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転倒してもと言えるように~その②~

前回の記事を読んでいない方はこちらからまずは読んでいただけると嬉しいです!

転倒予防だけでいいの?~その①~


この投稿記事は、私個人の見解なので参考資料などはあまり使いません。あらかじめご了承ください。

1.転倒は100%防ぐことはできない

イヤイヤ、そりゃ当たり前でしょう、そんなことは分かっているわ!と思われるかもしれません。でも、患者さんご本人やご家族にこのような事実は通用しない場合もあります。だって大好きな家族に怪我なんてしてほしいわけないじゃないですか。だけれども、特に患者さんご本人が歩きたいという強い意志があり、そのほかの周りが「こけちゃうから歩いたらダメ」という極端な場合は、事実としてお話しすることはよくあります。

「明日わたしがこの大雪の中、仕事に来る時に絶対転倒することはないと、あなたは私に100%保証することはできないのと同じで、あなたのお母さんが自ら望んで歩きたいとおっしゃっていて、歩行器を使って動き回る自由と権利がある限り、私たちはお母さんの転倒を100%防ぐことはできないんです」

2.こけたら終わり?

ご家族の気持ちも痛いほど分かるんです。でも結局、これだけ不安が強い原因は、転倒後のシナリオが思わしくない方向にいくのを《知っている》からなんですよね。今までの周りの股関節骨折した人の往く先を実際に見たことが合ったり、なかなか期待通りにうまくいかないリハビリだったり。股関節だけじゃなくて頭も打ったり。高齢者の股関節骨折のリハビリは、ただ股関節の機能を良くする、だけではないですから。とっても時間がかかる辛抱強さとの闘いだったり、右肩上がりで進まないリハビリだったり。不安定要素もいっぱいです。もともと認知能力が低下していたり、上肢に慢性痛をもっていたり、パーキンソンなどの神経系疾患を患っていたり、糖尿病を患っていたり、2回目の股関節手術だったり。

そういうことを話すと転倒後のお先真っ暗じゃないかと思いがちですが、回復期リハで働いている中で、同じ条件の中股関節骨折をした患者さんの中でもなかなか良くならない人とわりとスムーズに良くなる人を見てきました。

3.こけても終わらない例

例えば、同じ96歳で軽度の認知症で元々杖で歩行ができていたAさんとBさん。全く同じな大腿骨骨折で人工股関節置換術をしリハビリのため回復期へきたとします。結果Aさんは無事1か月後に自宅へ退院、Bさんは老人ホームへ…なんてことはわりと多いです。Bさんはいわゆる《こけたら終わり》パターンです。でも注目すべきはなぜAさんは自宅退院できたかというところですよね。

以下、私個人の見解です。こういう分野の研究とか論文ってなかなか少ないので、今後見つけたら紹介させてください!もしくは知っている方などいたらコメント欄から教えてください!

理由①病院・回復期・自治体との連携が抜群

手術をした病院、実際にリハビリを行う回復期施設、自宅退院後にフォローアップする自治体とのコミュニケーションが抜群な場合、患者さんの予後も良くなる場合が多いです。例えば病院の理学療法士が、回復期の理学療法士に電話をいれて、アドバイスをしたり、自治体の理学療法士が実際に回復期リハ施設に退院前に訪れて患者さんの容態をチェックしておいたりなど。いわゆる一連の流れにまとまりがあるリハビリは予後がとても良い印象があります。

理由②本人も家族も自宅退院を強く望んでいる

本人や家族が自宅退院を希望している場合は、その分自宅関連・家族関連でのやらなければいけない事を進めるペースが断然に早いです。ご家族もお見舞いに来た時に応援をしたり激励したり、辛いリハビリ時でもポジティブな雰囲気にもっていくことができます。

理由③リハビリ中の多職種連携が抜群

看護師、作業療法士、栄養士、医師、理学療法士、介護士、言語聴覚士、ソーシャルワーカーが一丸となって目標に向かっている場合のスピード感とクオリティーの高さはすごいです。特にADL訓練での多職種とのチームワークは患者さんのADL機能向上に大きく影響していると思います。

理由④自宅退院後のプランの質も抜群

自宅を退院して直後のケアプラン・しばらく落ち着いてからのケアプラン・数か月後を見据えてのプランを立てているのとないのでも、患者さんの安心感が全然違います。プランがあると本人は安心してリハビリに集中できることが多いからです。

おまけ理由⑤もともと予防セミナーやトレーニングなどを行って転倒に対する知識を持っていた

骨折以前に転倒に関してのセミナーやトレーニングに参加している方は、していない方に比べてモチベーションがもちろん違う場合がほとんどの印象です。その分回復も早いし退院も早い印象。

4.自己満的傲慢な結論

なんだか書いていて当たり前のこと書いてるよなぁと思いつつ、当たり前だけど実際に出来てるかどうかは別なんだよなぁ~と再確認しながら書き上げた今回の投稿でした。

結局は、予防もとっても大事だけど転倒後のスピード感ある連帯を含めたフォローアップってとっても重要だよねという記事でした。スピード感のある、という部分がポイントだと思っていて。予算の事を考えるともちろん転倒予防のほうがお金もかからないし一番ですが、スピード感のある転倒後フォローアップとないのとでは、人材もかかるお金も全然違うと思うのです。

だからその、スピード感ある連帯にもっと人材とお金をつぎ込んでみて、実際にどのくらいコストが抑えられるかとか、誰か研究してください(最後は丸投げwww)

コメント質問など、ぜひお願いいたします(*´ω`*)

ここまで読んでいただきありがとうございました!


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