見出し画像

「幼少期の虐待による複雑性PTSD」と診断されて腑に落ちた話

先日初めて心理カウンセリングを受けて、タイトル通りのことを診断されました。今後の治療のために、なぜカウンセリングを受けようと思ったのか、経緯を記しておこうと思います。同じように苦しい思いをしている方の参考になれば、という思いも込めて。


「なんか人生変かもしれない?」

・40代後半になり、周囲に比べて自分だけライフステージが変わらないことに虚しさを感じる。30代で結婚相談所、お見合い、マッチングアプリ、街コンなどかなりの数参加するも撃沈。(振り返ると本当に結婚したかったのか不明。両親を見ていて潜在意識では希望していなかった?)

仕事では身体の無理がきかなくなって来て、1人で抱え込み自分を追い詰めるような働き方をしていることにようやく気づく。多分、無意識に「認められたい」のと「見捨てられたくない」のと。休みになると体調を崩しがちだったが、そうなるまで不必要に追い詰めることが当たり前。転職したい気持ちと、諦めの気持ちも(無力感)。そもそも自分が何に向いているのか今だによくわらかない。

愛着障害に気づく

・生きづらさの原因を追究するうちに、「毒親」というキーワードから「愛着障害」だと気づく。

愛着障害:
両親などの養育者との愛着形成がうまくいかなかったため、対人関係や社会性に困難が発生(人との適切な距離感が取れない、頼れないなど)。

ビリーフ・チェンジの勉強

・藁にも縋る思いで、「ビリーフ・チェンジ」というマインドブロックを外す講座に半年通う。やはり生きづらさが両親、家系由来だと知る。

ビリーフ:
幼少期に生き延びるために必要だった固定観念、大人になると不要、生きづらさの原因となっている場合が多々。
例:「自分を死ぬほど追い詰めて働かなければ、存在価値がない」
(父親がこのような考え方だったので、無意識に同じ考えを潜在意識に刷り込まれた。なお、父親は自らを追い詰め仕事が原因でうつ病になり首つり自殺した)

・若い頃は気力と体力で駆け抜けていたが、中年になってガタが来て追い詰めることをやめざるを得なくなった。大事なのは、会社より仕事より自分だとようやく気付く。会社に「身体的に無理な働き方はできない」と宣言。

しかし自分を追い詰めなくなったせいか、

「自分を死ぬほど追い詰めて働かなければ、存在価値がない」-「自分を死ぬほど追い詰めて働かない」=「存在価値がない」

ビリチェンによれば、上記の図式により「存在価値がない」のみが残ると、うっすらと「なんかしんどい」「消えたい」(希死念慮。私の場合、自殺願望とは異なる)という症状が出るケースがある。例にもれず私にもそのような気持ちが出るように。顕在意識では「自分は生きているだけで価値があるのだ」と思っているのだが。むしろ、このような状況で生き延びて来れただけでも、私めちゃ偉くない?

・両親への激しい怒りが消えず苦しい状態が多くなる。トラウマによる「過覚醒(交感神経が過剰に高ぶっている状態)」?  満員電車などで過剰に人が怖い、怒りが出る、気持ちの張り詰め、眠りが浅い(たまに悪夢)。
ノートに気持ちを書き出すことで父(他界)への怒りはだいぶ落ち着いたが、母(健在)への怒り、また傷つけられるという恐怖で会いたくないという強い気持ちが出る。メールが来ただけでイライラ。年末年始、実家には帰省せず。

・「自分の命の源である両親を拒否することはエネルギーの流れに逆らう」というビリチェンの教えに葛藤。理屈は理解するが、すぐには受け入れがたい。無理に「両親を許そう」と思わなくて良いことを自分に許可する。(いずれ許せる日が来たらラッキー)
同じ教室の仲間にも、「ビリチェンの教えが全てではない、自分もおかしいと思うところはスルーする」と言ってもらえて心強く思う。
ビリチェンのセッション(インナーチャイルドの癒やし、エンプティチェア)も何回か受けるがピンと来ない。

・ずっと普通の家庭で生きて来たと思い込まされていたが、普通ではないと気づいてから強烈にしんどくなった。蓋をしたまま、気づかなかった方が楽だったのでは?とすら。熱があると知ったら、急に具合が悪くなるような感じ。

身体へのアプローチ

・思考が苦しいので、身体的アプローチを試みる(呼吸、五感、マインドフルネス系)。潜在意識にアプローチする動画を見て、本を読みまくる。

お気に入りのひとつ、ネドじゅんさんの呼吸法。ユニークでわかりやすくて好きです。癒されます。

KIKOさんの潜在意識の話。ちょっとスピも入るけどロジカルで実践的。

トラウマ治療が必要かも?

・三森みささんのトラウマ漫画を読み、自分は虐待が原因のトラウマ治療が必要かもしれない、と思い当たる。三森さんが作ってくれたXのコミュニティ「トラウマ治療中の情報交換部(参加者650人以上)」で情報収集を始める。カウンセリングを受けている人のブログ、クリニックのブログを読み漁る。

・とある都内クリニックのカウンセラーのブログを読み、信頼できそうな先生だと思って予約して訪問。カウンセリングを受け、複雑性PTSDだと知る。「やっぱり」「ほっ」「めんどくさい」などの気持ちが入り混じる。

カウンセリング内容メモ

話したこと、聞かれたこと

・成育歴(毒親育ち)と、今困っていること、取り組みたいことを話す。説明が下手くそなので、エクセルに状況を整理して印刷して持参し、見ながら。(読み切れなかったので、先生に渡して帰りました。)

困っていること:母親への消えない怒りとメンタル不調、眠りが浅い、過食、小学生からの歯ぎしり、無自覚の身体のこわばりなど。

取り組みたいこと:頭で考えて行き詰ったので、身体からアプローチする治療法を希望。元々身体の感覚が鈍い自覚あり(無意識の我慢)。

聞かれたこと:仕事に行けているか、親族にうつ病患者はいるか(父)、服用中の薬と通院状況(婦人科ピル)、食事、睡眠について。

脳の説明を受けて腑に落ちる

脳の前頭前野と扁桃体の話をされました。私の成育歴からすると、脳の発達に異常がありそうとのこと。

前頭前野:理性的な状況判断を行い、扁桃体を制御します。10-20代にかけて成長を続けます。
扁桃体:恐怖・不安・緊張・怒りなどの感情や、ストレス反応に重要な役割を持ちます。興奮すると不安や恐怖などの感情が沸きます。

「NIKKEI STYLE(健康・医療)」より

幼少期、トラウマ体験(親の機嫌を損ねるのが怖くて毎日ビクビクしながら生活をしていた)をすると、扁桃体の機能が活性化する=危険を察知する力が大きく、スピードが速くなる。その結果、不安や恐怖を感じやすくなる。大きくかつ速い力で抑え込んでおり、きっかけがあると爆発しやすいそうです。

ちなみに家庭内暴力や虐待を経験した子供の脳と、戦闘で心的外傷後ストレス障害(PTSD)となった兵士の脳の動きが類似していることが研究で明らかになっています。私の脳、戦争体験に匹敵する障害があるってこと???恐怖です。

大人になり前頭前野が発達すると、扁桃体の働きを制御することができるのですが、扁桃体の機能が異様に活性化したままなので、大人になっても必要以上に不安や恐怖(仕事や対人関係など)を感じ、生きづらさに繋がっているとのことでした。

私は小学生の頃から歯ぎしりがひどく(数年前に歯が割れて手術、毎日マウスピースをして寝ている)、日常的に肩や背中がこわばる自覚症状があります。とりわけ仕事に関しては、常に職場で誰かに監視されている気がしたり(そのような怖い人はいません)、不安や心配を過剰に感じやすく、自滅しがちです。
また、本当は転職にチャレンジしてみたいのに、「この年齢で転職してもどこも雇ってくれるはずない、クビになったら人生終わりだ」とか、婚活していた時は「結婚できなかったら人生詰む」と本気で思っていた時期がありました。父親から「お前は1人では何もできないダメな人間だ」と繰り返し言われることで潜在意識に刷り込まれ、このような不安を抱えていたのかと思っていました。しかし潜在意識だけではなく、実際に脳の働きがおかしいのだと知って腑に落ちました。

潜在意識は書き換えるなどのやり方がありますが、実際に書き換わるのかどうか何も保証はありませんし、やり方も何が正解なのかもあやふやだなと感じています。でも専門家による脳の治療であれば、より希望の光が見えるかも?と、少しほっとしたのです。

具体的には「ブレインスポッティング」と言う治療を次回からやって行くことになりました。治療も一進一退だったり、合う合わない、カウンセラーとの相性もあるようなので、どんな風に変化していくか、自分をしっかり観察したいと思います。

三森さんのコミュニティで様々な方の症状を拝見していますが、心の治療は十人十色だなと感じます。最適解を導きにくい。何年も闘っている方もいらっしゃいます。私は社会生活はできていますが、お家から出られない方、障碍者雇用で働いている方も。みんなそれぞれの辛さを抱えているんだなと感じています。こういう自助グループがあって、その情報にたどり着くことができる環境で良かったなと思います。

地味に傷ついた話

最近、複雑性PTSDであることを知人に話したら、「よくそんなことに気づいて治療しようと思ったね。考えて見れば、昭和の時代なんて精神がヤバそうなキレ散らかす親父とかいっぱいいたわけで、その人達なんて何も気づかずに死んでいったわけでしょ。そもそも心が健全な人なんてこの世に誰もいないんじゃないの?」と諭すように言われて、悪気がないことはわかるけれど、地味に傷ついたことがありました。

私は外側から見たら普通に社会生活ができているから深刻に取られないのかもしれませんが、辛いことは確かで、そこから逃れたくて治療をしようと決意しました。他人から見たら「それぐらい珍しくもない、大げさだ」と思うのかもしれませんが、その人の辛さはその人にしかわからないものなので、誰にもジャッジできないと思っています。

私の説明が不十分だったせいもあるかと思いますが、無理解な人に話すのはやめようと自戒。必要があって職場の人にも話したのですが(治療のために有給を取ることが増えるので)、「真面目だね」と言う人も。真面目だから勉強しているのではなく、しんどいから治療するのにな。

たまたま見かけた公認心理師さんのツイート。こころの複雑骨折以上の致命傷、または瀕死状態、うまい例えだなぁ。

ちなみに上司は、「まずは原因がわかって良かったです。うちの息子もADHDで治療は長期戦です」とレスポンスをくれました。ADHDとPTSDはまた別の話ではありますが、私の辛い気持ちを尊重してくれて気を使ってくれての発言だろう、という意味ではありがたかったな。病気の理解がないのはしょうがないけれど、気持ちに寄り添うって大事だな、と人のふり見て…だと思いました。



父親はこんな人でした。

愛着障害による私の障害。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?