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和合亮一さんの「詩の礫」から派生した 礫を起点に波紋のよう奇想は巡る
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#詩

ほどけてるほどいてる

ほどけてるほどいてる

むすぶって決意することだから
まだむすびたくないんです
解けている
んじゃなくて
解いているんです
きゅっと決心
ほどいて残心
足元の蝶々
羽根は無限をかたちづくる

絲人展てんをうつ空白はスキッパラ

絲人展てんをうつ空白はスキッパラ

今日は今日とて今日と今日

点を線で結ばない

点は点だし線は線だし
点を線で追いかけない
定めない
軌道を描かない
上空からてんは降り注いだ

てん
てんてんてん

混じわらない
穿つ打点は
点描
嗚呼
気まぐれな猫

ライムギ畑でつかまえて

ライムギ畑でつかまえて

吐き出して
投げ出した
言葉は
浮遊した
キャッチャー・イン・ザ・ライ




嘘嘘
気化して
yours

反転

反転

おしゃれについて調べてみたら
おしゃれなことっていうものだから
おしゃれってなんなん
結局わからないわ
感性なんて人それぞれ
こだわらないことと
こだわることは
同じことなんかね
気配りと人となり
お洒落な人ねって
裸の王様にも言ってあげて
その人だもの

服に着られた私が鏡に写った
服を着ていたはずなのに
誰でもよかったって
呟いて
マネキン
私は
巡りだす
血流鮮やかに色づく街

関係はさんかく

関係はさんかく

私達の関係は三角
線と線に線を足して
囲われた
余白は
孤独を思うよ
何処にも行けない
孤立を歌うんだ 
第三の目
さよなら
ありがとう
どこまでいっても
平行線

踊る阿呆に見る阿呆う

踊る阿呆に見る阿呆う

感情なんてその時その時の一瞬の揺らぎなわけだしその時その時の好きって感情だけが特別でずっと変わらないでそのままで続くだなんて幻想でしかないし期待する事も思い込むこともできないから好きって言ってでも嫌いってそんな曖昧なもこもこな私は私は結局気分次第さなもので気分で人を振り回しかねないと想像ができるから
あいだのこいだの
に関われなくて
踊ってしまうよ

ビブラアラオブラ

ビブラアラオブラ

掻き消されるとわかりきっている言葉を
飲み込んだ
オブラートは包めない
オブラートに包めない
遠回りしすぎて経年劣化してしまうよ
年老いた言葉が
あなたの耳に届く前に
衰弱死する

浮遊感とか言ってる場合かい

浮遊感とか言ってる場合かい

爪を切らなきゃ
って3日前から思っているのに
3日分成長した爪を眺めながら
爪を切らなきゃな
ともうすぐ
4日目になる
ナイトクルージングを
聴いていると
どこにでも行けそうで
どこにも行けない
浮遊感に包まれる
浮遊感とかね
言ってないで爪を切ろう
いつものように深爪で

生まれて消えた

生まれて消えた

ぴえんはもう死語らしい

使ってみたかったのに

すでに死んでしまった言葉らしい

ぴえん

人間と胡瓜

人間と胡瓜

Tシャツの脇汗のしみが

恥ずかしくて

腕組みしながら

両手を

脇の下に滑り込ませては

みたものの

これは

かえって

逆効果

汗は止まるどころか

自分の熱で

また汗が染み出してくる

いっそ

全部濡れてしまえばいい

ライブ

アライブ

私は永久機関

熱は冷めない

夢も覚めない

いつかの雨はいつもの雨

いつかの雨はいつもの雨

たん
とたん
たんたんたん
雨は降り出した
寝る前に
コップ一杯の水をって言うけれど
雨に打たれながら
寝てしまえば
身体は勝手に
水を吸収するんじゃないか?
もしくは溺れてしまうのだろうか?
まるで
デジャブのように
決まったリズムで
雨は踊り跳ねている
連続性
つまりは

ダイブな関係

ダイブな関係

あなたは現れて

わたしは消える 

出会いもなければ別れもない

あなたもわたしも

出会ってはいない

顔を合わせたことも
話したこともあるはずなのに

タップひとつで

終わる関係

キャッチーインザディスプレイ

貞子のように抜け出したい

リノベーションしたい肉体関係

世界なんて天気の子

世界なんて天気の子

パウダースノーを溶かして飲み干したくもり空は私の中で酸性雨となって降り注いだ
一滴零しただけで使用不可能な
トイレットペーパー
ハートビートはメロウに
せせらぎは午前四時のランドリー
どくどくと流れる
かわかわかわ
カワカワカワカワ
川川川川川
繋がる
太くなる
分岐して
循環する
永久機関
なフリした
せいぜい
100年
ばかりの
わたし

ないものねだり

ないものねだり

それからというもののあなたは時折束ねた髪をなびかせて私の半径2メートル圏内に侵入してきた手を伸ばすと忽然と姿を消した刻々と刻む秒針の音が妙に煩い足音すら残さずラベンダーの香りだけが仄かに鼻孔をかすめて雨は半径2メートルを掻き消していく