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寛骨大腿リズムを考える

本日は寛骨大腿リズムについての記事を書こうと思います.

◎寛骨大腿リズムとは

☑︎股関節屈曲運動の際,股関節屈曲運動に伴い,骨盤が後傾することを寛骨大腿リズムといいます.(古後 晴基:股関節屈曲運動における寛骨大腿リズムおよび寛骨後傾の左右差.理学療法科学26(4):521-524,2011より)

☑︎片側大腿挙上運動において,骨盤後傾1°に対し,正味の股関節屈曲角度2.8°であることを示し,股関節屈曲運動に骨盤大腿リズムが存在する.
(Bohannon RW et al:Relationship of pelvic and thigh motions during unilateral and bilateral hip flexion,Phys There 65(10):1501-1504,1985より)

肩関節において,肩甲骨と上腕骨の間での肩甲上腕リズムは有名ですが,股関節においても,股関節屈曲と寛骨後傾にはリズムがあることが報告されています.


小川 智美 ほか:大腿挙上運動における股関節屈曲と骨盤後傾運動のリズム.理学療法学.2002より引用

男子学生9名を対象に(平均年齢23.2歳±3.7歳),ジャイロセンサーを用い背臥位での膝関節屈曲を伴う大腿挙上運動の自動運動を測定した研究です.
→大腿挙上10°まで骨盤前傾方向への運動がみられ,大腿挙上10°〜90°に至るまで,骨盤後傾運動1°に対して股関節屈曲運動6°の割合で直線的に変化した.
また,大腿挙上運動に際して,骨盤後傾運動以外に大腿挙上側への横断面での回旋運動が7.7°±1.9°みられた.

つまり,
★〜股関節10°まで:骨盤前傾
★股関節屈曲10°〜90°:骨盤後傾1°に対して,股関節屈曲6°の寛骨大腿リズムが生じ
加えて,挙上側への回旋が生じる.
この原理を利用したのが,仙腸関節障害の評価とされているGillet testやActive SLR test であると私は考えています.
大腿挙上運動には骨盤後傾の可動域が必要なこと,骨盤が同側回旋位を保持するだけの筋力(内腹斜筋など)が必要なことが示唆されます.
また,腰椎骨盤リズムという言葉もありますが,腸骨と腰椎は腸腰靭帯が存在する為
骨盤後傾に付随して腰椎後弯の可動域が必要だと考えられます.

腰痛や股関節疾患の患者様を評価・治療する上では上記の知識を念頭に置いて
理学療法を行うことが大切だと個人的に考えています.

以上になります.
最後までご覧いただきありがとうございました.
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鵜呑みにせず,ぜひ論文をお読みになっていただければと思います.

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