福田恆存を勝手に体系化する。5 戦後の時代 観念論の克服と自我の確立 「私の保守主義観」 キリスト教
福田恆存が生きた時代の歴史的理念の素描
生きるとは、徹底的に私の内部の出来事である。だとすれば、私は福田恆存を体系化するとはいったが、その体系は福田恆存の生きた状況と抜きさしならぬものであり、それだけ単体でとりだしてみたところで、それは肉を欠いた骨と皮にすぎない。それゆえ、かれの思考の体系を知るということは、とりもなおさず、かれの生活とその時代をも知ることである。
「社会」は歴史的存在者である。
それは一定の世代に作用を及ぼす理念の体系をもっている。空間的な広がりをも