ダンサーインザダーク
山間のバス停に2人
朝の時間帯を逃すと
次がやってくるのは4時間後
到着まであと5分
あなたは踊っているようにも
揺れているようにも見える
私は読みかけの文庫本から目を離せない
伊坂幸太郎の短編なら待ち時間で
読み終えられるから
音が消える
さっきまでの衣ズレや足音が止まっている
「ねーそれ面白い?」
「えっ面白いよ」
「わたしよりも?」
「比べるものじゃあないんじゃないかな?」
「疑問形を疑問形で返してきたね」
「そういう質問だったもの」
視界が暗くなる
掌の感触
あなたは