オスロ市もついにAIを使ったシフト管理システム導入開始
1.看護師の上司が医療業務とは直接関係のないシフト作成・管理をしなければならない現状
回復期で働き、看護師の直近の上司をもつ私は目の前で見てきた。朝勤・夕勤・夜勤で働かなければならない看護師・介護士さんたちのシフト作成を夜遅くまでかけて作成しなければならないリーダーたちを。
インフルエンザの季節・子どもたちの学校が始まるシーズン・急に流行るコロナの時期になると、前日の夜もしくは朝イチで同僚から仕事携帯に連絡が入ってくる。PTの私が仕事に来る頃には、現場はバタバタしていて。なんとかして非常勤を見つけることができたけど、彼は2時間後にしか来れない。
でも、患者さんの病態は待ってくれない。
予定していた業務を全て後回しにして電話をかけまくり、彼らのストレス度はマックス。だってそうしている間にも患者さんはナースコールをかけて助けを求めているのだから。
そのストレスはあまりにも簡単に周りに感染して、病棟の雰囲気はだんだん悪くなる。余裕がないから、医療の質も雑になる。患者さんからクレームが来る。家族からも「私の父の風呂介助はまだ?」「もっと丁寧なサービスがほしかった」と不満をぶつけられる。そうやってスタッフはみんなどんどん疲れていく。そして医療現場を去っていく。
こんなことが世界中のあらゆる医療機関で起こっているのは、きっと病院などの医療現場で働くあなたは、うんうんと頷きながら読んでくれていることだろう。
シフト作成・管理のみが仕事の不効率化の原因ではないが、少なくとも一つの大きな原因であることは間違いないと声を上げて言える。
2.AIを使ってシフト作成管理サービス導入
私の住む自治体の医療機関でも、ついにAIを利用したシフト作成管理を導入することになった投稿がLinkedInにあがったのを見て、心が少し穏やかになった。
提供会社はSynPlanというノルウェーオスロに拠点をもつ会社。AIと医療分野の専門知識を組み合わせることで、医療機関がよりスマートで効率的な人員計画ツールを活用できるよう支援サービスを提供している。
3.ノルウェー第3のテクノロジー都市トロンハイムがやってみた結果
SynPlanはオスロ市と協力提供を結ぶ前、2022年にトロンハイムというノルウェー第三の都市にもサービス試供してデータ・エビデンスを収集していた。
サービス利用後の簡単なレポートが記事になっていたのでその中身を、少しだけ簡単に紹介してみたいと思う。
トロンハイム市は、AIを活用したシフト計画ソリューションにより、高額な残業やパートタイムスタッフの費用を節約することに成功。
2022年11月23日、トロンハイム市は、AIを使った人員計画で予算の6.7%を無駄にせずに済んだ。
SynPlanは85%の精度でトロンハイム市のシフト計画をサポートして、無駄なコストを削減することができた。特に非常勤雇用の削減により、総コストの6.7%を削減できた。このプロジェクトにより、トロンハイム市は人員計画の効率化に成功して、職員の働きやすさと患者さんへのサービスの質が向上したんだ。
4.ポテンシャルがとてつもなく大きい分野
こういうサービスはこれからもっと増えて、医療者は自分の専門職を使った患者さんへの医療行為に集中し、医療の質をあげられることが人手不足の中でもできることがあるのではないか、、と少し気が軽くなった気がした。
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