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「育てにくさ」と「育ちにくさ」(第二期:第4回③)
発達障害は遺伝の関与も指摘されていますが、コミュニケーションに問題を抱えやすいため、対人関係に失敗体験を蓄積していけば、思春期以降の交際から結婚に関わる時期に有利になるとは考えづらくなります。その面からもある意味で、結果的に、選定は行われているといえます。モテないという選定です。
遺伝が関与するということは、親も同様の傾向を抱えている可能性が高いということで、当然、家庭の機能もその影響を受けます。母親を中心とする環境としての「育てにくさ」と当事者の「育ちにくさ」が発達障害の最も重大なテーマと言えます。遺伝的関与は父親から男児への場合が最多と言われています。
1.育てにくさ
発達障害の情緒的交流の難しさは、初期から指摘されています。親子関係を支えるコミュニケーションが少なければ、育てづらいのは当然です。「育てにくさ」は発達障害の領域では早くから注目されていますが、(被虐待児の場合も)そもそも脳の働きが異なると言われており、得てして生じている問題です。
自閉症のケースは、そもそも「他者」のいない未分化な世界を生きていると言われています。他者がいなければ自己もなく、コミュニケーションという発想がそもそもありません。
被虐待児は「他者」を求めつつ同時に警戒します。見捨てられまいと注意を引きながら、攻撃と捉えれば回避や報復で応じます。
発達障害はこの10数年で良くも悪くも非常に注目されるようになりました。書店には数多くの本が並び、子育て支援も「育てにくさ」に焦点を当てながら、親に寄り添う形で様々に展開されています。どんな子どもも、大人から理解され、大人の手をかりて育ちますので、当たり前に好ましい変化ではあります。
2.育ちにくさ
その一方で、当事者である子どもの「育ちにくさ」はどれだけ注目されているでしょうか。そもそも子どもは言語によるコミュニケーションを得意とせず、発達障害や愛着障害の場合には、コミュニケーション自体がより難しくなります。彼らを理解するためには、言語以外の情報の理解がより重要になります。
多くのコミュニケーションが言語を媒介とするにも関わらず、そもそも子どもたちがそれを得意としないことは、前提として理解する必要があります。
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