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「魔性の女」⑩タミコに残されたもの
タミコはヘリテイジ煉には入らず、そのまま地下鉄に乗って自宅のある中目黒に向かった。頭が真っ白だった。あの品位ある本館は、自分の入るところではないと感じた。正しい人生に矜持を持って、我慢も美徳と感じて生きられる者だけが、許された世界。
もっとみる「魔性の女」⑨二日酔い
「うわ、あたま痛っ」
翌あさ目覚めると、タミコは全裸でホテルの高級なシーツにくるまっていた。が、何があったかは覚えていない。
「...」
隣のベッドでは村田がいびきをかいて寝ている。そろりそろりとベッドを抜け出し、バスルームに向かった。
「魔性の女」⑧ホテルの部屋で酒盛り
「いらっしゃ~い」
ドアを開けた村田は、なんと驚いたことに、バスローブ姿だった。
「もう風呂入ってビール飲んじゃったよ」
「え」
額に汗しながら、タミコは部屋の中に入った。窓からは虎ノ門の夜景が間近に見えた。
「素敵♡」
「だろだろ~。この夜景をタミちゃんに見せたくてさ」
タミコがバッグを置いて窓辺の椅子に座ると、村田も隣の椅子に座り、嬉しそうに言った。
「魔性の女」⑦狸おやじのLOVEトラップ
村田に誘われて、新しくなったホテルオークラにタミコは赴いた。ところが、久兵衛のあるプレステージ棟に着く頃、
「サプラ~イズ!!」
と、ラインで部屋番号が送られてきたのだ。
「ちっ、嵌められた・・・」
久兵衛で寿司をサクッといただいて帰る予定だったのに、あの狸おやじ・・・。
「魔性の女」⑥ブスでケチな男
ラインの相手は、特に好きでもないがよく食事に誘ってくれる大学教授だった。彼も飲み友達の一人で、ぎりぎりの線で付き合っている。寝ないのは、ケチなのと、顔がタイプではないからだ。
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