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ないものねだり

それからというもののあなたは時折束ねた髪をなびかせて私の半径2メートル圏内に侵入してきた手を伸ばすと忽然と姿を消した刻々と刻む秒針の音が妙に煩い足音すら残さずラベンダーの香りだけが仄かに鼻孔をかすめて雨は半径2メートルを掻き消していく


雨ニモマケズ 風ニモマケズ