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詩。よくある心の絶望も書くし、しゃかいふう詩も書くし。フィーリングで書いた。
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歩くキノコ

歩くキノコ

すごく良い事を言いたい
だからすごく良い事を言った
すぐさま萎びて響いた

歩くキノコが発進した
胞子を撒き散らしながら
ルンバみたいに
道行く人にごめんなさい言いながらぶつかって行く

唇の上に残る白い胞子
ンマッンマッして唇に広げた
白いリップの完成

平気で綺麗事を言う私の唇は
とっくに腐り落ちて黄ばみ切った歯を覗かせる

コホンコホンと咳を吐いた
それが最期の咳となれ私の
歩くキノコの最終

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ゴミ箱と会話

ゴミ箱と会話

相手に声が届かない
がんと殴っても
反作用で自分の手が痛いだけ
何も聞こえてないみたい
何も感じてないみたい
ゴミ箱に向かって話してるみたいだ

私はひどく怒ってしまう
何で私が言うことを聞けないのかと
でもそれもちっとも響かない

どうせ私の言うことはくだらないさ
くだらないけど伝えたい
映画のどうでもいい小ネタのワンシーンみたいな
コスパもタイパも考えてないから倦厭されるのかな
サブカル臭くて

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Bleed

Bleed

ふと顔を覆う

指の隙間から噴射する鮮血
これくらい大したことがないのは知ってる
だがその鮮やかな真紅のリボンが
指に結びつくのを見ると
生命の強い意志に圧倒される

腕を伝い肘を伝い
頬を伝い顎を伝い
床にこぼれ落ちる
辺りに撒き散らす
周りの場所に血痕を記す
しつこいくらい赤々とした字を

ああ、私は美味いものを食べているのだな
吸血鬼が欲する健康体の鮮血
私はこの鮮血に対して
正直に生きてき

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片付かない部屋

片付かない部屋

痛みを一個一個拾って
おもちゃ箱に投げ捨てて
溢れ出したまま片付かない部屋
痛みに埋もれながら床で寝る

気付いたら夜中の一時半だった
その部屋でポテチを食い散らかす
テレビをつける
いつか来るんじゃないかと時折ゴキブリの心配をしながら

静かに落ち着けない心
自分の身体の中で響く薄暗い過去
疲労した脳は処理しきれない
言葉も、音楽も、ドラストのポップも

何がそうさせているのか
この私に何もさせ

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取扱絵表示

取扱絵表示

洗濯物の取扱絵表示が
しゃぼん玉を通して語りかけてくる
ヒロインにマニュアルなんてない
手に人の過ごす時間を刻んで飲み込む
さあスタートボタンを押すぞ

新しい人生として
新しくない時間を繰り返す
新しくない人生を振り返る
取り返しのつかない宇宙を観測する
星々の間を洗濯物が漂う
そんな時空の中に渦巻いていたら
洗濯機のピーが鳴った

新しい人生が始まった

異変

異変

ほー、何聴いてらっしゃるの。

毒。

ほー、毒。

ね、悪いだろう。

あら、良うございますよ。

なに。良いわけなかろう。

うふふ、そうおっしゃいますか。

なんだ、気味が悪い。どういうことだ。

それではこれで。

おい、待て。

なんでせう。

……僕を助けてくれやしないか。

あら、何か異変でもございまして。

なんだ。僕の話を聞いていなかったのか。

あら、毒を聞いておりました故。

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蟠

頭の中が曇る
遠雷が響く
悪意が轟く
失意が渦巻く
泥水が滴る
無気力の猫が尾を丸める
冷たい雨に濡れる
この冷たさに漬かる
じっと項垂れる
地底で蟠る
霜が降りる
背が凍る
塩水に浸る
傷口に浸る
傷口が凍る
塩水が滴る

もう何もない
考えることも
感じることも
秘めたる心は
ただ蟠る

頭の中が曇る
眼鏡が曇る
顔面が曇る
塩水に浸る
雨に濡れる
ぐしゃぐしゃの顔を
しわくちゃの口が噛みしめ

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カモ南蛮そば

存在の不確かさと朧気さ
そして必要性の無さ
煙のような私
煙を掴む様な話

にやにや笑うこけし人形
その視線は私を通り抜けて
ただ向こうのカモに焦点が当たる

金ヅルが金ヅルを呼ぶ
淡い欲望を描いて
パステルカラーの金ヅルのカモが
必要性のエサに惹き付けられた
「君が必要だ!」

戦争は終わった
戦争は終わっていない
戦争は始まっていない
戦争はそして終わる

私は見て見ぬふりをしている
おいしい

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No Comment

I forgot
Oh I forgot
What to say
Now I've got nothing to say
Nothing to say anymore
Anymore

I would say uh
I'd like to say uh
Oh I don't remember
What to say
What to say
What to say
Say what I am
Oh

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ふわふわと

うそはつきたくない
そんなに器用じゃない
ふわふわと雲のように漂い
サラリーマンにばかにされる
ふわりーマンならどうだろう
いかとたことくらげときんぎょと
いっしょにふわふわふわふわおよぐ
ふわふわふわふわふわふわと
くちずさみながらたきをのぼる
かぎりあるいのちをけずりながら
いのちのけずりあいから身を引く
ふわふわふわふわ不安なら
不安定ならそれでもいい
ばかなさかなとまぬけなにんぎょ
ふたり

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うさばらし

うさばらし

真夜中
私のうさばらし

適量出して綺麗な色を作りなさいと
言われた絵の具を好き勝手出して
汚ねぇ色を撒き散らす

脈略のある理論整然とした文章を書けと
言われたけど

ところでとんこつラーメンはやっぱバリカタだよね!?
やっぱり私ならニャオハを選ぶな!!
整然と分かりやすく並べなさいと言われた言葉を

並べる自由で好き勝手に自分!

で     め             か
 た   に  

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火

僕は暗闇を進んでいた
自分の爪に火を点けて

あなたは見つけてくれた
私の心に火を点けた

このライターは
何に火を点けるためにある
僕は君に火を点けようとした
君の家に
君の家ごと、過去を焼きつくそうとした

君の家に這う蔦も
君が飼っている猫も
君の庭に咲く花も
まるごと焼きつくそうとした

でも、あなたが私を見つけてくれた
蔦も、猫も、花も
可愛がるべきものだと教えてくれた

灰にまみれた庭

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じいさん

じいさん

コンピュータを食った
夜勤終えた朝
犯罪小説を伏せ
靴下を靴に丸め入れ
じゃがりこを口に運ぶ
味がしない

プロファイル的に見れば
顎が羊畑
あぐらをかきにければ
カップ酒飲みにけり
靴下の味がして
おもらしジンベイダー

パンツの毛むくじゃら
用無しジジパジャマ
電気で会話する
お寿司の妖怪たち
明日も夜勤なら
寝言は起きて言いな

眠れない夜の夜明け

眠れない夜の夜明け

あわれなる時間がドブに捨てられていく
刻一刻と死滅する脳細胞
適当に生きて適当に死んでいく私の人生
自分の汗水努力の精一杯がデータ化されてライブラリに並べられて消費コンテンツ化される
私の人生がのっぺりとしたバイナリデータとして出力される
刻一刻と宇宙は終焉へと近づいていく
人々は笑い怒り転げる
我が物顔で何もかも知った気になって大通りを歩いている
知らないことへの耐性がなくなっていく
スーツに入

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