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喫茶店のこと

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ごちそうさまでした

ごちそうさまでした

どこの どなたなのか わからないのだけど

「ごちそうさまでした」

わたしは とても美味しい珈琲を飲んで
幸せな時間を過ごしました

✳︎

不思議な求人を見かけた
(わたしは また居場所探しをしています)

時間、勤務日、自由に決められます。
私たちが求めているのは、
雄弁な人よりもこの仕事に専念して、
気に入っている人です。

英語の翻訳なのであろう
きっと海外の方だろうと
日本語以外が め

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優しい気持ちで

優しい気持ちで

わたしも 悪かったのかな
でもなぁ

スタッフさんの対応で
なんだか 泣きたい心地になってしまった病院

心が 弱っている

まっすぐ帰ろうと思ったけれど
この気持ちから抜けられなさそうで
気になっていた 新しいコーヒー屋さんへ

わたしの馴染みのある喫茶店たちとは
ちょっと異なる雰囲気の入口
どこで 注文? 客席は どこ?
ちょっと戸惑いながらも階段を登る

スタッフさんが 声をかけてくれて ホ

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みんな いつかは なくなる

みんな いつかは なくなる

実家みたいな喫茶店。
マスターが引退した。

最後に訪れたときの 珈琲とアンプレス。
交わした会話を思い出している。

もう一度、と思っていたけれど
結局 それが 最後になった。

もう 会うことも ないのだと思う。

寂しいけれど
そういうものなのだと
それが 喫茶店の距離感なんだよな、と
抗うことはしないで

寂しさも含め
とても 愛しく思っている。

一緒に 働けたこと
実家みたいに 存在

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「ほっ」と ひと息

「ほっ」と ひと息

今日は おやすみ。

自分のために 珈琲を淹れて
久しぶりに「ほっ」としている。
そんな気がする。

鞄から 本を取り出す。
電車の中で読もうと持ち歩いていたけれど
落ちついて読めていなかった本を開いた。
また 最初から。

最近 集中力がないと感じていた。
本を読んでいても
片足しか浸かっていないような。
何を読んでいるのか わからなくなる。

文章を書いても 途中のまま。
note にも 下書

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プロフィール詐欺

プロフィール詐欺

1978年生まれ。
喫茶店で 珈琲を淹れる日常の仕事と
俳優としての活動とをライフワークとし
マイペースに活動。
1978年度生まれの女だらけの演劇ユニット
チタキヨ メンバー。

わたしのプロフィールの文章だ。
これに 主な出演作を加えて。

映画のクラウドファンディング用に
プロフィールを求められて
この文章を送ったところ
(きっと いい意味で) 笑われた。
俳優としてのプロフィールなのに

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喫茶店時間と わたどこと

喫茶店時間と わたどこと

約束の時間まで 1時間以上ある。
その駅には
気になっていた喫茶店があることを思い出し
なんて絶妙なタイミングと 楽しみに向かった。

ちょうどカウンターの真ん中
マスターが珈琲を淹れる窓の前が空いていた。
混み合う休日は受けられないこともあるという
ネルドリップ珈琲を
タイミングが大丈夫だからと受けてくれた。
ネルドリップ目当てだったので嬉しい。
とても優しい 珈琲だった。

控えめに ぽろりぽ

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わたしはわたし。わたしのために。

わたしはわたし。わたしのために。

実家みたいな喫茶店。

3ヶ月ぶり。…。もう3ヶ月か!

ほんとうは
新しい仕事を決めて 軌道にのってから
胸を張って報告に来たかったのだけれど。

テレビ番組で
有名なタレントが絶賛したからと
売り切れが続いていたアンプレスも
今日は まだあるようでホッとする。
評判になっても
やたらと仕入れを増やしたりしない
商売っ気のなさも 嫌いじゃないょ。
だけど わたしが食べられないのは寂しい。

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毎回忘れて  また新しく

毎回忘れて また新しく

この 喫茶店を訪れるのは 何度目だろうか。
安定の お気に入り。

おなかがぺこぺこだったので
唯一のフードメニューのクロックムッシュ。
これしかないって潔い。

選択肢の多さは 楽しさもあるけれど
やたらと迷ってしまったり
あっちのほうがよかったかもと
後に目移りしてしまったり。
ちょっと疲れてしまうことも。

潔いメニューは
変わらずに存在してくれて
無駄なパワーを使わせない。

今日は これ

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10年後に 理想の居場所を。

10年後に 理想の居場所を。

早めに訪れてしまった夏休みが 終わる。
新しい職場で働くことになった。

✴︎

自分を律するのではなく 泳がせた1ヶ月半。
生活リズムは無茶苦茶だし
お酒の量も増えたし
自分の言動に わーーーーとなることもあるけれど
わたしは 元気だ。とても。
そのことに ちょっと感動する。

ここ数年のわたしを支えていた
喫茶店の仕事による日々のルーティン。
ぽーんと放り出された自分が どうなるのか
不安にな

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実家みたいな。

実家みたいな。

わたしの喫茶店歴も
ずいぶん長くなったものだけれど
20年ほど前に 初めて働いた喫茶店は
喫茶店の実家みたいなもので
頻繁にではないけれど 折を見て里帰りをする。

先日も また。
6年半働いた喫茶店を卒業して
これからのことも何も決めていない今
原点に戻って 自分の本音を知りたくて。
そんなときは 実家に帰るに限る。

賑わう店内。
カウンターから離れた席なので
本を読み、音楽を聴き、ぼんやりす

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その愛すべき距離感を 突破するか

その愛すべき距離感を 突破するか

2015年11月から 
この珈琲を淹れている。

2017年9月頃に 今の店に移動して
自分の暮らし方を考えながら
ずっとずっと続いていた日常。

手放すと決めたら
あっというまだった。

残された時間を大切に。
感謝の気持ちで過ごせますように。
そう祈る日々。

とはいえ
天使のような心持ちばかりで
仕事ができるわけでもなく
何も変わらずに日々は過ぎて。

急なことで
お客さまへの挨拶も ままな

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避難所

避難所

冷たい雨。

気を抜いたら
道を間違え いつのまにやら遠回り。
凍えた身体を 緩めたくて。
目についた喫茶店に飛び込んだ。

小さな空間に 
みちみちと人が詰まっていた。

ゆっくり過ごしたいときには
出直すところだけれど
凍えたわたしには あまり時間もなく
次の用事までに 少しでも復活したかったのだ。

カウンターの隙間に収まる。

年配の女性が
なんでもないことみたいに
さらりと淹れた珈琲が

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今よ 永遠に

今よ 永遠に

匂いが
近くまで 戻ってきている。
そんな気がする。

もわもわと立ち昇る湯気に
温かさだけではない
ムオムオとしたものが加わるようになった。
わたしの知っている珈琲の匂いではないけれど
色合いが感じられるのは嬉しい。

日常の ふとした瞬間に
匂い?と 立ち止まる。

レモングラスが感じられるらしく
美容院で不意に流れ込んできた
シャンプーの香りに
わーわーわーと 心が叫んだ。

レモングラス

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欠けている わたしの世界

欠けている わたしの世界

まだ
珈琲の香りは
戻ってきてはくれない。

それでも
わたしは 珈琲を淹れている。

✴︎

味覚障害はないので
(嗅覚が ほぼないので
影響がないとは言えないけれど)
わたしの働く店の
しっかりと濃厚な珈琲は 味わうことができる。
他の珈琲屋さんで
あっさりとしていて 香りが命 みたいな珈琲は
楽しめないこともあるけれど。

自分の淹れた珈琲の味がわかったときには
ホッとした。
香りはな

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