Ikko

1998/1/6 | 🎷📷️✈️📙☕ 多趣味でどこか、古くさい。そんな筆者が“自信”をテ…

Ikko

1998/1/6 | 🎷📷️✈️📙☕ 多趣味でどこか、古くさい。そんな筆者が“自信”をテーマに綴るエッセイ。 いつも、どんなときも「今がいちばんいい」と思える日々を過ごせるように。 国家資格キャリアコンサルタント取得者。

記事一覧

指折りおりて、夏過ぎぬ

今朝から曇り空をそこらじゅう浮かべていた カーテンレースの影がゆれるたび燦々と照りつける朝の光に燃えていた身体が緩んでいる やがて鉛白色の雨雲が次々とかけてきて…

Ikko
2か月前
1

侵略者

塵のひとつもなかった闇の世界に閃光が走るように あの侵略者たちは突如として現れた そこらじゅうの木を切り倒しては家屋を立てて 無惨にも変わり果てた手足やつま先を拾…

Ikko
2か月前
2

テールライト

朝の通勤時間帯の駅舎をくぐれば 電車遅れのアナウンスが響きわたる構内 真っ赤に染まる案内板を横目に見ながら わたしはいつもの改札を抜ける 春に似つかぬ曇り空の下 プ…

Ikko
5か月前
3

催花雨

雨だれの音で目が覚めたのはいつぶりだろう かつては冬の心の奥底まで垂れこんだ鉛色の雲 淡い光が差し込むカーテンを開ければ鼠色の雲が目に映る 東から吹きつける横な…

Ikko
7か月前

福豆

今年もやってきた節分の日、 それぞれの部屋のすみっこに豆をまいた 1畳半のテラスに、 所狭しと靴が散乱した玄関に、 廊下の傘立てのすみっこに豆をまいた 福だけおう…

Ikko
8か月前

窓這う羽虫にエールを

鉛色の冗長で低い雲たちに覆われた世界 鈍い薄黄色した太陽が空を回ったかも 分からぬまちの窓硝子を寒風が忙しなく叩く ガタガタと音を立てるこちらの世界の急斜面 暖と…

Ikko
8か月前

窓際のパキラのための晩餐歌

窓際のサイドテーブルに置いたパキラの最後の葉がひっそりと落ちた 大都会の一角にたたずむフラワーショップの前を何度も行き来したっけ そして何度目かで足を止め選りすぐ…

Ikko
9か月前
2

振り子時計

ジャズのベースの音がソファを伝って心地よく響く喫茶店の片隅で 年輪を重ねたヤニ色の壁にかかった振り子時計 カチカチと音を鳴らす もはや時を刻まなくなり久しいことを…

Ikko
9か月前
2

黄昏時の影法師

萌黄色に染まりゆく西の空、 手を伸ばせば届きそうな太陽と対峙する。 刻々と日は短くなってゆくのに、 どこまでも伸びてゆく影法師。 遠くにいるあなたのもとに、 届い…

Ikko
10か月前

徒然なるままに①

まあいっか、でやり過ごすことを繰り返すうちに、やがて何も手に入らない空虚な人生になることに気がついたときの焦燥感。 拾うは易し、捨てるはなお難し、 拓くは勇まし…

Ikko
10か月前

夢叶(かなう)列車

人は誰しも、夢を見る。 現実が刻まれたコインの裏側に、恋人も知らない七色の虹。 目を覚ませば泡沫となり流れてく、摩訶不思議な夢。 人は誰しも、夢に見る。 限界とい…

Ikko
11か月前

PRIDE~あといくつ~

リビングの隅でひっそりと時を刻むデジタル時計はまだ17:35を回ったばかりなのに、 秋茜の余韻も残さず濃紺の帳を下ろす空。 秋の日は釣瓶落とし、なんて呟くうちに 街路…

Ikko
1年前

PRIDE~今日も今日とて、生きる意味を探し続ける~

背の高い建物たちがくっきりと影を落とし、 植え込みから鈴虫の声が聞こえはじめた 夏休み最後の日曜日。 青搗(あおかち)色に染まりゆく西の空、 進みたい道を歩いている…

Ikko
1年前
1

PRIDE~一度きりの、抜殻と亡骸~

太陽が西に傾いて淡黄色ににじみゆく時間、 蝉の声の小さいことに夏の終わりを感じる。 たった14日間の生命は私たちの心に深く染み入り、ひっそりと亡骸になった。たった…

Ikko
1年前

PRIDE~あの頃を振り返りたくなったなら~

もう過去は振り返らない、なんてキザな台詞を口にしても、ふとした瞬間に戻りたくなる過ぎ去りしあの街角。 それはきっと、あなたが貴方らしく輝いてて心のままに踊ってい…

Ikko
1年前

PRIDE~与えよ、さらば与えられん~

目の前にいる誰かを知りたくなったら、 そばにいるあの人の真意を知りたければ、 夢や目標へのチャンスが欲しければ、 指を咥えて不安げに立ちすくむのではなく その利き…

Ikko
1年前

指折りおりて、夏過ぎぬ

今朝から曇り空をそこらじゅう浮かべていた

カーテンレースの影がゆれるたび燦々と照りつける朝の光に燃えていた身体が緩んでいる

やがて鉛白色の雨雲が次々とかけてきて
私の影はすうっと姿を消した

アルミ製の欄干に降りゆく雨粒
この上なく奇跡に近い出逢いの合図たちに耳を傾けながらふと目を閉じる

どこか遠くでアブラゼミの合掌に混じってひぐらしの鳴き声が聞こえ
いつしか座りこんだあの高台の芝生に腰を下

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侵略者

塵のひとつもなかった闇の世界に閃光が走るように
あの侵略者たちは突如として現れた

そこらじゅうの木を切り倒しては家屋を立てて
無惨にも変わり果てた手足やつま先を拾い上げては薪をくべて暖をとりはじめる

赤子の熟す期をねらっては縄籠につめる
生死が混じり合うユウトピアで旅支度に備えて眠る暇も与えない

空の天使が舞い積もる頃に挨拶に訪ねたけれどすっかり空き家になったあの家族
跡形もなくからがらにな

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テールライト

テールライト

朝の通勤時間帯の駅舎をくぐれば
電車遅れのアナウンスが響きわたる構内
真っ赤に染まる案内板を横目に見ながら
わたしはいつもの改札を抜ける

春に似つかぬ曇り空の下
プラットホームにひしめく人々が見える
浅葱色やらパステルピンクの鮮やかな上着を羽織り
5インチの世界線やらビルの境界線を虚ろな目で見つめている

お金のため家族のため   
娯楽のため生きるため
さまざまな理由で着飾り電車になだれ込む

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催花雨

催花雨

雨だれの音で目が覚めたのはいつぶりだろう

かつては冬の心の奥底まで垂れこんだ鉛色の雲
淡い光が差し込むカーテンを開ければ鼠色の雲が目に映る

東から吹きつける横なぐりの雨をかすめて
どこからか運ばれてきた芳しい薫り

草の芽たちが息を潜める街路樹の下
可憐に咲く一本の沈丁花

瞼を閉じて深呼吸すれば
かつての追憶が想い出に変わる

いつかは花開くと信じつづけたこの空の下
私はあなたの心に咲く沈丁

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福豆

今年もやってきた節分の日、
それぞれの部屋のすみっこに豆をまいた

1畳半のテラスに、
所狭しと靴が散乱した玄関に、
廊下の傘立てのすみっこに豆をまいた

福だけおうちに入りなさい、
おこがましさと身勝手さが混ざり合うように
シャラシャラ、
と音を立てて小鉢に吸い込まれていく

去年より1粒増えたのか、
なんて至極当然なことを意味もなくつぶやき手を入れる

小さい無垢で純情だったあの頃、
わずかな

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窓這う羽虫にエールを

鉛色の冗長で低い雲たちに覆われた世界

鈍い薄黄色した太陽が空を回ったかも
分からぬまちの窓硝子を寒風が忙しなく叩く

ガタガタと音を立てるこちらの世界の急斜面
暖とる一匹の羽虫が登ってゆく

隔たれたこの世界からどう逃げ出すのか
家主が洗濯物を取り込んだその時か
いつ訪れるかも分からぬときを固唾を飲んで待っている

登ってはぶつかる見えぬ壁
答えはすぐそこにあるのに近づくほどに
確信が持てなくな

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窓際のパキラのための晩餐歌

窓際のサイドテーブルに置いたパキラの最後の葉がひっそりと落ちた
大都会の一角にたたずむフラワーショップの前を何度も行き来したっけ
そして何度目かで足を止め選りすぐり君を買うことを決めたんだっけ

あんなに心地よさげにひなたぼっこして水浴びが大好きだった君
ビルとビルのすき間の真上から窮屈そうに差し込む日光を浴びて
めいっぱい背伸びしてからだじゅう輝かせていた君

幹は朽ち葉は変色しすっかり変わり果

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振り子時計

ジャズのベースの音がソファを伝って心地よく響く喫茶店の片隅で
年輪を重ねたヤニ色の壁にかかった振り子時計
カチカチと音を鳴らす
もはや時を刻まなくなり久しいことを忘れたかのように
来る日も来る日も 一定のリズムで振り子を揺らす

磨りガラスの窓枠の向こう側
冷たい空っ風に揺れる観葉樹がきらめく
切り取られた淡い光が差し込めば コップの中のダンスホールで踊り狂う

壁にかかった振り子時計が カチカチ

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黄昏時の影法師

黄昏時の影法師

萌黄色に染まりゆく西の空、
手を伸ばせば届きそうな太陽と対峙する。

刻々と日は短くなってゆくのに、
どこまでも伸びてゆく影法師。

遠くにいるあなたのもとに、
届いているだろうか。

面影はどこにも見当たらぬけれど、
あなたの影法師と同じ向きで重なり合ってると思えることが幸せだ。

徒然なるままに①

まあいっか、でやり過ごすことを繰り返すうちに、やがて何も手に入らない空虚な人生になることに気がついたときの焦燥感。

拾うは易し、捨てるはなお難し、
拓くは勇ましきこと極まれり。

まだ遅くない。その一歩を踏み出すんだ。

夢叶(かなう)列車

夢叶(かなう)列車

人は誰しも、夢を見る。
現実が刻まれたコインの裏側に、恋人も知らない七色の虹。
目を覚ませば泡沫となり流れてく、摩訶不思議な夢。

人は誰しも、夢に見る。
限界という行き止まりのない天井に、敷きつめられたシルクの絨毯。
朝の日射しとともに布団をたたみ、夢のかすかな残り香を胸にしまい込む。

…私は昨日、夢を見た。
地平線に連なる煙突屋根の家々からこぼれる温かな明かりがぼんやり映る
草っ原の丘の上で

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PRIDE~あといくつ~

PRIDE~あといくつ~

リビングの隅でひっそりと時を刻むデジタル時計はまだ17:35を回ったばかりなのに、
秋茜の余韻も残さず濃紺の帳を下ろす空。

秋の日は釣瓶落とし、なんて呟くうちに
街路樹はメロウ色の電飾を纏いだす。

あと何回、
あなたに逢えるだろうか。
あと何回、
あなたと時雨降る九段下で夢を唄いあえるだろうか。
あと何回、
汗ばむ額を拭いながら銀座を往来し一直線に伸びるビルを見上げられるだろうか。

あと何回

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PRIDE~今日も今日とて、生きる意味を探し続ける~

背の高い建物たちがくっきりと影を落とし、
植え込みから鈴虫の声が聞こえはじめた
夏休み最後の日曜日。

青搗(あおかち)色に染まりゆく西の空、
進みたい道を歩いているか、
歩くに相応しい人間であるか、
繰り返し自分に問いかけてみる。

可能性と希望、試練に満ちた未来を想い、
ココロオドル方へ歩み続けよう。

必ず道は拓けるはずさ。
信じた道を歩み続けさえすれば。

PRIDE~一度きりの、抜殻と亡骸~

太陽が西に傾いて淡黄色ににじみゆく時間、
蝉の声の小さいことに夏の終わりを感じる。

たった14日間の生命は私たちの心に深く染み入り、ひっそりと亡骸になった。たったひとつの抜け殻を遺して。

蝉もヒトも亡骸はひとつだけれど、
人の抜け殻は無限で、
いくらでも生まれ変われる。

それがちっぽけな決断やちょっとした行動だったとしても。

PRIDE~あの頃を振り返りたくなったなら~

もう過去は振り返らない、なんてキザな台詞を口にしても、ふとした瞬間に戻りたくなる過ぎ去りしあの街角。

それはきっと、あなたが貴方らしく輝いてて心のままに踊っていた頃。

いくつもの選択肢のなかから選んでは繰り返し、呼吸のように得ては失うものがある。

失ったものが遺したオモイダマに向き合えば、貴方の芯を司る考え方が得手不得手が見えてくるのだ。

PRIDE~与えよ、さらば与えられん~

目の前にいる誰かを知りたくなったら、
そばにいるあの人の真意を知りたければ、
夢や目標へのチャンスが欲しければ、

指を咥えて不安げに立ちすくむのではなく
その利き脚をいま一歩、踏み出そう。

起こるかも分からぬ不安は、大抵は自分自身が生み出しそして杞憂で終わるのだから。