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「Why」のチカラとは? 自分を客観視する問題解決スキル

「そもそも、なぜこのようなテーマを扱っているんですかね?」

仕事をしていると、こうした「why」を問いかけるシーンがあります。ビジネスでうまく仕事を回していく人はこの「why」の使い方が上手いように思います。

シンプルな問いかけで、必要な仕事とそうでない仕事を整理し、精度高く仕事をしているように思います。

どうすればWhyを力に変えられるのか、そのポイントについて考えます。

問題解決は「Why」から

世の仕事の大半が何らかの問題を解決することだと言えます。問題解決を分解すると「問題」を特定し、それを「解決」することです。この「問題を特定」する、つまりは「何に対して答えなければならないか」を考えることから始まります。実はここをおろそかにしているケースが非常に多いです。

仕事は「解決策」に目を向けがちです。アイデアを考えたり、計画を練ったり、デザインを作ったり、「解決する手法」に大半の時間を費やしているように思います。しかし、本当に大切なのは、その問題が「本当に解く価値のある問題なのか」です。

そして、単に「なぜ?」と問う以上に大切なのが、「そもそもなぜ?」という問いです。「そもそも」という言葉は、源流に遡って考えるキラーワードです。目的を見失っているプロジェクトや、惰性で進めている仕事、誰かから引き継いだ業務には特にこの「そもそも」を突き付ける価値があります。

日々の業務の中には「何となくやっている作業」が無数に隠れています。誰も得しない、何の価値にもつながらないような作業は、「今までそうしてきたから」という何食わぬ顔をして潜んでいます。だからなかなか気付きません。そういう当たり前になっている仕事に対して、「そもそもなぜ?」と問うことで、思い切ってやめてみたり、新しい手法にアップデートしたりして、見直すきかっけとなります。そうすることで、仕事は価値あるものにアップデートされていくように思います。

良質な問題からしか良質な問題解決はできない

仕事をしていると「いくら考えても良い案が出ない…」ということはないでしょうか。こういう時はそもそも、考えるテーマのピントがズレていることが多いです。

先日、「何を考えるかを考える」という記事を書きました。

この記事の中で、問題解決力を構成している方程式をご紹介しました。

「問題解決力 = イシューを立てる力 × 解決する力」

これは安宅さんの著書「イシューからはじめよ」にある考え方です。

このイシューを立てる力、つまり自分で問いを設定する力が問題解決力を大きく左右するということです。上記の式は言い換えれば「Why」✖「How」です。この「Why」をスルーして、「How(どうしたらいいのか?)」にすぐに着手してしまいがちです。

Howに着手すると、何らかのアイデアや解決策にたどり着きます。複数の案が出ると「おお、出そろってきたな」と満たされた感覚を感じてしまいます。しかし、そもそもの「Why」の部分である、解くべき問いの精度が悪ければ出したアイデアは、いずれも精度の悪いアイデアとなってしまいます。上記の方程式のミソは「掛算」になっているところです。「Why」がマイナスのズレたものなら、解決策もマイナス。「Why」が価値のない問い(ゼロ)なら、どんなに斬新なアイデア(How)でも問題解決力は残念ながら「ゼロ」になってしまいます。

手を動かす前にプロセス各所で「Why」を問う

仕事は複数のプロセスを経て、そのつながりの集合体として最終的なアウトプットがあります。どんな仕事もいくつかのフェーズに分かれていて、段階を経ながらステップバイステップで進んでいきます。

問題解決力を上げるために「Why」を問うのは1回で終わりではありません。仕事のプロセスの各所で「Why」を差し込んでいくことが大切です。それは、各フェーズをロジカルに結び付けるためです。

「なぜこの問題を扱うのか?」
「なぜこのイシューを設定するのか?」
「なぜこのような分析をするのか?」
「なぜこのような調査手法を採用するのか?」
「なぜこの解決策を選択するのか?」

こうした、各プロセスにおける「Why」が磨かれることで、そうしなければならない必然性(理由)がはっきりして来ます。その必然性で組み立てられた仕事は、強固な柱で支えられた建造物のようなもので、力強い説得力を生んでいきます。

「Why」は自分から離れるスキル

なぜこうも「Why」を問う必要があるのでしょうか。それは、「誰が見てもその仕事には価値ある」と言える仕事にするため、ひいては社会に意味のある仕事にするためです。よく「鳥の目と虫の目」という表現を見聞きしますが、仕事は目の前のことを丁寧に着実に行う「虫の目」と、時に俯瞰しながら目的地までのベクトルをアジャストする「鳥の目」の両方が必要と言います。

実はこの「Why」は鳥の目の役割を果たしています。自分に「なぜ?」を問い、自分でそれに応えることで、自分を客観視することができます。自分の仕事を価値あるものとして進めて行くナビゲーションとして、「Why」という問いは役立ちます。

精度高く動けるビジネスパーソンに共通しているのは「メタ認知」のスキルです。冷静に、客観的に自分や組織を見つめる「メタ認知」ができることが、優れたアウトプットを出す上で非常に有効です。「Why」を駆使することで、自分の主観から離れ、客観的な視点、高い視座からものを見る「メタ認知」のスキルを向上させることにつながります。そうしたスキルが客観的に見ても価値のある仕事、社会的に見ても意味のある仕事につながってくのだと思います。

大切な問い:「あなたはなぜその仕事をするのか?」

「そもそも自分はなぜ今の仕事をしているのか?」こう聞かれて、ドキッとする人も多いのではないでしょうか。私も社会人一年目になぜこの会社で働くのか、に自分の中でうまく整理できていなかったことを思い出します。面接で説明するロジックはいくらでも思いつきますが、本当に自分が納得できる答えを出すのは簡単なことではありません。

だからこそこの問いは大切です。それは自分の人生の意味にも通じるものです。自分の中や自分の周辺にあるPAIN(苦しみや悩み)をきっかけに、社会課題の解決に取り組んでいる人はたくさんいます。こうした人たちはこの問いに明確に答えられるでしょう。

そうした人は自分の中に強力なエンジンを持っています。突き動かされる強い衝動があり、それに従って仕事をする。そのパッションに人はひかれ、協力していきます。人を動かす人になるためには、まず自分に「Why」を投げかけることからはじめるのが良いのかも知れません。

まとめ

「Why」の仕事上の価値は昔から言われています。トヨタ自動車の問題解決のメソッドとして「5Why」つまりなぜを5回繰り返すという手法はあまりにも有名です。

ビジネスにおいて「Why」は重要である、と誰もが理解しているけれど、それを日々の仕事で実践できている人は意外に少ないのではないでしょうか。それはその価値を体感していないことが理由かも知れません。

良質な問いは無駄な仕事を一掃し、価値ある仕事にフォーカスさせてくれます。「そもそもなぜ〇〇は必要なのか?」と本質を問うことで、惰性で進めてきた無駄とも思える仕事をゼロにできる可能性があります。そして、必要な仕事に自分のリソースを割く。そうすることで、より価値のある仕事に自分のウェイトを配分していけます。

とはいえ「Why」と問うことは、いちいち立ち止まることでもあり、一見面倒なプロセスとも言えます。しかし、そこは「急がば回れ」です。具体的に手を動かす前に、「Why」による鳥の目、メタ認知をすることで、本当に取り組むべき仕事か、本当にその手法で良いのかを見極めることができます。それは結果的には、効率のよいアウトプットに最短ルートで進める進め方なのかも知れません。

「そもそもなぜ」を口癖に、価値ある仕事にフォーカスし、価値ある人生を歩んでいけるといいですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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