たみい

エッセイ『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に生…

たみい

エッセイ『もそっと笑う女2』 日々笑いと踊りを求めて西へ東へ右往左往 京都の西方面に生息中 好きな音楽はゴスペルジャズソウル 好きな映画は三谷幸喜の『ラジオの時間』『12人の優しい日本人』

マガジン

  • 盆踊りに取り憑かれた女

    なぜ盆踊りなのかをつらつらと語ります

記事一覧

未来のためにできること

お盆が近いので、お仏壇の掃除をしていた。 ふと何十年前の風景が蘇った。 父親が毎朝、お経を唱え出した時のことだ。 日課として神棚にお米を供えて、柏手を打っていた父…

たみい
2週間前
12

盆踊りシーズン到来の裏方と演者の毎日

殺人的な暑さ2024年夏。 ここ最近は息子のラグビースクールの合宿、試合、練習の応援に加え、盆踊りもシーズン到来ということで、砂まみれ、汗まみれの毎日である。 …

たみい
2週間前
6

本当にそうなの?

YOUTUBEである物理学博士のおっさんの動画を観ていた。 ことの発端は「四次元について知りたい」と息子が言い出したからだ。 動画の説明を淡々と聞きながら、私は「へえ〜…

たみい
2か月前
13

生きてく栄養素

日常を生きていて、おそらく十人十色、反応するものが違うだろう。 なんてことない景色でも、お、と思うことが転がっている。 私の場合はとても地味なのだが。 移動販売の…

たみい
3か月前
10

息子の告白

ある保護者のお父さんが言っていた。 「みんなお母さんたちは料理を頑張りすぎですよ。二品も三品も作るでしょ?適当でいいじゃないですか」と。 最近になってだが、息子…

たみい
4か月前
11

第一回なぜ人は生まれて死ぬのかミーティング

6年生の夏休みの自由研究、なぜ人は生きるのかっていう哲学的なことをテーマにしたい と、息子が寝る前に宣言した。 結構重めなテーマでびっくりしたが、寝る前だと言う…

たみい
5か月前
6

ことばをあえて使わないでみると

息子が寝る前に、 お母さん、今から何も喋らないでジェスチャーだけでコミュニケーションをとろう、と、おもろい事を言い出したので、すぐに乗ってみる。 たとえば、今ま…

たみい
5か月前
6

うどん屋

烏丸にあるな、うどん屋 好きな人と行ってん 17歳のとき 90歳近いおばあさんが、出来たてのきつねうどんを見たとたん、目を細めて懐かしんでいた。 70年前(!)の思い出…

たみい
5か月前
7

助けてください!

スーパーで、あるおばあさんと目があった。 彼女は大きく開眼し、その瞬間、藁をも縋る思いで、わたしの腕を捕まえた。 助けてください! 鍵をどこかに落としたんです。ど…

たみい
5か月前
9

リュックを背負う母

図書館でパンパンのリュックを背負い、一歳くらいの自由に走り回る我が子を追いかけている母親とすれ違った。 そういえばあのくらいの時期はいつも背負っていた。 着替え …

たみい
6か月前
8

それってただの自己満足やん

素人が日舞の舞台で高い衣装代や道具代を払ってまで披露することを、ただの自己満足やん、と誰かが言っていた。 確かに、と思った。 日舞だけの話ではない。どんな表現で…

たみい
6か月前
11

母親らしさって

学校や習い事の場で、母親同士が会話をしているのを見るたびに、違和感を感じることがある。 みんなまっとうな母親の顔をしてる。 子どもの話をする度に、もう子どもの話…

たみい
6か月前
12

生きる着物

失敗を繰り返し、遠回りしながら、なんとか生きてるタイプの人間がいると思うが自分はまさしくそれだ。 着物のイメージはどんなだろう? 私は数年前まで着物とは祝い事の…

たみい
6か月前
15

いい母親になりたくない

そろそろややこしそうな年代を迎えようとしている息子11歳だが、ここのところ、こちらがブチギレてばかりだ。 カルシウム不足?生理前?更年期?逆に私の方が思春期?も…

たみい
6か月前
17

年をとることはいいことか

去年の秋、検診で行った病院の待合所で流れていた映画の番宣。 精神障害者施設で実際に起きた事件を題材にした『月』という映画で、宮沢りえとオダギリジョーと二階堂ふみ…

たみい
7か月前
11

クレープをあげたい

息子は昔からご近所のおばあちゃんたちに沢山可愛がられてきた。何か困ったことがある時、例えば親が外出していないときに、平気でそういう人たちに頼ることができる。 地…

たみい
7か月前
10

未来のためにできること

お盆が近いので、お仏壇の掃除をしていた。
ふと何十年前の風景が蘇った。

父親が毎朝、お経を唱え出した時のことだ。
日課として神棚にお米を供えて、柏手を打っていた父だったが、ある日を境にお経を唱え始めた。
兄が死んでからだ。
毎朝、決まって「はんにゃーはーらーみたー」と父の般若心経が響く。
その背中は今にも崩れ落ちそうなほど弱く見えた。

毎日、毎日、唱えていた。
最初、供養のためなんだろうなとぼ

もっとみる

盆踊りシーズン到来の裏方と演者の毎日

殺人的な暑さ2024年夏。
ここ最近は息子のラグビースクールの合宿、試合、練習の応援に加え、盆踊りもシーズン到来ということで、砂まみれ、汗まみれの毎日である。

今年は小学校のPTA役員ということもあり、祭りの盆踊り担当に自ら志願。
確か一回目の企画案を出す会議にて、「盆踊りなんて誰も踊りませんよね〜〜」の司会者の声に、頭が動く前に手が反応。
素早い挙手と共に、「私、踊れますっ!」の突然の宣言に、

もっとみる

本当にそうなの?

YOUTUBEである物理学博士のおっさんの動画を観ていた。
ことの発端は「四次元について知りたい」と息子が言い出したからだ。
動画の説明を淡々と聞きながら、私は「へえ〜〜そうなんだ」と単純に受け入れた。息子は実にニュートラルな表情で納得も疑いもしていない様子だった。

数日後、息子とのんびりと自転車をこぎながら会話をしていたら、
「あれ?これってこの間の動画で言ってたこととちゃう??」と世紀の大発

もっとみる

生きてく栄養素

日常を生きていて、おそらく十人十色、反応するものが違うだろう。
なんてことない景色でも、お、と思うことが転がっている。
私の場合はとても地味なのだが。

移動販売の車に商品を積んでいる若い兄ちゃんに、
「おつかれえ〜、これ」と言って、缶コーヒーの差し入れを渡すおっさん。見たところ、くたびれてはいるが呑気で陽気なバイブスを放ってる。
今日も大変やなあ、とかなんとか世間話をして、へらへら笑っているおっ

もっとみる

息子の告白

ある保護者のお父さんが言っていた。
「みんなお母さんたちは料理を頑張りすぎですよ。二品も三品も作るでしょ?適当でいいじゃないですか」と。

最近になってだが、息子が急に過去の衝撃的な出来事を告白してくれた。
息子は小学1、2年の時学童に通っていたのだが、夏休みなどの学校がない期間はお弁当を持参しなければいけない。
そのお弁当作りを夫に任せていた時があった。
料理はできる人なのでそれなりに作っている

もっとみる

第一回なぜ人は生まれて死ぬのかミーティング

6年生の夏休みの自由研究、なぜ人は生きるのかっていう哲学的なことをテーマにしたい

と、息子が寝る前に宣言した。
結構重めなテーマでびっくりしたが、寝る前だと言うのに息子の目は覚醒していたので、余程本気のテーマなのだろう。
では夏休み入るまでにアイデア出すためにミーティングしてみるのはどう?と提案すると、それはいいね、と息子は頷いた。

数日後、近所の純喫茶へ向かう。夕方だが店内は活気がある。

もっとみる

ことばをあえて使わないでみると

息子が寝る前に、
お母さん、今から何も喋らないでジェスチャーだけでコミュニケーションをとろう、と、おもろい事を言い出したので、すぐに乗ってみる。

たとえば、今まで何万回と言い続けてきた、
歯磨きをしなさい、とか、
寝る用意しなさい、とか、
ことばにするとなんだかだるいのだけど、
(言ってるこっちが嫌になってくるのだ)
ジェスチャーになると途端に軽くなる。コントみたいになる。あそびみたいになる。

もっとみる

うどん屋

烏丸にあるな、うどん屋
好きな人と行ってん
17歳のとき

90歳近いおばあさんが、出来たてのきつねうどんを見たとたん、目を細めて懐かしんでいた。
70年前(!)の思い出とか、急に甦るんや、と思ったらびっくりした。
17歳の少女が、好きな人とうどんをすする光景が、霞むように目の前に浮かんだ。

助けてください!

スーパーで、あるおばあさんと目があった。
彼女は大きく開眼し、その瞬間、藁をも縋る思いで、わたしの腕を捕まえた。

助けてください!
鍵をどこかに落としたんです。どこにもなくて、、

かなり動揺している。
店内のインフォメーションセンターに落とし物にないか、聞いてみてはどうですか?と言うと、
ええ、そうなんです、さっき、行ったんです!
でも、どうしよう、鍵どこに落としちゃったんだろう、、

私は仕

もっとみる

リュックを背負う母

図書館でパンパンのリュックを背負い、一歳くらいの自由に走り回る我が子を追いかけている母親とすれ違った。

そういえばあのくらいの時期はいつも背負っていた。
着替え
オムツ
タオル
おもちゃ
おやつ
お茶
色々なグッズを詰め込んで。

その母親はいつかの自分に思えた。
あなたは十分によくやっているよ、あの母親に、あの時の自分に、そう言った。

それってただの自己満足やん

素人が日舞の舞台で高い衣装代や道具代を払ってまで披露することを、ただの自己満足やん、と誰かが言っていた。

確かに、と思った。
日舞だけの話ではない。どんな表現でも、自己満足なのか、誰かを楽しませることができる表現なのかは、一体何がちがうのか。

あるミュージシャンがラジオで言っていた。
感情に入りすぎてるときのライブは全然だめ。
冷静に客観的にみえてないと。

母親らしさって

学校や習い事の場で、母親同士が会話をしているのを見るたびに、違和感を感じることがある。

みんなまっとうな母親の顔をしてる。
子どもの話をする度に、もう子どもの話なんかしたくない、あなたの話は?あなたの話を聞かせて、という衝動にかられる。
学校や子どもという共通の話題しかないから、当たり前なのだが、ほんとうに?と思う。

みんな本当にその会話したいと思っているの?
退屈そうにぽつんと待機している父

もっとみる

生きる着物

失敗を繰り返し、遠回りしながら、なんとか生きてるタイプの人間がいると思うが自分はまさしくそれだ。

着物のイメージはどんなだろう?
私は数年前まで着物とは祝い事の席で着るもの、それも人生で何度か、お金を払ってでも着付けてもらう、自分で着付け?ぜったいムリ!
という感じだった。
とにかく縁遠いもの。ところが。ひょんなことから日舞を習うことになり、縁遠かったものが急に3センチくらい目の前の至近距離にな

もっとみる

いい母親になりたくない

そろそろややこしそうな年代を迎えようとしている息子11歳だが、ここのところ、こちらがブチギレてばかりだ。
カルシウム不足?生理前?更年期?逆に私の方が思春期?もうなんでもいいけど、沸点がとにかく低くなっている。
この間は故意ではないが私の大事なものを壊したので、腕をバシバシ叩いてブチギレた。息子泣く。
「もういい、寝なさい!」と二階に上がらせ、しばらくは怒りがおさまらない。
よく考えたら、そんな激

もっとみる

年をとることはいいことか

去年の秋、検診で行った病院の待合所で流れていた映画の番宣。
精神障害者施設で実際に起きた事件を題材にした『月』という映画で、宮沢りえとオダギリジョーと二階堂ふみが出ていた。
その出演者だけで見たくなり、京都シネマへ行く。
主人公の夫(オダギリジョー)が、自分の作った作品が賞に選ばれて大喜びしてるシーンで泣けた。
終了後これから上映予定の映画のチラシをなんとなく見ていたら、ヴィム・ヴェンダース最新映

もっとみる

クレープをあげたい

息子は昔からご近所のおばあちゃんたちに沢山可愛がられてきた。何か困ったことがある時、例えば親が外出していないときに、平気でそういう人たちに頼ることができる。
地域に見守られてる安心感が強い。

その中の一人のFさんは、毎日杖をつきながらリハビリがてら散歩していた。息子は会うたびに声をかけ、まるで友達かのように長話をする。Fさんは決まって、にこにこと笑いながら、自分の孫を見るような温かい眼差しで接し

もっとみる