マガジンのカバー画像

誰からも美味しいと言われない美味しいごはん。

60
一人暮らしなので、どんなに美味しい料理を作っても誰も喜びません。だからと言って、手を抜く料理を作り続けるのは、ちょっと残念な気がするのです。
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

ステーキランチとなすの味噌汁。

ステーキランチとなすの味噌汁。

昼過ぎに電話がかかってきた。

相手は同僚のホノカ。

ステーキを食べよう。ランチの誘いだった。

会社から歩いて10分ほどのところにある高級なステーキ店。

看板しか見たことなかったその店になぜか行こうと誘ってきた。

話を聞くと仕事が忙し過ぎてステーキでも食べないと話なならない。
ととても怒っている様子。

大きなビルの地下に目的の店はあった。
入り口の階段を降り始めてホノカがひとこと。

もっとみる
夕立とナスの瓦そば風。

夕立とナスの瓦そば風。

今日はよく晴れていた。

7月のつもりで気持ちよく会社に行ったけど、
よくよく考えたら7月はもう少し先だった。

早く7月にならないかな。一日中そんなことを思いながら仕事をこなした。

定時を過ぎ、家路に着く。

もうすぐ家に差し掛かったところ。

ポツ。ポツ。ザーッ。

夕立だった。

夕立は字面だけ見れば高級みかんみたいなのに、
実際目の当たりすると、それはかなりの迫力があるといつも思う。

もっとみる
ベランダハーブと南瓜の煮物。

ベランダハーブと南瓜の煮物。

おはよう。

日曜の朝にしてはちょっと早めの9時半。

ベランダのハーブに水をやりながら声をかける。

連日レモネードに添えたことで、はげかかったアップルミントは
昨日まではなかった小さな芽をいくつも出していた。

隣のバジルは緑色の立派な葉を広げている。

2枚ちぎって食べる。
ドンとした存在感のある味と香り。
一気に目が覚めた。

お昼はイタリアンにしようかな。

ひとりごとは続いた。

コー

もっとみる
二日酔いと厚揚げの煮物。

二日酔いと厚揚げの煮物。

二日酔いの朝は起きるのが辛い。

頭はガンガンなっていて、喉の端っこもちょっとだけ痛いような気さえする。

飲みすぎちゃったな。変なこと言ってなかったかな。。。

いつも二日酔いの朝はそうした後悔で始まる。

水をコップ1杯。。。もう1杯。

何も口にしたくない。今日の夜は確実に軽いものを食べよう。

顔を洗い、服を着る。なんとか気持ちをあげようと、こないだ買った真っ赤なマキシ丈のスカートを着て家

もっとみる
旧友とジュリエンヌサラダ。

旧友とジュリエンヌサラダ。

仕事を終え、商店街を歩く。

今日の目的地は非常に明確で、信号を2つこえる。

その先にある2つの商店街の重なる場所。。。

ここが今日の目的地。大学時代の友人の大野さん。

今は隣の県で農家をしているのだけれど、久しぶり。と連絡をくれた。

今日は彼女と食事をする。

わざわざ車で来たそうで、そのまま家に泊まることになった。

久しぶりの彼女は少しだけ痩せていて、少しだけ日焼けをしていた。

もっとみる
アネッサの無駄遣いと夏野菜スパゲティ。

アネッサの無駄遣いと夏野菜スパゲティ。

梅雨の中休みがここ数日続いていた。

久しぶりに外での仕事が長いと見た私。

朝から日焼け止めを入念に塗る。

夏は冬に比べて寒くないのが魅力だけど、そのぶん日焼けが心配になる。

日焼けしない夏があればいいのに。いつもそう思う。

でも玄関を出たら今にも泣き出しそうな空が広がっていた、

気づけば曇天の1日。ふわふわとした思いで家路に着く。

太陽とは対峙しなかった。なんかそれがモヤモヤとする。

もっとみる
デパ地下パンとレモネード。

デパ地下パンとレモネード。

仕事が早く終わった日は、ときどきデパートでパンを買う。

商店街をまっすぐ。

郵便局と小さなビジネスホテルの間にこの街のデパートはある。
夕方になると普段なら手が出ない惣菜が半額で売られているから私は好きだ。

エスカレーターで地下へ。時計回りでフロアを巡る。

ワイン屋さんをチラッとのぞき、その隣の隣のパン屋さん。
トレイとトングを手にとって、カチカチと2回ならして店に入る。

このあと食べる

もっとみる
パンダのマスクと桃のコンポート。

パンダのマスクと桃のコンポート。

梅雨の中休み二日目は、思ったよりもしんどくて。
ランチですら外に行くことを迷うほどだった。

午前中の仕事を片付けて12時半。

意外とかかってしまったな。

そう思いながら会社を出て道を渡ったところにある、弁当屋さんに向かう。
真っ白なペンキで塗られたその店は、優しい老夫婦が営んでいていつもニコニコしながら店に立っている。わたしのお気に入りのひとつだ。

カウンターに立つおじさん、今日はパンダ柄

もっとみる
クーラーと肉じゃが。

クーラーと肉じゃが。

『梅雨の中休みです』
朝起きてテレビをつけると、天気のお兄さんがそう言っていた。
支度をして家を出ると、見事なまでに晴れていた。

気温もグングン上がり、昼過ぎには汗ばむほどの陽気。

会社のエアコンもどんどん下げられていて、
出先から帰ると、ちょっと寒いほどだった。

いよいよ夏だな。毎年毎年、季節を感じる出来事がある。

テレビで連続放火魔のニュースが出れば、春を感じるし、
暑いのに寒いほどの

もっとみる
『大人』とアジのつみれのお吸い物。

『大人』とアジのつみれのお吸い物。

いつもの喫茶店でコーヒーを飲む。

まだ午前中だから、西から太陽は入ってこない。

今日はモンブラン。

学生の頃、小さなデパートの中にある小さな喫茶室でアルバイトをしていた。

その店にもモンブランがあって、
それを作るたあとに余ったマロンクリームをコーヒーと一緒によく食べていた。
マロンクリームから香るブランデーの香り、
甘くなった口の中をコーヒーがフラットにしてくれてどんどん手が進む。

もっとみる
週末の鯵ぽん。

週末の鯵ぽん。

起きると。10時半だった。

昨晩のミネストローネを冷蔵庫からだし、茹でたそうめんを入れてすする。

トマトの冷たい感じ。具材たちがひと晩経ってまとまりを強めていた。

そこへ登場する細いそうめん。

カペリーニがこの世にあるから美味しいに決まっているのに、新たな発見がそこにあるような感じがする。

いい陽気。気持ちも軽い。

洗濯機を回し、ベランダのハーブに水をやり、コーヒーを飲んで洗濯物を干し

もっとみる
細かい雨とミネストローネ。

細かい雨とミネストローネ。

細かい雨は嫌いだ。

降っているか止んでいるか、そもそもわかりづらい。

傘をさしてもビニール傘の透明なところに雨の気配はないのに

ささないと、私のメガネには水滴がつく。

だったらと再びさすと、私の横を車が通るたびに傘の中に潜り込んでくる。。。

本当に鬱陶しい。

やっぱり私は梅雨がどうしても好きにはなれない。

うつうつとしたまま仕事をこなし、うつうつとしたまま定時で職場をあとにした。

もっとみる
エスプレッソと鯖そうめん。

エスプレッソと鯖そうめん。

ランチ帰りにカフェに寄ってエスプレッソまで飲んでしまった。

エスプレッソには砂糖をいつもたくさん入れる。

ティースプーン2杯。

そしてそれが溶けきらないうちに飲み、最後だんだん強まっていくビターチョコのような風味。そして最後にカップに残ったコーヒー味の砂糖をスプーンですくって舐める。

スプーンの通った跡がカップの底に残った。

結露のついたコップの水を一口。店をでる。

午後は思ったよりも

もっとみる
健康診断とトリッパの風。

健康診断とトリッパの風。

今日は健康診断だ。

このためにお酒を絶ち、ご飯もちょっと少なめで来た。

『当日午前8時以降は、水以外口にしてはいけない』そう書かれた紙を見て、だったらと思い朝食も抜いてみた。

午前中。仕事をしてもしている気にならず、何度もパソコンを開いては閉じを繰り返した。

水をチマチマのみ、パソコンをまたカタカタと叩いた。

午後2時。会社を出て歩いて5分の内科へ向かう。

梅雨の晴れ間にしては堂々とし

もっとみる