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マインドフルネスの大事なコツ

マインドフルネスの概要については前章をご覧ください。

集中をコントロールできない人のメソッド

マインドフルネスを行う時に必ず起こるのが意識がそれることです。

何かに集中してるはずが、気づけばうわの空になって別のことを考えていた。

誰にでもあります。
心の障害や疾患を抱える人には特に頻繁に起こります。

呼吸のトレーニングで鼻と喉の感覚に集中してたら、人間関係や仕事のミスをが頭をめぐり気を取られる。

思い出したくない過去を思い出し、考えたくない未来を想像する。
それらはごく自然なことです。

大事なのは、何があっても気にしない事です。

気づいたら、何も考えず五感に意識を戻す。

それだけでいいのです。

習慣化していれば「うわの空」になってから「気づく」までの時間が次第に短くなっていくはずです。

…余談ですが、集中力の正体は、「気づく力」です。
集中力のある人は、集中が途切れないのではありません。
途切れたらすぐに気づき、余計なことを考えず対象に意識を戻してるだけです。

最近の脳科学では「サリエンスネットワーク」と呼ばれる脳の器官群と、そこで代謝されるセロトニンが気づく力を司ることが分かっています。

また、瞑想中にそれらが活性化すること確かめられ、マインドフルネスに科学的エビデンスが与えられました。

つい余計なことを考えても、特に気にせず目の前の物事に意識を戻す

これは日常生活で非常に重要なことで、マインドフルとはそういう事です。

自分の意思とは関係なく頭に浮かんでくる思考を、心理学で「自動思考」と言います。

つらい経験をたくさんした人が、ネガティブな自動思考で頭がいっぱいになるのは当然です。

「死にたい」と思うことも意思では制御不可能です。

しかし、問題はそこではありません

ネガティブな考えが頭をよぎった直後に来るのは「二次思考」です。

「またこんなことを考えてしまった。自分は本当にどうかしてる…」
といった類の思考です。

これにより次々とネガティブな考えが頭をよぎり、ループにハマって一日中ストレスを感じてる人は多いと思います。

僕もそうでした。

今でも、「首をくくりたい」という言葉がたまによぎりますが、全く気にしなくなりました。
自分はどうせそんなこと実行するわけないのです。

嫌な経験をしなかった人はいないので、この状態は健常者を含めたごく平均的なものだと思います。

問題の、
自動思考 → 二次思考
の流れをどうにかするため「ポジティブに考えよう」「雑念を捨てよ」と思うこと。
それはまったくの無意味です。

とある料理マンガの一場面ですが、マインドフルネスをシンプルに表現しています

大事なのは気にしない事。

ネガティブ思考をうまく受け流すことですね。

つまり、無意識に考えた内容に意味や価値を与えないこと。

何が頭によぎろうと「いま自分はこんなことを考えたんだなぁ。ふーん」で済ませるマインドが、健康な精神を作るのです。

マインドフルネスでは意識がそれても気にせず集中しなおす訓練です。

くり返すことで、日常でもネガティブ思考の受け流しが徐々に上手くなります。

結果として得られるのは、味わった感情に気づきつつ振り回されない心です。

分かっていただけでしょうか?

過去を思い出してつらい、未来を想像して不安、それは誰にでもあります。

健康な人とそうでない人の違いは、
「嫌な思考がよぎった事」をちゃんと認識できること。

そして、「今ここで何か起こってるわけではない」と認識できることなのです。

同マンガより。包丁で大ケガをしトラウマを負った料理人がそれを克服するシーン

痛みやかゆみを感じた時に

しかし、受け流すのが難しい物もあります。

マインドフルネスの最中にどこかかゆくなったり、ちょっとした痛みを感じることもあるでしょう。

そのときはできる範囲で、かゆみや痛みをまず感じようとして下さい。

そうしてから、掻くなり、姿勢を変えたりをしましょう。

それもゆっくり意識的に身体を動かします。

マインドフルネスの目的は、感情や感覚、そして行動を自然に制御することです。

かゆみや痛みが治まったら、ビフォア・アフターの違いもちゃんと感じ取ってください。

トラウマ治療とマインドフルネス

幼少期にひどいトラウマを負った人を界隈でよく見かけます。

その記憶のフラッシュバックから、過呼吸パニック障害の身体的症状が出る人も多くいます。

そんなものを受け流すことなんて出来るわけない、と思うかもしれません。

そのレベルの深刻な状況を解決するには「認知行動療法」「スキーマ療法」という専門的な治療法に頼る必要があります。

ですが、そういったものには大抵マインドフルネスの考え方が採用されています。

海外の事例では実際のセラピーに入るための前段階としてマインドフルネスのトレーニングを行うことが多いです。

僕自身もストレスの多い家庭環境で育ったので、自覚の薄い小さなトラウマがたくさんあり、それがうつ状態やコミュニケーションの困難につながっていました。

とある臨床心理学の教授に出会い、スキーマ療法を応用したセラピーを受けて解決しました。

トラウマ治療を知りたい人は、臨床心理士の伊藤絵美さんという方の著書を読んでください。

患者向けに治療症例を書いてあるので、とても分かりやすく現実的です。

おわりに(今は亡き先生への謝辞)

僕が最悪の状態から浮上する助けになったのはマインドフルネスであり、その過程は に書きました。

マインドフルネス「瞑想」というものに僕が偏見なく取り組めたのは、むかし母親の縁でお会いしたインド哲学研究者の故・N教授のお陰と思っています。

なので、その先生のちょっとカッコいい言葉を紹介します。

あなたには、敵もなく、味方もなく、過去も未来も一切ありません。

思考や感情はあなたではなく、あなたという空を浮かび過ぎ去る、一つ一つの雲にすぎない。

人間はこの世に楽しみを探すために来て、時折そのことを忘れ、思い出して、それをくりかえし生きている。

T ・N教授


次章からマインドフルネスの具体的な実践方法を詳しく紹介していきます。



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