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(短編連続小説)『リボルバーを胸にウォークマンを片手に』第六話(最終話)
(6) サークルの外で
受話器を上げ、自分でも信じられないくらい冷静に呼び出し音を聴く。やがて男の声がする。「FM東京、リクエスト係です。」
「中村さゆりさんと話がしたいのですが」
「彼女は今、放送中ですが」
「かまいません」
「そっちが構わなくてもね、こっちがだめなんだよ。あんた、なに考えてるの、頭おかしいんじゃないの?」
俺はちっとも腹が立たない。そして言う。「これからそ
(短編連続小説)『リボルバーを胸にウォークマンを片手に』第五話
(5)好きな女と心中しよう
俺は悲しかった。涙が止まらなかった。こんなことなら話しかけなければ良かった。一生、会わないで美しい思い出として胸にしまっておきたかった。いさ子が俺をはめようとした。それも色仕掛けで。何てこった。だれに頼まれたのだ。なぜ、彼女は断らなかったのか。答えは簡単だ。俺に何も感じていないからだ。 俺は悲しみに負けないように全速力で走った。二度と会うもんかと思った。この俺の美しい
(短編連続小説)『リボルバーを胸にウォークマンを片手に』第二話
(2)追われている妄想
銀座を外れるとめっきり人気がなくなる。みんな、さっきのニュースにびびってるのだろうか。救急車のサイレンが遠くに微かに聞こえる。
僕はみじめなクリスマス・ラバーだった。イブを一緒に過ごそうとしていたまゆみから急に断りの電話が入ったのは先週だった。「もう、電話しないでほしいの」と彼女は言った。「あなたは私のことなんかちっとも考えてないわ、さよなら」電話は一方的に切れた。
(短編連続小説)『リボルバーを胸にウォークマンを片手に』第一話
あらすじ俺はクリスマスイブの夜、銀座でおもちゃのレボルバーを拾った。
そしてウォークマンでFMを聴きながらレボルバーのことは忘れて北に向かい歩き出す。
そんな中俺は周囲の不自然さからふと気づく。もしかして俺は監視されているのか?
俺は偶然、学生時代好きだったいさ子に出会う。
でもいさ子が俺をはめようとしていたことがわかり自暴自棄になった俺はFMのDJと心中することにする。
俺はスタジオ目指し