーの神経科病棟で実習したときの話~【痛み】の世界へどんどん引き込まれていく私~
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