今朝から曇り空をそこらじゅう浮かべていた カーテンレースの影がゆれるたび燦々と照りつける朝の光に燃えていた身体が緩んでいる やがて鉛白色の雨雲が次々とかけてきて…
塵のひとつもなかった闇の世界に閃光が走るように あの侵略者たちは突如として現れた そこらじゅうの木を切り倒しては家屋を立てて 無惨にも変わり果てた手足やつま先を拾…
朝の通勤時間帯の駅舎をくぐれば 電車遅れのアナウンスが響きわたる構内 真っ赤に染まる案内板を横目に見ながら わたしはいつもの改札を抜ける 春に似つかぬ曇り空の下 プ…
雨だれの音で目が覚めたのはいつぶりだろう かつては冬の心の奥底まで垂れこんだ鉛色の雲 淡い光が差し込むカーテンを開ければ鼠色の雲が目に映る 東から吹きつける横な…
今年もやってきた節分の日、 それぞれの部屋のすみっこに豆をまいた 1畳半のテラスに、 所狭しと靴が散乱した玄関に、 廊下の傘立てのすみっこに豆をまいた 福だけおう…
鉛色の冗長で低い雲たちに覆われた世界 鈍い薄黄色した太陽が空を回ったかも 分からぬまちの窓硝子を寒風が忙しなく叩く ガタガタと音を立てるこちらの世界の急斜面 暖と…
窓際のサイドテーブルに置いたパキラの最後の葉がひっそりと落ちた 大都会の一角にたたずむフラワーショップの前を何度も行き来したっけ そして何度目かで足を止め選りすぐ…
ジャズのベースの音がソファを伝って心地よく響く喫茶店の片隅で 年輪を重ねたヤニ色の壁にかかった振り子時計 カチカチと音を鳴らす もはや時を刻まなくなり久しいことを…
萌黄色に染まりゆく西の空、 手を伸ばせば届きそうな太陽と対峙する。 刻々と日は短くなってゆくのに、 どこまでも伸びてゆく影法師。 遠くにいるあなたのもとに、 届い…
まあいっか、でやり過ごすことを繰り返すうちに、やがて何も手に入らない空虚な人生になることに気がついたときの焦燥感。 拾うは易し、捨てるはなお難し、 拓くは勇まし…
人は誰しも、夢を見る。 現実が刻まれたコインの裏側に、恋人も知らない七色の虹。 目を覚ませば泡沫となり流れてく、摩訶不思議な夢。 人は誰しも、夢に見る。 限界とい…
リビングの隅でひっそりと時を刻むデジタル時計はまだ17:35を回ったばかりなのに、 秋茜の余韻も残さず濃紺の帳を下ろす空。 秋の日は釣瓶落とし、なんて呟くうちに 街路…
背の高い建物たちがくっきりと影を落とし、 植え込みから鈴虫の声が聞こえはじめた 夏休み最後の日曜日。 青搗(あおかち)色に染まりゆく西の空、 進みたい道を歩いている…
太陽が西に傾いて淡黄色ににじみゆく時間、 蝉の声の小さいことに夏の終わりを感じる。 たった14日間の生命は私たちの心に深く染み入り、ひっそりと亡骸になった。たった…
もう過去は振り返らない、なんてキザな台詞を口にしても、ふとした瞬間に戻りたくなる過ぎ去りしあの街角。 それはきっと、あなたが貴方らしく輝いてて心のままに踊ってい…
目の前にいる誰かを知りたくなったら、 そばにいるあの人の真意を知りたければ、 夢や目標へのチャンスが欲しければ、 指を咥えて不安げに立ちすくむのではなく その利き…
Ikko
2024年8月20日 20:41
今朝から曇り空をそこらじゅう浮かべていたカーテンレースの影がゆれるたび燦々と照りつける朝の光に燃えていた身体が緩んでいるやがて鉛白色の雨雲が次々とかけてきて私の影はすうっと姿を消したアルミ製の欄干に降りゆく雨粒この上なく奇跡に近い出逢いの合図たちに耳を傾けながらふと目を閉じるどこか遠くでアブラゼミの合掌に混じってひぐらしの鳴き声が聞こえいつしか座りこんだあの高台の芝生に腰を下
2024年8月15日 21:58
塵のひとつもなかった闇の世界に閃光が走るようにあの侵略者たちは突如として現れたそこらじゅうの木を切り倒しては家屋を立てて無惨にも変わり果てた手足やつま先を拾い上げては薪をくべて暖をとりはじめる赤子の熟す期をねらっては縄籠につめる生死が混じり合うユウトピアで旅支度に備えて眠る暇も与えない空の天使が舞い積もる頃に挨拶に訪ねたけれどすっかり空き家になったあの家族跡形もなくからがらにな
2024年5月9日 08:35
朝の通勤時間帯の駅舎をくぐれば電車遅れのアナウンスが響きわたる構内真っ赤に染まる案内板を横目に見ながらわたしはいつもの改札を抜ける春に似つかぬ曇り空の下プラットホームにひしめく人々が見える浅葱色やらパステルピンクの鮮やかな上着を羽織り5インチの世界線やらビルの境界線を虚ろな目で見つめているお金のため家族のため 娯楽のため生きるためさまざまな理由で着飾り電車になだれ込む
2024年3月12日 21:15
雨だれの音で目が覚めたのはいつぶりだろうかつては冬の心の奥底まで垂れこんだ鉛色の雲淡い光が差し込むカーテンを開ければ鼠色の雲が目に映る東から吹きつける横なぐりの雨をかすめてどこからか運ばれてきた芳しい薫り草の芽たちが息を潜める街路樹の下可憐に咲く一本の沈丁花瞼を閉じて深呼吸すればかつての追憶が想い出に変わるいつかは花開くと信じつづけたこの空の下私はあなたの心に咲く沈丁
2024年2月9日 19:31
今年もやってきた節分の日、それぞれの部屋のすみっこに豆をまいた1畳半のテラスに、所狭しと靴が散乱した玄関に、廊下の傘立てのすみっこに豆をまいた福だけおうちに入りなさい、おこがましさと身勝手さが混ざり合うようにシャラシャラ、と音を立てて小鉢に吸い込まれていく去年より1粒増えたのか、なんて至極当然なことを意味もなくつぶやき手を入れる小さい無垢で純情だったあの頃、わずかな
2024年1月28日 18:26
鉛色の冗長で低い雲たちに覆われた世界鈍い薄黄色した太陽が空を回ったかも分からぬまちの窓硝子を寒風が忙しなく叩くガタガタと音を立てるこちらの世界の急斜面暖とる一匹の羽虫が登ってゆく隔たれたこの世界からどう逃げ出すのか家主が洗濯物を取り込んだその時かいつ訪れるかも分からぬときを固唾を飲んで待っている登ってはぶつかる見えぬ壁答えはすぐそこにあるのに近づくほどに確信が持てなくな
2024年1月21日 18:34
窓際のサイドテーブルに置いたパキラの最後の葉がひっそりと落ちた大都会の一角にたたずむフラワーショップの前を何度も行き来したっけそして何度目かで足を止め選りすぐり君を買うことを決めたんだっけあんなに心地よさげにひなたぼっこして水浴びが大好きだった君ビルとビルのすき間の真上から窮屈そうに差し込む日光を浴びてめいっぱい背伸びしてからだじゅう輝かせていた君幹は朽ち葉は変色しすっかり変わり果
2024年1月14日 22:16
ジャズのベースの音がソファを伝って心地よく響く喫茶店の片隅で年輪を重ねたヤニ色の壁にかかった振り子時計カチカチと音を鳴らすもはや時を刻まなくなり久しいことを忘れたかのように来る日も来る日も 一定のリズムで振り子を揺らす磨りガラスの窓枠の向こう側冷たい空っ風に揺れる観葉樹がきらめく切り取られた淡い光が差し込めば コップの中のダンスホールで踊り狂う壁にかかった振り子時計が カチカチ
2023年11月26日 23:27
萌黄色に染まりゆく西の空、手を伸ばせば届きそうな太陽と対峙する。刻々と日は短くなってゆくのに、どこまでも伸びてゆく影法師。遠くにいるあなたのもとに、届いているだろうか。面影はどこにも見当たらぬけれど、あなたの影法師と同じ向きで重なり合ってると思えることが幸せだ。
2023年11月26日 01:56
まあいっか、でやり過ごすことを繰り返すうちに、やがて何も手に入らない空虚な人生になることに気がついたときの焦燥感。拾うは易し、捨てるはなお難し、拓くは勇ましきこと極まれり。まだ遅くない。その一歩を踏み出すんだ。
2023年11月10日 21:49
人は誰しも、夢を見る。現実が刻まれたコインの裏側に、恋人も知らない七色の虹。目を覚ませば泡沫となり流れてく、摩訶不思議な夢。人は誰しも、夢に見る。限界という行き止まりのない天井に、敷きつめられたシルクの絨毯。朝の日射しとともに布団をたたみ、夢のかすかな残り香を胸にしまい込む。…私は昨日、夢を見た。地平線に連なる煙突屋根の家々からこぼれる温かな明かりがぼんやり映る草っ原の丘の上で
2023年10月9日 17:57
リビングの隅でひっそりと時を刻むデジタル時計はまだ17:35を回ったばかりなのに、秋茜の余韻も残さず濃紺の帳を下ろす空。秋の日は釣瓶落とし、なんて呟くうちに街路樹はメロウ色の電飾を纏いだす。あと何回、あなたに逢えるだろうか。あと何回、あなたと時雨降る九段下で夢を唄いあえるだろうか。あと何回、汗ばむ額を拭いながら銀座を往来し一直線に伸びるビルを見上げられるだろうか。あと何回
2023年8月27日 22:03
背の高い建物たちがくっきりと影を落とし、植え込みから鈴虫の声が聞こえはじめた夏休み最後の日曜日。青搗(あおかち)色に染まりゆく西の空、進みたい道を歩いているか、歩くに相応しい人間であるか、繰り返し自分に問いかけてみる。可能性と希望、試練に満ちた未来を想い、ココロオドル方へ歩み続けよう。必ず道は拓けるはずさ。信じた道を歩み続けさえすれば。
2023年8月20日 00:13
太陽が西に傾いて淡黄色ににじみゆく時間、蝉の声の小さいことに夏の終わりを感じる。たった14日間の生命は私たちの心に深く染み入り、ひっそりと亡骸になった。たったひとつの抜け殻を遺して。蝉もヒトも亡骸はひとつだけれど、人の抜け殻は無限で、いくらでも生まれ変われる。それがちっぽけな決断やちょっとした行動だったとしても。
2023年8月18日 00:33
もう過去は振り返らない、なんてキザな台詞を口にしても、ふとした瞬間に戻りたくなる過ぎ去りしあの街角。それはきっと、あなたが貴方らしく輝いてて心のままに踊っていた頃。いくつもの選択肢のなかから選んでは繰り返し、呼吸のように得ては失うものがある。失ったものが遺したオモイダマに向き合えば、貴方の芯を司る考え方が得手不得手が見えてくるのだ。
2023年8月16日 22:43
目の前にいる誰かを知りたくなったら、そばにいるあの人の真意を知りたければ、夢や目標へのチャンスが欲しければ、指を咥えて不安げに立ちすくむのではなくその利き脚をいま一歩、踏み出そう。起こるかも分からぬ不安は、大抵は自分自身が生み出しそして杞憂で終わるのだから。