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映画鑑賞記(覚書)

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映画館、DVD問わず、見たもの、面白かったものについて自分なりの感想を書いていきます
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記事一覧

映画『ジャンヌ・デュ=バリー』覚書

映画『ジャンヌ・デュ=バリー』覚書

フランス王妃マリー・アントワネットを主役にした映画やマンガは多いが、デュ=バリー伯爵夫人を扱った作品は初めてだ。
王太子妃時代の彼女と対立したという史実から、マリー・アントワネットがメインの作品では初期の「敵役」ポジションで出てきやすい。その最たる例が、つり目でいかにもきつそうな女性として描かれた『ベルバラ』だろう。
しかし、それはマリー・アントワネットから見た話。
かたや名門ハプスブルク家に生ま

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『サンセバスチャンへようこそ』を見た話

ウディ・アレン『サンセバスチャンへようこそ』を観賞。
フェリーニやベルイマンなどの名と共に、彼らの作品へのオマージュを散りばめた作品、ということだが......見てない作品ばかりだ、と若干うちひしがれた。
主人公のモートとは逆に、私は古い映画を知らなすぎる。
映画を意識して見るようになったのは、本当にごく最近というのもあるかもしれない。
が、とにかく「経験不足」「足りない」という思いが、拭いがたい

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「すべての出来事に意味がある」~映画『フェイブルマンズ』覚書

「すべての出来事に意味がある」~映画『フェイブルマンズ』覚書

巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の自伝的映画である。
クリエイターの原点、作品の生まれる場所というのは私にとって興味を惹かれるテーマで、だからこそ、『トールキン 旅の始まり』のように作家やアーティストの伝記映画があると見ようかな、と心が動く。
この『フェイブルマンズ』も、映画公開時に見よう見ようと思いながら、結局行けないままに終わってしまった一本だった。
が、正月、ちょうどAmazonプライムで

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映画『法廷遊戯』観賞

手持ちの案件を1つ片付けたので、前々から見たかった映画『法廷遊戯』を見てきた。
実は原作小説を図書館で借りて読んだことはあるにはあったが、途中で挫折してしまった。映画ならまだとっつきやすいのでは、と思い、今回足を運ぶに至った。

感想は・・・・・・
杉咲花が怖かった。

彼女が演じる美鈴は、永瀬演じる主人公セイギとは同じ養護施設で育った幼馴染みで、同じロースクールで学び、同時期に司法試験に合格して

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映画『大名倒産』

映画館で映画を見たい!
という思いが強く、『大名倒産』を鑑賞。
ちなみに浅田次郎の原作は未読なので、知識のないまっさらな状態で。
以下、思ったことを箇条書きに、思いつくままに。

・ストーリーの大枠はだいたい王道?
→難問を、現代にも通じる方法で捌いていく
→教育係の平八郎含め、周りが感化されていく流れ
・主人公たちと時に対峙するおじさん、特に「父親」たちが、皆さんいいキャラだった
特に佐藤浩市さ

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徒然日記~『ナイル川殺人事件』

 ケネス・ブラナーの『ナイル川殺人事件』を映画館で見てきた。
 ピラミッドや、アブ・シンベル宮殿、そして古代にそうした文明を育み、王朝の興亡を見守ってきた、ナイル川の風景ーーー
それらを大画面で見られたのが、一番の収穫だろうか。(おい)
 原作は、遥か昔に一度読んだキリで、犯人と動機については、うっすら覚えているだけ。真ん中はすっぱり抜けていた。
「こんなに人死ぬ話だっけ・・・」
と、首を傾げるく

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映画『冬のライオン』鑑賞

映画『冬のライオン』鑑賞。

……イギリス史というと、チューダー朝のあたりが特に最近、スポットが当たりやすいように思う。
この『冬のライオン』が扱うのはそこから数百年前の12世紀。
チューダー朝の前、プランタジネット朝の初代王ヘンリー2世とその家族の話。
ヘンリー2世の妻エリナー(アリエノール・ダキテーヌ)は、広大なアキテーヌ領を持つ女性で、元はフランス王妃。しかし、夫との性格の不一致など、様々な

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徒然日記~『燃えよ剣』鑑賞

ゴッホとのバトルを終えて、エナジー再チャージも兼ねて、岡田准一主演の映画『燃えよ剣』を見てきた。
原作は、2、3年前にようやく読んだが、爽快さすら感じるラストシーンが印象的だった。
二時間、自分の集中力が持つか、正直不安だったが、杞憂に終わった。(それに一安心)
ひたすら戦い抜いた男の生きざまにどっぷり浸ることができた時間だった。
剣に生き、ひたすら最後まで、最後の一人になるまで戦い抜く。
攘夷な

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映画「竜とそばかすの姫」を見た

映画「竜とそばかすの姫」を見た

先日、「竜とそばかすの姫」を映画館で鑑賞。アニメ映画は随分と見ていなかったが、これは見て損はない、むしろ今のうちに、映画館で見ておけ、と声を大にして言いたい。

「U」というバーチャル空間の広大さ。

飛び交うアズ(プレイヤーの分身)たち。

そこに、アンプを乗せたクジラに乗って、華やかな衣装に身を包んだ歌姫ベルが登場する。

音楽が、歌声が波となって押し寄せ、空間を席巻する。

わずか数分で、ど

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新記事のお知らせ~初の映画記事

映画『プラド美術館 驚異のコレクション』について書いた、新記事が掲載されました!

 初の映画記事です。

 拙い部分もあるかと思いますが、読んでいただけたら幸いです。

『幸せになるための恋のレシピ』~タイトルについてなど

オドレイ・トトゥ主演のフランス映画『幸せになるための恋のレシピ』を視聴。
見終わって思ったことの一つは、
「タイトルの付け方は難しい」
ヨーロッパ映画は特に。
シンプルな言い回しや、皮肉をこめたタイトルがついていることが多い。
特にフランスやイギリスの映画(例:シェイクスピアの庭)は。
しかし、原題を愚直に訳したものをつけても、何人の人を惹き付けられるだろう。

『幸せになるための恋のレシピ』

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映画『今夜、ロマンス劇場で』覚え書き

映画『今夜、ロマンス劇場で』覚え書き

「これは、映画館で見るべきだった!」

 そう思わされる映画は少なくない。

 特にこの『今夜、ロマンス劇場で』は、「映画館」のことを強く意識させられる一本だった。

 

 物語は、助監督として走り回る、ドジな青年の前に、彼が大好きな映画に登場する王女がモノクロの姿でスクリーンから抜け出てくる、という話。

 この綾瀬はるかさん演じる王女が、女優の幽霊ではなく映画の登場人物である「王女」そのもの

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『ハーブ&ドロシー』~折を見て、ちゃんと語りたい映画

『ハーブ&ドロシー』~折を見て、ちゃんと語りたい映画

 数年前、あるいはもう少し最近でも、「なんとなく」流し見てしまった映画は多い。

 今でも、「とにかく量をこなしたい」という気持ちが強く、一応スマホのアプリに、見た映画について記録する習慣をつけてはいるが、「記事(コンテンツ)」として通用するものが書けることは、数本見て一回あるかどうか。(おい)

 このような記録を始める前、TSUTAYAの棚から「なんとなく」直感で選んで、見てみた作品で、頭の中

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映画『ブルックリン』を視聴

映画『ブルックリン』を視聴

「ああこういう映画もあるのか…」

 久しく忘れていた。

 考えもしなかった。

 それが、この映画『ブルックリン』を見ながら思ったことだった。

 https://eiga.com/movie/83694/

 例えるなら、優しく透明感ある色彩で、丹念に描かれた水彩画のよう。

 主人公の着る服の色彩。(アイルランドのグリーンがコートなどに時々出てくる)

 一人で新天地アメリカに旅立った女の

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