「とまれ」
優先順位を考えると今は絶対に違うのに、どうしても書かないといけない気がして。眠らなかった後悔と今を言葉にしなかった後悔、どっちのほうが大きいかなんて分かり切っていて、相変わらずこんな時間にしか書けないわたしに呆れて、呆れ切って、今。
消えたいという感情はなくて、むしろシンプルに生活したい、のにそうはさせてくれない環境になんだかなあという日々です。今の環境を選んだのはわたしで、この環境を愛しているのもわたしで、でも、もっと簡単に生きさせてほしい、なんてわたしもいる。中途半端に環境に追い込まれて、家に着いた瞬間眠る。休みの日は外に出られない、約束も断ってしまう。家具を新調して、好きなものを並べて、部屋を綺麗にして、ほかの誰にも見えないわたしを整えることで精いっぱい、みんなから見えるわたしのことを気にするのが億劫になりました。ぜんぶ、周りのせいにしているなあ、わたし。
社会不適合者という言葉はわたしにピッタリでしょうか。一体なにが「適合している人間」なのか。早くも同期が会社を去る。新卒入社、約20日。たった20日の間になにが同期の心を蝕んでしまったのか、責任は会社なのか、同期なのか。なにかのせいにしたい、人間の悪いところがわたしの中にもいる。なにに対して厳しくするべきなのか。少なくともわたしは今の環境が好きだけど、同期のことも好きで、二か月後には辞めてしまう師匠も、採用担当の先輩も、広報の先輩も、みんな好きだ。前向きに辞めていくのは師匠ぐらい。マイナスを抱えて去る人に対してわたしがかけるべき言葉は一体、なんだろう。
人間には色んな顔がある。仕事をしているとき、画面の向こうの就活生に厳しい現実を突きつける。ありがとうと言われることもあれば、音信不通になることもある。今ではなく、その子の未来を見据えた言葉を選べ、という教えに共感して発する言葉、もし自分が画面の向こうにいて、同じ言葉を向けられると怯えて逃げてしまうだろう。むかつくかもしれない。でも、そんなことを仕事にしているのが、わたしだ。
悔しくて泣いている。でも、そんな姿を誰にも見せず、毎日なにも分からないふりをして生きている。そんな能天気なわたしのことを気に入ってくれた先輩、が連れて行ってくれた社長との会合、わたしは何も発することができなかった。
師匠は恋人の前だと男になるし、わたしを採用した先輩は会社の内情を全部暴露するし、酔った勢いで連絡先を交換してくれた先輩との飲みの約束は実現するのか分からないし、手を繋いで帰った先輩は次の日普通に彼女に会いに行っているし、月曜日会社に行くと、みんな平然とした顔でパソコンに向かっている。
新卒社員が数百人いる中で、たった一人特別枠を用意され、師匠の事業部に引き抜かれたわたしは、たまらなく孤独、なんだと思う。話も休みも合わなくなった同期、大きく変わった環境、早すぎる先輩だらけの飲みの場への誘い、贅沢な日々とそれに感謝できない自分のギャップが苦しくて、ずっと眠っている。
周りから見ると、優秀な新卒なのかもしれない。むかつく新卒かもしれないし、噂ほどではない新卒かもしれない。かといって、プレッシャーを感じるほど頑張ってもいなくて、内定者のころにあった熱が冷めている自分と、そんな現実から目を背けたい自分との間でずっと葛藤している。
思考を殺す。そうやって自分を守っている。環境から受けるダメージを素直に受けて涙を流していたわたしはいない。ある程度で受け取って、ある程度は受け流して、平気なふりをして、考えることをやめた。そんなことを無意識に続けていたからか、わたしはここ数か月、ずっと「とまれ」にいる気がする。
感情が大きく動いてしまうような出来事を避けて、守りの姿勢に入った。無駄なダメージを減らして、自分を閉じ込めた。ずっと同じ間違いを繰り返す自分のことを責めて、いちばん簡単なところから改善した。残った醜さを変えるためには頑張らないといけなくて、頑張ることが億劫な今のわたしは、ずっとわたしを更新できずにいる。
心が大きく動くものはたくさんあるはずなのに触れるのが怖くて遠ざけてしまう、そんなわたしの行動はSNSに顕著にでる、いたりいなかったり、自分の感情のままここにいるのがわたしです、いつもごめんね、ありがとう
自分との約束を守れないわたしが嫌いです、最近はだれかとの約束も守れません。そうやって自分のことを最低にして、もう失うものはないよって安心してる。わたしの幸せって、こんなに薄く代替可能なものだったっけ。
本当にいい香りがした先輩、先輩ではなく香りを完全に忘れられなくなってしまって、あの香りを手に入れるまではわたしは何にも満足できない気がしている。たったそれだけのものにここまで心を動かされているわたしのことがこわい、一体いつからこんなにも感情を押し殺していたんだろう、ね。
会いたいです、好奇心だけで会えた過去の人。ネットの向こうの人に会うことを全くためらわなかった過去のわたしに拍手、いまのわたしは誰かに会うぐらいならひとりでお布団にくるまれている方が好きだ、それぐらい今のわたしの行動力はお休みしています。こんな社会不適合者も明日は平然とした顔で会社に行く、なのにそうじゃないみんなは、一体どれだけ大きな苦しみを抱えているの。
こうやって書いた言葉を見返すと、本当、わたしはだれかのせいばっかりで、なにもかも他人の話のように書いて、わたしを守って、守って、守っている。だからこんな夜にしか言葉を残せないんだよ、それも全部甘えなんだよ、戦えよ、わたし。
よくわからない形をしたわたしのプライドが今のわたしの最大の敵です。まだわたしに向き合いきれない、言い訳ばかりのわたし。新卒25日目。現実的な「とまれ」なんかにわたしは負けない。
よし。
この記事が参加している募集
いつか青い鳥になって、あなたの下へ幸せを届けます。