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【心理学26】茹でガエル理論とアンラーニング(茹でガエルの法則/組織学習)

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はじめに

今は遠い思い出になりましたが、皆さん中学3年生の頃の記憶、ございますか?
その頃の理科で「慣性の法則」というワードを覚えさせられたと思います。
ニュートンの運動法則の一つで、物体は、外からの力が加わらない限りは、静止または等速度運動を続けると言う法則です😁

電車や車に乗っているときに急ブレーキがかかったら前方に体ごと持っていかれますよね。
あれも慣性の法則で体が同一方向に等速度運動をしようとするから発生する現象です。
この慣性の法則を高校の物理で再度習うことになると思いますが、そこでチンプンカンプンになった人も多いはず(笑)

ということで今日は、組織の中にも慣性の法則ってあるよね!っていうお話をします!

キーワードは「茹でガエル理論(の法則)」「アンラーニング」です。



1.茹でガエル理論とは

茹でガエル理論又は茹でガエルの法則とは、会社内の組織が危機的状況下においてもなかなか変化できないことを表現する比喩のようなものです。

元々は、カエルをいきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出してしまうけど、常温の水に入れて少しずつ水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失って最後には茹でガエルになって死んでしまうという作り話から派生した表現です。

実際のカエルを茹でたことがないので何ともいえませんが、アメリカの国立自然史博物館は「カエルは熱湯に入れたら死ぬし、水でも温度が上昇してくると逃げるぞ?」と全否定しています🤣
なので、あくまでも作り話から派生した理論だとご認識ください。

この理論から得られる教訓は、組織にも慣性の法則が働くという点です。
人間は慣れ親しんた状況や環境を変えたくない、維持したいという欲求が強いので、徐々に悪化していっている場合であっても、外からの強い刺激がない限りはなかなか変われないのです。

特に、組織内における過去の成功体験や成功法則のようなものがすでに確立している場合は、認知バイアスの中の「正常性バイアス」という錯覚が発生します。
これは、人間が自分自身の心を守るために発達させてきた防衛機能みたいなもので、多少の異常事態が起こっても、それを正常の範囲内としてとらえ、心を平静に保とうとするのです。
場合によっては、自分にとって不利な情報をあえて見ようとしなかったり、見て見ぬ振りをしたりします。

さらに状況が悪化すると、さすがに危機感を持ち始めますが、今度は変わらないといけないとわかっていても変われない心理状態に陥ります。
これを「現状維持バイアス」といいます。
変わるべきだとも思っているし、状況がかなり悪化しているという認識はあるのですが、変化を起こそうとして失敗したり、責任を取らされることを恐れて現状維持を望むのです。

そうやって少しずつ茹でガエルになっていきます😱

組織とは本当に不思議なもので、過去の経験に基づく実感としては、業績が好調で上手く行っている組織の方がピリピリとしていて危機感を持っていることが多く、業績が低調または下降している組織の方がゆったりしていることが多いです。

人間の集団心理は興味深いことばかりです。
ただ、これが自社で発生した場合、笑えないですよね…

私も過去に何度か茹でガエル組織を目の当たりにしたことがあるのですが、本当に笑えないです。
正常な危機感を持っている優秀な人材が次々に流出(転職)し、中には茹でガエルしか残らないのです。
そして、その茹でガエルの中からマネージャーが任命されるので、状況は更に悪化していきます。

最悪の場合、組織が崩壊します。

そういう状況を打破した組織も何度も見たことがありますが、その大半がCEOが一念発起して、外部の専門人材を巻き込んで改革に励んだときです。
間に合わなかった事例も多くありますが、CEO自体は最終的には再起できているので、やはり組織を変えられるのはCEOだけです。
経営陣の皆さんは自社の組織がゆ茹でガエルになっていないか、定期的に見直してみると良いかもしれません。


2.組織学習(アンラーニング)

では、茹でガエルにならないようにするためには何をすればいいのでしょうか🤔
この点について、組織論及び組織心理学の分野である程度効果があるだろうといわれている概念があります。
それが組織学習という概念です。

組織学習のプロセスをより詳細にいうと

(1)アンラーニング(Unlearning)
(2)リラーニング(Relearning)
(3)リストラクチャリング(Restructuring)

の3ステップです😁

以下、一つずつ説明させていただきます。



(1)アンラーニング(Unlearning)


アンラーニングとは、時代遅れになった知識やノウハウを組織が自主的に放棄する活動のことをいいます。
もちろん、組織は人の集合体なので、組織構成員の全員が放棄することもあれば、組織を統括するマネージャー自身が放棄する場合もあります。
いずれにしても、完全に捨て去ることが重要で、中途半端に残すことを想定しておりません。
時代遅れになった知識・ノウハウを一旦全部廃棄するという工程が「アンラーニング」です。

しかし、人間はアンラーニングが非常に苦手です😱
前述のとおり、正常性バイアスや現状維持バイアスを発動してしまい、過去の成功やノウハウに意思決定を引っ張られる傾向がとても強いです。

さらにいうと、ある程度の規模がある組織では、一度捨てると決めたことをわざわざ拾う人が出てきます🤣
組織として「捨てる」と決めたのに、過去のやり方、ルール、価値観に固執して絶対に手放したくないという反対勢力が現れるのです。
組織改革を担当したことがある人にとってはよく見る光景でしょう。

だからこそ、組織学習においてはアンラーニングが最重要(最難関)であるとよく言われます。
その結果、アンラーニングという単語だけが特に有名になりました。
それほど実行することが難しいと思ってください。

私が見聞きしてきた経験だけで申し上げますと、アンラーニングを成功させるコツは2つあります。

一つは変化耐性が高い人材を組織内に揃えておくこと
もう一つは、組織のトップが率先して捨て去ることです。
以下、簡単にですがご説明させていただきます。

採用活動を長く続けていると、人間の特性として、変化耐性の高低があることに気づくと思います。
変化を柔軟に受け入れ、すぐに対応できる人と、それが全くできない又は苦手な人がいるのです。
ことベンチャーにおいては、変化耐性は高ければ高いほど良いです!
今朝決まったことが昼頃には全く違う決定に入れ替わっていたなんてこともよくあるベンチャーの世界では、変化耐性が低い人は病みます🤣
数時間かけて一生懸命頑張った作業が全部無駄になりました!なんてのは日常茶飯事です。

アンラーニングを積極的に起こしたいのであれば、採用の時点で、組織の構成員に変化耐性が高いメンバーを入れるべきです。
変化耐性が高いメンバーばかりが揃っていると、毎月のように大きな革命を起こせますし、過去の知識・ノウハウを簡単に捨てることができます。
何なら、全員で冒険に行くくらいのワクワク感を持って変化を楽しむことができます。

そして、アンラーニングは極力組織のトップが指導すべき事象です。
ボトムアップで行われるアンラーニングもたまにはありますが、トップが乗り気じゃない場合はほとんど機能しません。
組織学習(組織改革)は、最終的には組織のトップの意思決定にかかっています。
本気で変革したいなら、組織のトップが覚悟を決めるべきです。


(2)リラーニング(Relearning)


アンラーニングが完了したら、次はリラーニングです。
リラーニングとは、文字通り再学習のことです。

時代遅れになった知識・ノウハウを一旦捨てて、最新のものにアップデートする必要があるので、再度学び直すのです😁
場合によっては数ヶ月かけてインプットをしないと追いつけない知識もあると思いますし、必要に応じて大学院等で研究をすることもあるかもしれません。
最近では最先端の経営学を学びたいという理由でCEOクラスが続々とMBAに入学していますが、そういう活動もリラーニングの一種です。

捨てた分学ぶ又はアップデートする!という活動です。

前述のとおり、最重要かつ最難関の壁はアンラーニングですが、私から見るとリラーニングも苦手な人が多いです😱
良質なアウトプットは、良質なインプットからもたらされます。
日々新しい情報・知識・ノウハウに触れられるようにしておくべきです。
毎日良質なインプットができている人は、アンラーニングもスムーズに行なえます。
なぜなら、すでに新しい解ないしはそのヒントを日々のインプットで手に入れていることが多いからです。
そういう意味では、日々のインプットは、失敗するリスクを最小化する活動ともいえます😁

では、良質なインプットはどう行えばいいのか。
この点については、業務外の時間の使い方が大事だと思っています。
業務外に仕事に関係する勉強や作業を行うことを嫌う人は多いかと思いますが、それは会社のためにやろうとしているからでしょう…。
業務外の勉強は「自分のため」です。
これからの時代、今いる会社に一生いるという人の方が少ないのですから、将来より良い会社に転職するためとか、より上の地位に行くために業務外の可処分時間を有効活用しましょう!

インプットを習慣化しておけば、アンラーニングもリラーニングも容易に行なえます😁
是非学ぶ習慣を身に着けましょう!


(3)リストラクチャリング(Restructuring)


時代遅れになった過去の知識やノウハウをアンラーニングし、新しい知識・ノウハウをリラーニングして、最後にそれらの新しい知識やノウハウを使って事業をリストラクチャリング(再構築)していきます😁

リストラクチャリングは特に難しいことはございません。
仮で組んで、実装させてみて、不都合があれば修正していくといういつもの業務プロセスですのでビジネスマンであれば誰もができることだと思います。

アンラーニングとリラーニングさえしっかりできていれば、組織も変革に対して前向きな状態になっているはずですから、リストラクチャリングは比較的容易に行えるかと思います😁
なので、改革の難所はアンラーニングとリラーニングのところに集中します。


3.組織学習の促進

組織学習というものは、仕組みがないと定着しません😱
従業員が自発的に学習し、改革をしていくという理想的な状態は、よほどの奇跡が重ならない限り発生しないと考えて良いです。
むしろ、会社として促進も何もしていないのに、従業員が自発的に学習し始めていたら要注意です。
近い将来優秀な人間から辞めていくシグナルみたいなものです…

従業員が危機感を持って学ぶときは、会社に貢献したいと考えているときか、キャリアチェンジを考えているときです🙄
会社が従業員の学習に協力的ではない場合、優秀な人間から見たらその会社に魅力はほぼ感じませんから、近い将来退職する可能性が高いです。

そのため、経営者としては、組織内に組織学習を促進する制度を置いて、優秀な人間がその組織に留まり続ける理由を作っておかないといけません

制度構築に関しては様々な方法があるので割愛しますが、重要な点としては、日頃から経営陣自らが誰よりもインプットをするべきですし、変化・成長を奨励すべきです。
自分は何も勉強しないのに、従業員には勉強を推奨するというのはおかしな話ですからね😱

そもそも、経営者が成長しない会社は、従業員も成長しません。
経営陣が新卒と同等かそれ以上の成長を毎年遂げていく会社こそ魅力的な会社です。

組織を改革したいのであれば、まずは自分から。

そういう意識をしっかりと持って、学ぶ習慣を身につけましょう。
その上で様々な制度を構築し、従業員が学びやすい環境を作ってあげてください。
そうすると、組織の中に学習を習慣化できている人が増えていくので、新しい知識・ノウハウが組織内で少しずつ醸成されていきます。
その結果、組織改革を非常にスムーズに行えるような土台が出来上がります😁

硬直化した組織の多くでは、大抵そのトップが成長もなく硬直しているのです…。
そのことを肝に銘じないといけません。
特に30代半ば以降からは成長が鈍化することが多いので要注意です。
自戒の意味も込めて書いていますが、30代こそ学ばないとですね!
頑張りましょう!



おわりに

今日は茹でガエル理論と組織学習について解説させていただきました😁
いずれも組織運営においてとても重要な考え方ですが、実際に茹でガエル現象が起こったときに、組織が一体となって組織学習を行えることはほとんどありません。

組織はトップの姿勢で大きく変わるので、茹でガエル状態になってしまうような組織の長が存続し続ける限り、なかなか変われないでしょう。
そして、変わるとしても長い時間がかかります。
そもそも学習習慣を身につけるのに半年以上かかりますから、組織改革には1年以上を要するのが通常です。

だからこそ、日頃から危機感を持っていないといけません🤔
経営層の皆さんこそ、インプット(学習)とアウトプット(実務)のバランスを意識して日々経営にあたりましょう!

ではまた書きます🎵


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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