ゆうま

理学療法士/整形外科クリニックで勤務しております。 回復期病院、急性期病院、クリニック…

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理学療法士/整形外科クリニックで勤務しております。 回復期病院、急性期病院、クリニックを経験し、運動器分野に興味を持ちました。 認定理学療法士、骨粗鬆症マネージャー取得に向けて勉強中。 論文を通して得た知見を発信していきます。 記事のリクエストや質問お受けしております!

記事一覧

前十字靱帯損傷〜女性に多い理由とは〜

本日は前十字靭帯損傷が女性に多い理由についての記事を書いていこうと思います. 性差については前回の記事をご覧になって頂ければと思います. ◎疫学 ☑︎女性アスリー…

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3か月前

前十字靱帯損傷のRisk factor〜性差〜

本日は,前十字靭帯損傷のRisk factorについての記事を書こうと思います. 今回は性差に着目します. ◎はじめに ☑︎女性は,男性に比較してACL損傷リスクが3倍である. (Ke…

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4か月前
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胸腰筋膜〜リクエスト記事〜

「胸腰筋膜」に関する記事のリクエストがありましたので、本日はそちらの記事を書こうと思います. ◎解剖 胸腰筋膜は,胸部と腰部の固有背筋を包んでいる筋膜のことを指し…

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4か月前
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前十字靭帯損傷〜受傷機転について②〜

前十字靭帯損傷の受傷機転についての記事 第2弾です. 以下の写真は,前十字靱帯損傷の瞬間を捉えたカメラの写真です. (model-based image-matchingという機械を使用) 前…

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4か月前

前十字靱帯損傷~サッカーにおける受傷機転〜

本日は前十字靱帯損傷(ACL)についての記事を書こうと思います. ◎疫学 ☑︎サッカーにおけるACL損傷は,1000試合中0.06〜10人の割合で発生する. なかでもプロ選手の受…

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5か月前

小児の運動器疾患〜概論〜

縁があって,小児の運動器疾患を担当させて頂く機会が増えましたので,小児の運動器疾患に関する記事を書いていこうと思います. ◎年代別 スポーツが原因で受診した症例の…

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5か月前
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変形性股関節症に関する知見

本日は股関節OAに関する知見を記載していきます. ◎はじめに ☑︎股関節OAにおける関節可動域制限は相関を認め,特に股関節屈曲可動域制限が,股関節OAの診断における一貫…

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5か月前
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寛骨大腿リズムを考える

本日は寛骨大腿リズムについての記事を書こうと思います. ◎寛骨大腿リズムとは☑︎股関節屈曲運動の際,股関節屈曲運動に伴い,骨盤が後傾することを寛骨大腿リズムといい…

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5か月前

臼蓋形成不全症〜X-pによるCE角の評価〜

本日は,前回に引き続き臼蓋形成不全症についての記事を書こうと思います. 今回はX-p(レントゲン画像)におけるCenter-Edge Angle(以下,CE角)に着目して記事を書きます. …

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7か月前
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寛骨臼臼蓋形成不全症

本日は寛骨臼臼蓋形成不全症についての記事を書こうと思います. 前回の変形性股関節OA記事で,二次性変形性股関節症の原因の80%を寛骨臼形成不全症が占めると記載しました.…

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8か月前
6

理学療法士としての成長を考える

本日は理学療法士として成長するために大切だと思っていることを書いていこうと思います.私のnoteをご覧いただいてる方は,理学療法士(中には作業療法士や柔道整復師,鍼灸…

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8か月前
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変形性股関節症

今日は変形性股関節(以下、股関節OA)についての記事を書こうと思います. ◎一次性と二次性股関節OA 股関節OAには一次性と二次性があります. 一次性:明らかな原因疾患がな…

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8か月前
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献体解剖セミナーへの参加

先日、札幌医科大学で開催されました「メディカルスタッフのための運動器解剖セミナー」に参加してきました。 ご献体の解剖をさせて頂いたのは初めてでした. 私の尊敬する…

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8か月前

Hip Spine Syndrome

本日はHip Spine Syndromeについての記事を書こうと思います. 前回まで腰痛の記事を書いてきました. 腰痛を考える上でも大切な考え方だと考えています. ◎概念 Hip-Spine…

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8か月前
5

仙腸関節障害〜疫学〜

本日は,仙腸関節障害の年齢別発生頻度について記事を書こうと思います. ◎仙腸関節障害例の年齢分布 仙腸関節障害は,60歳以上の高齢者が49.7%を占めていたと報告されてい…

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9か月前
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仙腸関節性腰痛〜バイオメカニクスからみる疼痛要因〜

本日は仙腸関節性腰痛をバイオメカニクスの観点から考えてみようと思います. 前回の記事では,仙腸関節腔に比較して後方靭帯組織に侵害受容器が豊富であるとの記事を書きま…

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9か月前
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前十字靱帯損傷〜女性に多い理由とは〜

前十字靱帯損傷〜女性に多い理由とは〜

本日は前十字靭帯損傷が女性に多い理由についての記事を書いていこうと思います.
性差については前回の記事をご覧になって頂ければと思います.

◎疫学

☑︎女性アスリートは,男性に比較してACL損傷のRiskが3倍である.
(Kelvin R et al:Cureus.2021より)

☑︎同じスポーツで比較した場合,女性選手の方が男性選手に比較して受傷が多い.
(Moses B et al:Res

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前十字靱帯損傷のRisk factor〜性差〜

前十字靱帯損傷のRisk factor〜性差〜

本日は,前十字靭帯損傷のRisk factorについての記事を書こうと思います.
今回は性差に着目します.

◎はじめに

☑︎女性は,男性に比較してACL損傷リスクが3倍である.
(Kevin Rodriguez et al:Anterior Cruciate Ligament Injury: Conservative Versus Surgical Treatment.Cureus 13.20

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胸腰筋膜〜リクエスト記事〜

胸腰筋膜〜リクエスト記事〜

「胸腰筋膜」に関する記事のリクエストがありましたので、本日はそちらの記事を書こうと思います.

◎解剖

胸腰筋膜は,胸部と腰部の固有背筋を包んでいる筋膜のことを指します.
(由留木 裕子 ほか:腰背部痛における胸腰筋膜の関与.総合福祉科学研究 第10号.2019より)

胸腰筋膜は3層構造をしていると報告されており,
1.Posterior layer:固有背筋を覆う
2.Middle laye

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前十字靭帯損傷〜受傷機転について②〜

前十字靭帯損傷〜受傷機転について②〜

前十字靭帯損傷の受傷機転についての記事 第2弾です.

以下の写真は,前十字靱帯損傷の瞬間を捉えたカメラの写真です.
(model-based image-matchingという機械を使用)

前回の記事では,56%の症例においてcontact損傷が多いと記載しました.
他の論文では,非接触型損傷が70%を占めるとされています.
(Hideyuki Koga et al:Mechanism for

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前十字靱帯損傷~サッカーにおける受傷機転〜

前十字靱帯損傷~サッカーにおける受傷機転〜


本日は前十字靱帯損傷(ACL)についての記事を書こうと思います.

◎疫学

☑︎サッカーにおけるACL損傷は,1000試合中0.06〜10人の割合で発生する.
なかでもプロ選手の受傷率が高い.
(Bjordal JM et al:Epidemiology of anterior cruciate ligament injuries in soccer.Am J Sports Med.199

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小児の運動器疾患〜概論〜

小児の運動器疾患〜概論〜

縁があって,小児の運動器疾患を担当させて頂く機会が増えましたので,小児の運動器疾患に関する記事を書いていこうと思います.

◎年代別

スポーツが原因で受診した症例の年齢分布によると,小学校入学の7歳から増加し,17歳が最も多く,次いで16歳,18歳の順で,中高生の患者が多くを占めていた.

◎競技・受傷関節別

競技別にみると,サッカーが最も多く,次いでバスケットボール,野球の順で傷害発生率が高

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変形性股関節症に関する知見

変形性股関節症に関する知見

本日は股関節OAに関する知見を記載していきます.

◎はじめに

☑︎股関節OAにおける関節可動域制限は相関を認め,特に股関節屈曲可動域制限が,股関節OAの診断における一貫した特徴である.
(Altman R et al:The American College of Rheumatology cri- teria for the classification and reporting of o

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寛骨大腿リズムを考える

寛骨大腿リズムを考える

本日は寛骨大腿リズムについての記事を書こうと思います.

◎寛骨大腿リズムとは☑︎股関節屈曲運動の際,股関節屈曲運動に伴い,骨盤が後傾することを寛骨大腿リズムといいます.(古後 晴基:股関節屈曲運動における寛骨大腿リズムおよび寛骨後傾の左右差.理学療法科学26(4):521-524,2011より)

☑︎片側大腿挙上運動において,骨盤後傾1°に対し,正味の股関節屈曲角度2.8°であることを示し,股

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臼蓋形成不全症〜X-pによるCE角の評価〜

臼蓋形成不全症〜X-pによるCE角の評価〜

本日は,前回に引き続き臼蓋形成不全症についての記事を書こうと思います.
今回はX-p(レントゲン画像)におけるCenter-Edge Angle(以下,CE角)に着目して記事を書きます.

◎レントゲンからみる臼蓋形成不全症

CE角は股関節正面像にて計測をします.
大腿骨頭中心を通る垂線と,大腿骨頭中心と寛骨臼蓋外側縁を結ぶ線の成す角度を
指します.

☑︎診断基準としては,
20°未満:臼蓋形

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寛骨臼臼蓋形成不全症

寛骨臼臼蓋形成不全症

本日は寛骨臼臼蓋形成不全症についての記事を書こうと思います.
前回の変形性股関節OA記事で,二次性変形性股関節症の原因の80%を寛骨臼形成不全症が占めると記載しました.寛骨臼形成不全症について理解しておくと,目の前の患者様が一次性変形性股関節症なのか二次性変形性股関節症なのかを理解しやすくなります.

◎病態

☑︎寛骨臼臼蓋形成不全症は大腿骨頭に対する寛骨臼の被覆率が減少している病態であり,局所

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理学療法士としての成長を考える

理学療法士としての成長を考える

本日は理学療法士として成長するために大切だと思っていることを書いていこうと思います.私のnoteをご覧いただいてる方は,理学療法士(中には作業療法士や柔道整復師,鍼灸師の方も)として成長したいという方だと思います.そんな方に向けた
記事になります.
これは私の尊敬する,ある理学療法士の先生に教えて頂いたことですが,自分なりに解釈したものを記事にしたいと思います.

◎何故この記事を書こうと思ったか

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変形性股関節症

変形性股関節症

今日は変形性股関節(以下、股関節OA)についての記事を書こうと思います.

◎一次性と二次性股関節OA

股関節OAには一次性と二次性があります.
一次性:明らかな原因疾患がなく,加齢に起因するもの
二次性:原因疾患に続発して生じるもの
→先天性股関節脱臼,寛骨臼臼蓋形成不全症など

◎疫学

☑︎一次性股関節OAの頻度は,統一された診断基準がないため, 研究結果によって差があるが概ね20%以下で

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献体解剖セミナーへの参加

献体解剖セミナーへの参加

先日、札幌医科大学で開催されました「メディカルスタッフのための運動器解剖セミナー」に参加してきました。

ご献体の解剖をさせて頂いたのは初めてでした.
私の尊敬する理学療法士の先生に,解剖学・生理学・運動学の大切さと,特に運動器の分野においては触診技術が必要と教えて頂きました.
実際に自分が治療対象としている軟部組織はどのように走行しているのか?
疎性結合組織や滑膜性脂肪ってどういう構造をしている

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Hip Spine Syndrome

Hip Spine Syndrome

本日はHip Spine Syndromeについての記事を書こうと思います.
前回まで腰痛の記事を書いてきました.
腰痛を考える上でも大切な考え方だと考えています.

◎概念

Hip-Spine syndromeとは,股関節疾患と脊椎疾患の合併例が呈する複雑な臨床症状であるとMacnabらによって報告されました.
(Offeski,C.M et al:Hip Spine syndrome.Spi

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仙腸関節障害〜疫学〜

仙腸関節障害〜疫学〜

本日は,仙腸関節障害の年齢別発生頻度について記事を書こうと思います.

◎仙腸関節障害例の年齢分布

仙腸関節障害は,60歳以上の高齢者が49.7%を占めていたと報告されています.
※143名を対象(男性:54名 女性:89名)
(黒澤 大輔ほか:仙腸関節由来の痛みとADL障害.日本運動器疼痛学会誌.2020より)
一方で,
☑︎どの年代,性別でも起こり得る非常にありふれた病態で,一般的には腰殿部

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仙腸関節性腰痛〜バイオメカニクスからみる疼痛要因〜

仙腸関節性腰痛〜バイオメカニクスからみる疼痛要因〜

本日は仙腸関節性腰痛をバイオメカニクスの観点から考えてみようと思います.

前回の記事では,仙腸関節腔に比較して後方靭帯組織に侵害受容器が豊富であるとの記事を書きました.前回の記事も合わせてお読みいただけると理解が深まると思います.

仙腸関節のバイオメカニクス

腸骨に対する仙骨のうなずき運動:ニューテーション
腸骨に対する仙骨の起き上がり運動:カウンターニューテーションといいます.
仙腸関節の

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