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読書と平凡な日常25 孤高と孤独

 どうも、紅りんごです。今日は中秋の名月ですね。月が見えないので、ただ団子を頬張るだけの夜になりそうです。今日は読了後にそんな「寂寥感」に包まれる作品を紹介します。

五万石のゴリラ

 演劇部に潜入し、学園祭に向けた発表を進めつつ、事件を追う主人公。追えば追うほど彼は事件の全貌を知り、同時に精神的に追い詰められていく。青春の残酷さが色濃く表現されている小説のため、読了後の寂寥感も濃いものがある。

 空に浮かぶ月は一つ。それを孤高と捉えるか、孤独と捉えるか。誰も辿り着けない、そして誰しもの羨望の眼差しを受けるのが孤高、取り残されて誰も見つけてくれないのが孤独。二つは表裏一体で、相当なメンタルが無いと耐えられるものではありません。
 学園のアイドル、彼女もまた孤高であり、孤独でした。そのカリスマ性や高い能力故に頼れる人間が居なかった。人との触れ合いはあってもそれは心のケアではなかった。自分を凡人だと仮定して、彼らと線を引く人間達は偶像として、あるいは羨望の対象として担ぎ上げ、ただ見上げるだけ。たとえ自分が凡人でも天才に近づけるだけの努力をするべきです。勝手に諦めて、より努力した人間を孤立させる。そこに何の意味があるのか。

 生まれ持った才能はあるし、身体的な差や環境の差もあります。そこを否定しませんし、諦めなければならない場面もあるでしょう。それでも手放しに才ある人間を天才だと褒めたたえることは、自分の為にならない。諦めなければ夢は叶う、という言葉の通り、伸ばせる場所全てに手を伸ばし、あらゆる可能性を尽くして夢まで突っ走れる人間でありたいと思います。

 

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