窓際のパキラのための晩餐歌

窓際のサイドテーブルに置いたパキラの最後の葉がひっそりと落ちた
大都会の一角にたたずむフラワーショップの前を何度も行き来したっけ
そして何度目かで足を止め選りすぐり君を買うことを決めたんだっけ

あんなに心地よさげにひなたぼっこして水浴びが大好きだった君
ビルとビルのすき間の真上から窮屈そうに差し込む日光を浴びて
めいっぱい背伸びしてからだじゅう輝かせていた君

幹は朽ち葉は変色しすっかり変わり果てた姿でひっそりと終わりを迎えた

どうしておわりってこんなに一瞬でそして儚いんだろう
はじまりに汗をかき続けるために身を粉にした日々が嘘のように
円のかたちした綱渡りに私たちは抗えない

あらゆるものにおわりがあっけなく来るのなら
わたしは抗うことなくはじめを続けたいそして
大切なあなたとその日がくるまで歩みつづけたい


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