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映画鑑賞記(覚書)

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映画館、DVD問わず、見たもの、面白かったものについて自分なりの感想を書いていきます
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#映画鑑賞

徒然日記~『燃えよ剣』鑑賞

ゴッホとのバトルを終えて、エナジー再チャージも兼ねて、岡田准一主演の映画『燃えよ剣』を見てきた。
原作は、2、3年前にようやく読んだが、爽快さすら感じるラストシーンが印象的だった。
二時間、自分の集中力が持つか、正直不安だったが、杞憂に終わった。(それに一安心)
ひたすら戦い抜いた男の生きざまにどっぷり浸ることができた時間だった。
剣に生き、ひたすら最後まで、最後の一人になるまで戦い抜く。
攘夷な

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映画『今夜、ロマンス劇場で』覚え書き

映画『今夜、ロマンス劇場で』覚え書き

「これは、映画館で見るべきだった!」

 そう思わされる映画は少なくない。

 特にこの『今夜、ロマンス劇場で』は、「映画館」のことを強く意識させられる一本だった。

 

 物語は、助監督として走り回る、ドジな青年の前に、彼が大好きな映画に登場する王女がモノクロの姿でスクリーンから抜け出てくる、という話。

 この綾瀬はるかさん演じる王女が、女優の幽霊ではなく映画の登場人物である「王女」そのもの

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映画『ブルックリン』を視聴

映画『ブルックリン』を視聴

「ああこういう映画もあるのか…」

 久しく忘れていた。

 考えもしなかった。

 それが、この映画『ブルックリン』を見ながら思ったことだった。

 https://eiga.com/movie/83694/

 例えるなら、優しく透明感ある色彩で、丹念に描かれた水彩画のよう。

 主人公の着る服の色彩。(アイルランドのグリーンがコートなどに時々出てくる)

 一人で新天地アメリカに旅立った女の

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映画『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』~喪失感の中で

映画『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命』~喪失感の中で

 それは唐突に降りかかった出来事だった。

 テキサス州ダラスでのパレードの最中に、夫は、頭から血を流して倒れた。

 病院に運ばれるまでの間、隣に座っていた妻は、ずっと夫の頭を抱えたままだった。そして、夫の棺と共に帰還した時も、彼女は血でまみれたスーツを着替えることなく、ワシントンに降り立った。

 何が起きたのかを、世界に見せるために。

 

 映画『ジャッキー ファーストレディー 最後の使

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映画『ミッドナイト・イン・パリ』覚え書き

映画『ミッドナイト・イン・パリ』覚え書き

「今の時代は、空虚で想像力に欠けている」

 21世紀に住む主人公ジルは1920年代のパリに、そして1920年代の住人アドリアナは1890年代、ベルエポックのパリに憧れる。

 そして、訪れた先、ベルエポックのパリで出会ったゴーギャンの台詞が上。彼は、こう言って、ルネサンスこそが「黄金時代」と語る。

 対象は違えど、誰もが一度は想像したことがあったのではないか。

 今ではない別の時代に、あるい

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徒然日記~原稿の事、映画の食事シーンのこと

徒然日記~原稿の事、映画の食事シーンのこと

「駄目だ~」

 消しては書き、消しては書きを何度繰り返しただろう。

 良いネタ、表現だ、と思っても、ここで言っておきたい、と思っていた事でも、いざ入れて見ると、どうもおさまりがわるい。

 唸った挙句、とりあえずそこにいつまでも留まっていても、記事は完成しない、と思い直し、別の個所を書き進める。

 そんな感じで過ごした今日一日。(途中に散歩も挟んだのは、一度机から離れて、身体を動かしたりした

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映画『47RONIN』覚え書き~ファンタジー映画

映画『47RONIN』覚え書き~ファンタジー映画

 日本、という国そこで培われてきた歴史は、外からはどう見えるだろう?

 同じ島国でも、ヨーロッパ大陸とつながっていたイギリスと違い、300年近く、外との交わりを断っていた時期もあった。(その時期に生まれた浮世絵は、開国後、ヨーロッパで大人気を博す)

 外からは様子をうかがい知れない謎の国―――そこで実際にあった、忠義に生きたサムライたちの物語は、一種の神話のようにも思えるのではないか。

 キ

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インド映画『ディア・ライフ』覚書

インド映画『ディア・ライフ』覚書

 ネフリで視聴したインド映画。
 家と恋人を失った主人公カイラが、精神科のセラピーを通して、再生していく話。
 イケメンと知り合い、つき合ってはみるも、踏み込めず、曖昧な態度を取ったり、自分から終わらせてしまうことを繰り返すカイラ。
 問題の根っこにあったのは、幼い頃、父の事業の失敗により、両親と離れて暮らしていた時期の出来事。
 祖父母の家に預けられ、海外にいる両親にあてて毎週手紙を書いていたが

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映画『オリエント急行殺人事件』(2017)のこと (ネタバレ注意)

映画『オリエント急行殺人事件』(2017)のこと (ネタバレ注意)

「……犯罪は悲劇しか生まないんだ!!」

 ミステリー漫画『金田一少年の事件簿』の「蝋人形城殺人事件」のラストで、主人公が犯人に訴える言葉が、最初に読んでから長い年月を経た今も、心に残っている。

 映画『オリエント急行殺人事件』(2017)の真相解明とその後の結末に、ふと思い出した。

 アガサ・クリスティーによる古典ミステリーの代表格、『オリエント急行殺人事件』。

 密室とも言うべき列車内で

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映画『9人の翻訳家たち 囚われたベストセラー』 覚書

 久しぶりに物語にのめり込んだ。

 『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズを巡る出版秘話を元にしたミステリーで、シチュエーションから言えば、『嵐の山荘』もの。

 ベストセラー『デュダリス』シリーズの三作目『死にたくない男』を、全世界で同時出版すべく、9カ国から翻訳家が集められ、シェルターの中で監禁状態のまま、1日に20ページずつ渡される原稿の翻訳を進めていく。

 しかし、何者かによって、出版社社長

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人生初挑戦~映画『ガリーボーイ』覚え書き

人生初挑戦~映画『ガリーボーイ』覚え書き

 きっかけは、ブルータスの記事だった。
 去年出た映画特集の号を偶々手にしたところ、監督と、ラッパーの対談を読んで、心が動いたのだ。
 調べたところ、目黒シネマで上映中と知り、早速足を運んだ次第。

 これが、人生初のインド映画、そして名画座行きだった。

 そんな挑戦の結果は・・・・・・、

 ずばり大当たり!
 インド映画というと、極彩色のイメージがあったが、この作品は、色ではなく、言葉の力、

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映画『悪魔の愛人:リダ・バーロヴァ』覚え書き

映画『悪魔の愛人:リダ・バーロヴァ』覚え書き

 女優リダ・バーロヴァの名前を知ったのは、確か去年、『映像の世紀』でゲッペルス夫妻について扱っているのを見た時だった。

 宣伝相として、映画にも関わっていたゲッペルスは、仕事の傍ら、女優たちをつまみ食いしていた。そのうち、その中の一人リダ・バーロヴァと本気になってしまい、奥さんのマグダが大激怒。

 ゲッペルスも、「離婚する!」「党幹部の地位を捨てても良い!」とまで言い張ったものの、ヒトラーに頭

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映画『華麗なる激情』(DVD)感想覚え書き

映画『華麗なる激情』(DVD)感想覚え書き

 年末年始をきっかけに、前から見ようと思っていたDVDの一つ『華麗なる激情』を見終わったので、簡単な覚え書き。

 チャールトン・ヘストンがミケランジェロ、レックス・ハリソンが教皇ユリウス2世を演じる。

 映画のストーリーは、ルネサンス3大巨匠の一人、ミケランジェロが教皇ユリウス2世の命で、「いやいやながら」、あの名高きシスティーナ礼拝堂の天井画を手掛ける話。

ダニエラ・デ・ヴォルテッラ、<ミ

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映画「トールキン

旅のはじまり」覚え書き

映画「トールキン 旅のはじまり」覚え書き

「今日見たいっ!延ばしたくない」

 そんな思いに取りつかれて、映画館へ。

 目当ては『トールキン 旅のはじまり』。作品の存在を知ったのも今朝のことだ。

 タイトルからお察しの通り、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の作者トールキンの若いころを描いた伝記映画である。

 彼の生涯については、戦争に従軍したこと、言語学の教授だったことなど、断片的に知ってはいた。

 が、「こういうことがあった」

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