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喫茶店のこと

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「ほっ」と ひと息

「ほっ」と ひと息

今日は おやすみ。

自分のために 珈琲を淹れて
久しぶりに「ほっ」としている。
そんな気がする。

鞄から 本を取り出す。
電車の中で読もうと持ち歩いていたけれど
落ちついて読めていなかった本を開いた。
また 最初から。

最近 集中力がないと感じていた。
本を読んでいても
片足しか浸かっていないような。
何を読んでいるのか わからなくなる。

文章を書いても 途中のまま。
note にも 下書

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プロフィール詐欺

プロフィール詐欺

1978年生まれ。
喫茶店で 珈琲を淹れる日常の仕事と
俳優としての活動とをライフワークとし
マイペースに活動。
1978年度生まれの女だらけの演劇ユニット
チタキヨ メンバー。

わたしのプロフィールの文章だ。
これに 主な出演作を加えて。

映画のクラウドファンディング用に
プロフィールを求められて
この文章を送ったところ
(きっと いい意味で) 笑われた。
俳優としてのプロフィールなのに

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喫茶店時間と わたどこと

喫茶店時間と わたどこと

約束の時間まで 1時間以上ある。
その駅には
気になっていた喫茶店があることを思い出し
なんて絶妙なタイミングと 楽しみに向かった。

ちょうどカウンターの真ん中
マスターが珈琲を淹れる窓の前が空いていた。
混み合う休日は受けられないこともあるという
ネルドリップ珈琲を
タイミングが大丈夫だからと受けてくれた。
ネルドリップ目当てだったので嬉しい。
とても優しい 珈琲だった。

控えめに ぽろりぽ

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わたしはわたし。わたしのために。

わたしはわたし。わたしのために。

実家みたいな喫茶店。

3ヶ月ぶり。…。もう3ヶ月か!

ほんとうは
新しい仕事を決めて 軌道にのってから
胸を張って報告に来たかったのだけれど。

テレビ番組で
有名なタレントが絶賛したからと
売り切れが続いていたアンプレスも
今日は まだあるようでホッとする。
評判になっても
やたらと仕入れを増やしたりしない
商売っ気のなさも 嫌いじゃないょ。
だけど わたしが食べられないのは寂しい。

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毎回忘れて  また新しく

毎回忘れて また新しく

この 喫茶店を訪れるのは 何度目だろうか。
安定の お気に入り。

おなかがぺこぺこだったので
唯一のフードメニューのクロックムッシュ。
これしかないって潔い。

選択肢の多さは 楽しさもあるけれど
やたらと迷ってしまったり
あっちのほうがよかったかもと
後に目移りしてしまったり。
ちょっと疲れてしまうことも。

潔いメニューは
変わらずに存在してくれて
無駄なパワーを使わせない。

今日は これ

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10年後に 理想の居場所を。

10年後に 理想の居場所を。

早めに訪れてしまった夏休みが 終わる。
新しい職場で働くことになった。

✴︎

自分を律するのではなく 泳がせた1ヶ月半。
生活リズムは無茶苦茶だし
お酒の量も増えたし
自分の言動に わーーーーとなることもあるけれど
わたしは 元気だ。とても。
そのことに ちょっと感動する。

ここ数年のわたしを支えていた
喫茶店の仕事による日々のルーティン。
ぽーんと放り出された自分が どうなるのか
不安にな

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実家みたいな。

実家みたいな。

わたしの喫茶店歴も
ずいぶん長くなったものだけれど
20年ほど前に 初めて働いた喫茶店は
喫茶店の実家みたいなもので
頻繁にではないけれど 折を見て里帰りをする。

先日も また。
6年半働いた喫茶店を卒業して
これからのことも何も決めていない今
原点に戻って 自分の本音を知りたくて。
そんなときは 実家に帰るに限る。

賑わう店内。
カウンターから離れた席なので
本を読み、音楽を聴き、ぼんやりす

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その愛すべき距離感を 突破するか

その愛すべき距離感を 突破するか

2015年11月から
この珈琲を淹れている。

2017年9月頃に 今の店に移動して
自分の暮らし方を考えながら
ずっとずっと続いていた日常。

手放すと決めたら
あっというまだった。

残された時間を大切に。
感謝の気持ちで過ごせますように。
そう祈る日々。

とはいえ
天使のような心持ちばかりで
仕事ができるわけでもなく
何も変わらずに日々は過ぎて。

急なことで
お客さまへの挨拶も ままな

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避難所

避難所

冷たい雨。

気を抜いたら
道を間違え いつのまにやら遠回り。
凍えた身体を 緩めたくて。
目についた喫茶店に飛び込んだ。

小さな空間に
みちみちと人が詰まっていた。

ゆっくり過ごしたいときには
出直すところだけれど
凍えたわたしには あまり時間もなく
次の用事までに 少しでも復活したかったのだ。

カウンターの隙間に収まる。

年配の女性が
なんでもないことみたいに
さらりと淹れた珈琲が

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今よ 永遠に

今よ 永遠に

匂いが
近くまで 戻ってきている。
そんな気がする。

もわもわと立ち昇る湯気に
温かさだけではない
ムオムオとしたものが加わるようになった。
わたしの知っている珈琲の匂いではないけれど
色合いが感じられるのは嬉しい。

日常の ふとした瞬間に
匂い?と 立ち止まる。

レモングラスが感じられるらしく
美容院で不意に流れ込んできた
シャンプーの香りに
わーわーわーと 心が叫んだ。

レモングラス

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欠けている わたしの世界

欠けている わたしの世界

まだ
珈琲の香りは
戻ってきてはくれない。

それでも
わたしは 珈琲を淹れている。

✴︎

味覚障害はないので
(嗅覚が ほぼないので
影響がないとは言えないけれど)
わたしの働く店の
しっかりと濃厚な珈琲は 味わうことができる。
他の珈琲屋さんで
あっさりとしていて 香りが命 みたいな珈琲は
楽しめないこともあるけれど。

自分の淹れた珈琲の味がわかったときには
ホッとした。
香りはな

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それでも わたしは 珈琲を飲む

それでも わたしは 珈琲を飲む

嗅覚を 失っている。
それに伴っているのか 味覚も異常だ。

珈琲の香りがしない。
珈琲が美味しいと思えない。

ずっと このままだったら
喫茶店の仕事は 続けられないのではないか。

そうではないことを 祈る。

✴︎

嗅覚を失うのは 今年2度目だ。

前回は 5月だった。

朝 いつものように 喫茶店で 珈琲を淹れた瞬間に
珈琲の匂いが 全くしないことに気づいたのだ。
この御時世なので すぐ

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片想いの時間

片想いの時間

さて。
今日も 出掛け先での 喫茶店探し。

昔 馴染みのある地域だったので
行きたい喫茶店には
だいたいのあたりをつけていたのだけれど。

なぜか
地図で目に止まった
かわいらしい名前の本屋さんが気になって。
コーヒーも飲めるカフェスペースもあるらしいので
そちらに足を向けてみることにした。

いい本屋さんでは
涼しい顔をしながらも
内心 浮き浮きして仕方がない。
初めての本屋さんなので
ひと通

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思い出の喫茶店

思い出の喫茶店

発掘してしまった。

次の日訪れる場所を確認しつつ
いつものように
その付近の喫茶店探しをしていたとき
昔 一度訪れたことのある喫茶店に気づき
埋もれていた思い出を発掘してしまった。

ちょっと。
いや、かなり。
切ない気持ちになりそうな気配が襲ってきて
わたしは身構える。

一生懸命に 他の喫茶店やカフェを調べた。

その思い出に纏わる いろんなことを
穏やかに遠くから眺められるには まだ早い

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