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彼女は恋に落ちるのか?Does She Fall in Love?|
恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化(結)として
もう誰も<恋に落ちる>なんてことは無いのだと思っていた。互いに傷つけあわないで慎重に距離感を測りながらしか近づけ合えない恋の感情は簡単にfall inしないはずだ、と。
しかし、それまでずっと暗い感情を歌い続けていた欅坂46の、アンダーグループであるけやき坂46は、2019年、日向坂46として「キュン」を発表し、欅坂46を追い抜いてし
恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(5)恋の距離感、愛の時間軸
21世紀初めの停滞の時代、愛は勝ち組のものであり、負け組は得られない愛に飢え苦しむ。そしてこの時代、若者はだれもが愛に傷ついている。
KYだとか、コミュ障だとか、オタクだとかでワーキングプアならもう勝ち目はない。社会は過酷な人間関係を強要する。
未来の明るい希望を信用できない若い人に浜崎あゆみの歌は癒しとなっていった。「愛すべき人」がいて、その人こそが(たぶん)「孤独」と「深い傷」を負った
恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(4)恋は現実、愛は勝利
BOOWYが解散した翌年、B'zがデビューする。この両者を比べるとなんだか時代がすっかり変わった感じがする。BOOWYはステージから「ここは東京だろ?」などといって甘いファンタジーを演じたが、B’zときたら汗と体臭をふりまいて雨の中ステージを疾走する。
「LOVE PHANTOM」(1995年 作詞:稲葉浩志 作曲:松本孝弘)は失恋の歌なのだろうか。去ってしまった彼女に「がまんできない 僕を
恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(3)去る彼女、見守る彼
何だか舌足らずすぎる考察だと思われるだろうが先を急がせてほしい。今回は80年代について。
この時代はTVのCMソングが話題になった。大沢誉志幸の「そして僕は途方に暮れる」(1984年 作詞:銀色夏生 作曲:大沢誉志幸)もそのひとつ。この曲では、彼女は「輝いた季節」の想い出を残し、彼のもとを去っていくらしいが、その理由は説明されない。あとに残された僕は途方に暮れながらも「君が選んだことだからき
恋の様相ー歌謡曲とJポップからみるその変化ー(2)閉じる恋、逃げる恋
60年代から70年代初期は日本には高度経済成長という大きな熱がうずまいていた。それは人々に安定と豊かさをもたらすとともに、社会の大きな矛盾抱え込んでいった時代だ。
米国ではベトナム戦争に反対するフォークソングが、少しあとに英国ではビートルズが若者の心をつかみ、日本でも学園紛争の吹き荒れるなか学生たちはギターを抱えて反戦歌のコードを熱心に覚えて、それを女の子にモテるためにかき鳴らしたのだ。