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CHEESE🧀「子どもとの関わり方」研究会

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ただ今開催中の研究会(講座、勉強会)に関連した内容をアップします。ただ今第二期がスタートしました!ご参加頂いた方には、テーマと関連する重要事項もお伝えしています。それは有料エリア…
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#保育士

「性」、そして「生」(第二期:第5回④)

「性」、そして「生」(第二期:第5回④)

 「性」に関わる話題も非常にデリケートで、以前の「性同一性障害」が今では「性別違和」(DSM-5)という名称になっています。障害というラベルも外され、直すべき異常な状態そして差別の対象となってしまうものから多様性として認めるものへと認識が変わっています。LGBTも注目されるようになってきました。

1.さまざまな「性」のあり方 「性」には、生物学的な分類や機能(sex)の他に、社会的役割(gend

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「個性」と「発達」、そして「可能性」(第二期:第4回④)

「個性」と「発達」、そして「可能性」(第二期:第4回④)

 社会変革の展望を描く際には、ダイバーシティやバリアフリー、ノーマリゼーション等の言葉も重要に思われますが、発達障害においてよく挙げられる「個性」という言葉の意味を掘り下げることがまず必要であると考えられます。

 では「個性」とは、また「個性を大切にする」とはどういうことでしょうか。

1.「個性」とは  「個性」とは、個人の独自な性質を言いますが、独自性は共通性があるからこそ生まれます。クレヨ

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「育てにくさ」と「育ちにくさ」(第二期:第4回③)

「育てにくさ」と「育ちにくさ」(第二期:第4回③)

 発達障害は遺伝の関与も指摘されていますが、コミュニケーションに問題を抱えやすいため、対人関係に失敗体験を蓄積していけば、思春期以降の交際から結婚に関わる時期に有利になるとは考えづらくなります。その面からもある意味で、結果的に、選定は行われているといえます。モテないという選定です。
 遺伝が関与するということは、親も同様の傾向を抱えている可能性が高いということで、当然、家庭の機能もその影響を受けま

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「生まれつき」という言葉
(第二期:第4回②)

「生まれつき」という言葉 (第二期:第4回②)

 発達障害や愛着障害にどのようにアプローチするか以前の問題として、発達障害に関連する「生まれつき」というキーワードについて考えていきます。生命観あるいは人間観というテーマに行き着く答えの出ないデリケートな内容かもしれませんが、人(特に子ども)に関わる以上、向き合うべきテーマです。

1.「命が生まれる」のはいつか? 「命が生まれる」のはいつでしょうか?
 誕生日と考えるのが一般的かもしれませんが、

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「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

 「愛着障害」と言った場合、診断基準である「DSM-5」に記載のある反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害を指します。愛着障害に限らず精神疾患には診断基準があり、診断を行うのは医師ですが、医師でなくとも知ることは重要です。前後して様々な問題や葛藤があるからです。診断はこのプロセスの1つです。

1.「反応性」と「脱抑制」2つの愛着障害「無差別警戒状態」の「反応性愛着(アタッチメント)障害」
 反応性

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「発達障害」について(第二期:第4回①)

「発達障害」について(第二期:第4回①)

1.「発達障害」とは 関連する本によく書かれているように、発達障害という名称は「総称」です。この言葉が示す範囲は、文脈により様々ですが、的確に捉えようとするならば、診断基準として使われる「DSM-5」の「神経発達症群/神経発達障害群」という章に記載されているものとすることが現在の最も広範囲での理解と言えます。

 もう少し狭い範囲で用いられるのが、最も多いように思われます。よく名前があがるASDと

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愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~
(第二期:第3回③)

愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~ (第二期:第3回③)

1.虐待と関連して(②への補足) 被虐待児特有の症状を被虐待児症候群と呼びますが、これは異常な環境における正常な反応で、セリグマンの実験で犬が示した学習性無力感やハーロウの実験でサルが示した反応と同様です。
 また、虐待は連鎖すると言われますが、実験環境で育ったサルも親になり育児をすることに困難を示したそうです。

2.愛着の体験から発揮へ 愛着対象を安全基地とすると、子どもは徐々に探索の範囲を広

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「愛着障害」理解の
前提となる関連事項(第二期:第3回②)

「愛着障害」理解の 前提となる関連事項(第二期:第3回②)

1.いくつかの用語、実験・調査研究 ヒトの新生児は非常に無力で、生後すぐに立ち上がる多くの哺乳類の新生児と同様の段階になるのは、1歳頃と考えられています。この早く生まれる現象を生理的早産、その後の約1年を子宮外胎児期と呼びます。どちらもポルトマンによる用語で、この時期の子どもがいかにデリケートな存在かが分かります。

 子ザルを針金製で哺乳瓶の付いている模型と布で覆った模型のある檻に入れて育てると

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「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

1.はじめに第3回は「愛着障害」を扱います。
未だに世間を賑わす「発達障害」に比べてまだまだ知名度は低いように思われますが、虐待やマルトリートメントの結果として現れる状態・傾向、さらに発達障害と同様に大人にとっての「育てにくさ」や当事者にとっての「生きにくさ」の原因として、知る必要があります。

愛着障害を理解するには、関連事項として、心理学的な意味としての「愛着」をはじめとする用語と、研究や実験

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「性」と「愛」~性的虐待、性教育、性の人間的発達など~(第二期:第2回④)

「性」と「愛」~性的虐待、性教育、性の人間的発達など~(第二期:第2回④)

1.性的虐待ついて性的な行為を強要することに限らず、大人の性行為を見せることや、性的暴言を投げかけることも含まれる性的虐待には、倫理観や道徳観、社会性とは異なる次元での生物としての本能ともいえる部分が関わっていることと考えられます。より生物的な意味での「ヒト」としての機能とでも呼ぶべきでしょうか。

動物においては、雄が自分の遺伝子を残すために選んだ雌に、他の雄との間の子どもがいれば、邪魔にしかな

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「ハラスメント」と「虐待」は似ている(第二期:第2回③)

「ハラスメント」と「虐待」は似ている(第二期:第2回③)

1.「虐待」と似ている3つのことハラスメント、つまり主に職場における権利侵害も基本的に虐待と同様と捉えるべきで、3つのことが言えます。①人権侵害であること②大人から子どもに向けられる虐待と同様に、主に上司から部下へと向けられること③心や脳が傷ついているかが問題なのであって、基本的に「受け手次第」であることです。

2.暴力はなくても暴力がある職場というのは滅多にないかもしれませんが、暴言や皆の前で

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各種の虐待・マルトリートメントと関連事項(第二期:第2回①)

各種の虐待・マルトリートメントと関連事項(第二期:第2回①)

第2回は、前回少しだけ触れた4つの虐待について、関係のある事柄を紹介し、さらにそこから発展して、「ハラスメント」と「愛」という言葉について触れます。前者は場所と対象者が変わっているに過ぎず虐待と大差ないこと、後者においては自分や「子ども」を理解する際の新たな視点となるはずです。

1.身体的虐待となる大人の行為「身体的虐待」となり得る大人側の行為は、①ただの暴力と②不可抗力、そして③不可抗力だと思

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「子どもとの関わり方」改善法<その2>(第二期:第1回③)

「子どもとの関わり方」改善法<その2>(第二期:第1回③)

前回の記事で解説しました「8:2の法則(パレートの法則)」を応用して、今回は「自己分析」、「スキルアップ」、「タイムマネジメント」の方法をご紹介します。

1.自己分析~社会に育てられた自分~まず、社会に育てられた自分を考えてみます。
自分が「子ども」だった社会人になるまでの期間に、職業として自分に関わってきた「大人」は何人いるでしょうか。
20かそれ以上の人数を挙げられるはずです。

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「CHEESE」という名称②(本研究会開催の意図③)

「CHEESE」という名称②(本研究会開催の意図③)

前々回と前回の記述で、
「発達障害」が溢れていることについて

①本当に溢れているなら、「発達障害」ではなくて
 「社会」を直す(治す)べきだ
②「発達障害」といわれている多くのケースが
 「生育」という視点が抜けており、実はほとんどが
 「愛着障害」である(と考えた方がいい)。
そんな主張をしました。

そして二つ目においては、
その人の「人生」をしたいという想いを
この研究会の名称に込めて

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