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読書と平凡な日常

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本の紹介と感想、そこから選出したテーマによるエッセイをほぼ毎日書きます!!!!
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#一日一エッセイ

読書と平凡な日常31 自由とは

読書と平凡な日常31 自由とは

 どうも紅りんごです。最近は天気が芳しくないので、気分が晴れませんね。もし、翼が生えていたら雲の上まで飛んでいって鮮やかな空を目にできるのに。そんなことを思いつつ、その翼に関する作品を紹介します。

 31冊目は米澤穂信『いまさら翼といわれても』。表題作読了後の無力感には打ちひしがれる他ない。自由を奪われた残酷さと自由を与えられる残酷さ。10代の少年少女には背負うには重すぎる問いは、やはり氷菓シリ

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読書と平凡な日常30 後の祭り

読書と平凡な日常30 後の祭り

 どうも、紅りんごです。秋と言えば、食欲の秋、読書の秋、そして運動会に学園祭。少しずついい方向へと転換しつつあるコロナ禍ですが、それでも各イベントは中止されたり、オンラインでの開催がされたりしていることが多いです。今日はそんな今は無き華やかな学園祭を彷彿とさせる作品を紹介します。

 30冊目は米澤穂信『クドリャフカの順番』。(奉太郎と里志の会話については曖昧な記憶なので、確かではないです。)手違

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読書と平凡な日常25 孤高と孤独

読書と平凡な日常25 孤高と孤独

 どうも、紅りんごです。今日は中秋の名月ですね。月が見えないので、ただ団子を頬張るだけの夜になりそうです。今日は読了後にそんな「寂寥感」に包まれる作品を紹介します。

 演劇部に潜入し、学園祭に向けた発表を進めつつ、事件を追う主人公。追えば追うほど彼は事件の全貌を知り、同時に精神的に追い詰められていく。青春の残酷さが色濃く表現されている小説のため、読了後の寂寥感も濃いものがある。

 空に浮かぶ月

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読書と平凡な日常24 好きな物には正直で

読書と平凡な日常24 好きな物には正直で

 どうも、紅りんごです。先日お出かけしたついでに買った珈琲を今日淹れてみました。芳醇な蜂蜜の香りと後に残る甘味と珈琲の苦みが上手く共存していて、とても味わい深い一杯でした。珈琲は私の好物、今日はそんな「好きな物」に関わる作品です。

 24冊目は浅原ナオト『彼女が好きなものはホモであって僕ではない』。ひょんなことから、クラスメイトの女子が腐女子であることを知ってしまった主人公。彼女が学校で腐女子で

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読書と平凡な日常23 好きな終わり方

読書と平凡な日常23 好きな終わり方

 どうも、紅りんごです。昨日まで見ていた『時効警察 シーズン2』の最終回で「人間は何かを終わらせるために間違える」という言葉が出てきました。何だか哲学を感じさせる面白い言葉です。今日はそんな「終わり方の気になる作品」です。

 23冊目は小川哲『嘘と正典』。様々なテーマからなる短編集で、私はあまり好きではない作品でした。その理由は分かっています。単に私の好みの問題です。私は終わり方があまりに曖昧過

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読書と平凡な日常22 ロシアに青はない?

読書と平凡な日常22 ロシアに青はない?

 どうも、紅りんごです。季節は秋、日が暮れるのが早くなってきました。色鮮やかな夕暮れ時の空を見ると、いつも昔見た映画『マジックアワー』の事を思い出します。魔法なき世界に魔法がかかるひと時、とてもロマンティックな言葉だったので、よく覚えています。今日紹介するのはそんな「美しい」ものについての作品。

 22冊目はあさのあつこ『ぼくがきみを殺すまで』。自由に教育を受けていた子ども達が戦争に駆り出され、

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読書と平凡な日常21 羊を数えるな

読書と平凡な日常21 羊を数えるな

 どうも、紅りんごです。今日はいい創作アイデアを思いついたので、そこそこハッピーな一日でした。皆さんはどうでしたか? 何かトラブルに巻き込まれたりしていませんか? 今日はそんなトラブルにまつわる作品を紹介します。

 21冊目は中山七里『隣はシリアルキラー』。隣がシリアルキラーかもしれない、そんな疑念を抱いた主人公の焦燥感と危機感が伝わり、ドキドキが止まらない作品。技能実習生の問題が事件に暗い影を

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読書と平凡な日常20 正義の味方

読書と平凡な日常20 正義の味方

 どうも、紅りんごです。今日でこのエッセイも20回。度々休んだり、他のエッセイを書いたりしていましたが、ようやく20回目です。それでは、記念すべき20冊目はこちら。

 20冊目は中山七里『護られなかった者たちへ』。近々映画の公開が予定されている作品です。
 猟奇殺人と密接に関わる社会福祉制度。福祉は一体誰を護るためのものなのか、読了後に残るやりきれなさは中山七里先生の作品の中でも高いものがありま

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読書と平凡な日常19 白瀬咲耶と人形

読書と平凡な日常19 白瀬咲耶と人形

 どうも、紅りんごです。今日は一日中ゴロゴロして映画を観ていました。作品名は『ショーシャンクの空に』。かなり心に刺さる作品だったので、また今度お話したいと思います。そして今日紹介する作品も心に深く突き刺さります。

 19冊目は綾辻行人『Another』。クラスで「いないもの」とされている少女に話しかけてしまった転校生の恒一。その日を境に多発するクラス関係者の死。そこには三年三組に関わる深い呪いが

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読書と平凡な日常18 椅子の魔力

読書と平凡な日常18 椅子の魔力

 どうも、紅りんごです。スペース☆ダンディ1期2期共に見終わりました。適度に適当で締めるとこはちゃんと締める、永遠にやって欲しい魅力あるアニメでした。

「スペースダンディは、宇宙のダンディである。」
 これは、シンプルにこのアニメを示しているよくできたキャッチフレーズです。女好きでどうしようもないバカ、愛すべきダンディの雄姿を目に焼き付けるべきじゃんよ!!
 はい。スペースダンディのお話はここま

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読書と平凡な日常17 ロマンはロマン

読書と平凡な日常17 ロマンはロマン

 どうも、紅りんごです。少し肌寒くなってきましたね。夕暮れもかなり早いですし。九月も中頃、そろそろ中秋の名月……ですよね? お団子大好きなので、毎度毎度その日がやってくるのを心待ちにしています。きれいな満月を見ながら宇宙へ想いを馳せる……そんな夜がたまにはあってもいいですね。今日紹介するのは、ロマンあふれる宇宙のお話。

 17冊目は伊与原新『月まで三キロ』。上記以外におすすめするなら、表題作『月

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読書と平凡な日常16 がっこうぐらし!で学んだ武器

読書と平凡な日常16 がっこうぐらし!で学んだ武器

 どうも、紅りんごです。今日はゾンビランドサガのサキちゃんのコスプレがテレビで流れたらしいですね。ゾンビランドサガは、純子ちゃんの是非聞いていただきたいです。惚れるよ……あれは。
 今日紹介するのは、そんな『人間じゃない』ものについての作品。

 16冊目は綾辻行人『人間じゃない』。様々なジャンルの話が組み込まれた作品ですが、中でも表題作は異彩を放っています。漫画で読むことでより楽しめるとある工夫

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読書と平凡な日常15 ジャックとモリアーティ

読書と平凡な日常15 ジャックとモリアーティ

 どうも、紅りんごです。口内炎ができてイライラしてます。潰すこともできず、無視することもできずという微妙なサイズ。舌を針の様に尖らせることができればいいんですけどね……そうもいかないのが現実。よーしっ、気を取り直して行きましょう。

 過去に臓器移植された元患者が相次いで殺害される事件が発生。彼らは全員全ての臓器が摘出された上で、放置されていた。迷いない手口に鮮やかな手腕、警察は犯人を医療従事者と

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