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三島由紀夫 追記と補遺
「三島由紀夫・生と死」をアップしてから、いくつかの「苦情」があった。
大きく分けて三つ。
まず一つは、お前の批評は情け容赦なさすぎて、たんに三島由紀夫を「ディス」っているだけだというもの。
もう一つは、文学とは倫理的なものでなくてはならないのか、という疑問ないし反論。
最後の一つは、三島の自決の謎について言及のないこと。
まず第一点から弁明すると、口が悪いのは私の大きな欠点であり、た
福田恆存を勝手に体系化する。15 エゴイズム
エゴイズムの起源について エゴイズムとは私的利益の追求である。あるいは、みずからの快楽をみたそうとする欲動であると、いちおうそういえる。それ自体になにも悪いところはない。ところがエゴイズム同士は角逐する。私の私的利益の追求が他者のそれと衝突することが、しばしば起こる。というか、それだからこそ、エゴイズムは人間的課題となる。概念としてのエゴイズムには、他我との軋轢があらかじめ想定されたものとして含
もっとみる福田恆存を体系化する。エゴイズム0 人新世の「資本論」
前回を書き終わったところで、人からすすめられて、斉藤幸平『人新世の「資本論」』を読んだ。かれのいうには、君がいっていた現状分析がもっと詳細に「科学的」に分析されている、と。
うかつにも、こういうベストセラーがあることを私は知らなかった。著者は気鋭のマルキストで、資本主義のもたらす気候変動と格差社会が人類最大の危機につながると訴えている。
なるほど読んでみると、現状分析は同感だし、教えられる事
福田恆存を勝手に体系化する。7 日本的なるもの
前節では、福田恆存における「外発的自己」について検討した。
それならば「内発的自己」とは何か。
「大祓」によれば、古代日本では、罪は天つ罪と国つ罪に分類されている。天つ罪は、田をけがし水路を破壊するなどの農作業を阻害する行為にたいするものであり、国つ罪は、殺人、傷害、姦淫、その他、驚くべきことに皮膚病などの病気も含まれる。
どの解説書にも、天つ罪は天上においてスサノオが犯した罪であるからそ