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名称未設定『エッセイのまねごと』

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似非エッセイと呼んでください。
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#日記

別にそこに私なんていない。

別にそこに私なんていない。

「急なこと聞くんですけど、絶対部屋、綺麗ですよね?」

通っているバーのマスターに急に私がこの間聞かれた質問だ。
私は、一呼吸おいて「まぁー普通?」と答える。
すると、「いや、それ絶対綺麗な人の普通じゃないですか〜!」と言われた。

実のところを言うと、私は部屋の片付けが大の苦手だ。
苦手だけど、部屋がMAX汚くなって、しばらく放置して、そこから普通の綺麗さにえっさほいさと片づけるタイプ。
正直に

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頼りにしていた先輩がSNSを消した。

頼りにしていた先輩がSNSを消した。

面倒を見てくれた、とまでは言わないけれど、お世話になった先輩がInstagramのアカウントを消していた。

よくしてくれていた一つ年上のサークルの大学の先輩だ。
その先輩は色々これまでの人生の中で抱えてきたものがある人だった。
そういう心の少し薄暗いところをたまに垣間見せる人だったけど、それもその人の魅力で、皮肉の効いたことを言う人だった。

私はその先輩が恋愛的な意味で好きだったわけではない。

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お笑いコンプレックス【わたし変遷史 #2】

お笑いコンプレックス【わたし変遷史 #2】

私は幼少期、関西に住んでいたのに小学校に入るまで関西弁を話さなかった。きっと関西の地域では珍しい子どもだったと思う。

大きくなると周りの影響で関西弁は話すようになったけど、「冗談が通じない」とよく言われたし、子どもの間で流行っているバラエティー番組を家で見ることも少なかった。だから、私は「お笑い」を娯楽として見るという習慣がない関西人になってしまい、なんだか肩身の狭さがあったのだが。

そんな私

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みんなが「記憶 消してもう一回観たい」という映画について。

みんなが「記憶 消してもう一回観たい」という映画について。

これはショートケーキのイチゴをどのタイミングで食べるかの話に似ているかもしれない

私は映画を観るのが好きです。

言わずと知れた名作をまだ観たことがなかったとき、これを読んでいるみなさんはどのタイミングでそれを観ようと思いますか?

「映画を観るのが好き」と先ほど書きましたが、映画って面白いと気づいたのはなんと18歳くらいの時。
今23才なので遅咲きです。
大学受験が終わって卒業までの時間、何を

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フィルムカメラを手に取った日。【わたし変遷史 #1】

フィルムカメラを手に取った日。【わたし変遷史 #1】

子供の頃からずっと写真が下手くそだった。
親のデジカメで撮った写真は、十中八九ブレていたし、iPhoneで撮るようになっても画面には斜め45度に傾いた世界が写っていることも多かった。

そんな私が、ここ数年は出かけるとき、フィルムカメラを持ち歩くようになった。
写ルンですやチェキが、「エモい」という言葉の登場と一緒に若い子たちの間で流行りだしたから、それに乗っかっただけに見えるかもしれない。

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人間は何を、"愛"としたのだろうか pt.Ⅰ

人間は何を、"愛"としたのだろうか pt.Ⅰ

「ルーヴル(louvre)には愛(love)がある」
このキャッチコピーが印象的ですが、LOVEをテーマに様々な作品からピックアップするというのは新鮮でした。

「愛」という普遍的で想像しやすいものを軸に展示することで、神話や聖書に馴染みのない人たちにも、アートを身近に感じてもらいたいという企画者の方々の想いを感じました。芸術鑑賞の時にありがちな「なんか難しそう」と敬遠してしまうような感覚を減らそ

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人は何を、"愛"としたのだろうかpt.Ⅱ

人は何を、"愛"としたのだろうかpt.Ⅱ

「ルーヴル(louvre)には愛(love)がある」
このキャッチコピーが印象的ですが、LOVEをテーマに様々な作品からピックアップするというのは新鮮でした。

今回はこの企画展に行ってみて感じたことを書いてみた第二弾です。第一弾は、展示を通して感じたことをまとめました。
こちら >> 人は何を、"愛"としたのだろうかpt.Ⅰ
今回はこの企画展を通して少し気になってしまったことを書かせてください

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わたくしめに水をやる

わたくしめに水をやる

生活のためのリズムや、口に出す言葉が
これまでの人生とまるっきり変わった一年で。
というか、それらを変えなくてはいけないと…
と、一種の強迫観念みたいなものがずっと付きまとっていた
そんな一年だった。

どんどん変わっていくような過渡期にある業界に入り、
だから、そのためのキャッチアップや勉強が必須な
そういう世界だった。
周りの何年もこの業界にいる先輩たちですら、
勉強熱心で。
新米である私はど

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仕事終わりに映画を観れば、全てがフィクションになる。

仕事終わりに映画を観れば、全てがフィクションになる。

今までとは全く違うリズムを、生活が刻み始めたのはちょうど一年前くらいからだ。もう一年経とうとしているのか。

一年前。
ご時世的に卒業旅行に行くこともままならないまま、わたしは、社会人と呼ばれる、特に何も成し遂げていないのに、一定程度、社会から認めてもらえる、賃貸契約も難なく結べるような、そんな人間へとなった。
悲しくも嬉しくもなかった。ただ安堵した。「けっこうちゃんとしてますよ」みたいな感じで、

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