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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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#塾

完璧にしなければ

完璧にしなければ

英語の授業に、ついて行けているでしょうか。無理だったら英語の授業を受けるのをやめようかと……。
 
最近塾に入った生徒の母親が悩みを相談してくる。担当は私である。実に意外だった。その生徒は熱心であり、よくできるからだ。確かに小学校では、聞いたり話したりというのは近年よく指導されている。教科となっているから、きちんと教えられている。ただ、小学校ではライティングについてはあまり強く指導していないようで

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授業のたとえ

授業のたとえ

これは学習塾の話である。教師の立場の話である。子どもたちに、受けてよかった、と思われることを語りたいと思っている。言うまでもないが「ウケて」ではない。
 
テキストを解説するのは当然。書いてあることが分かる。もちろん。それを基にして、問われてきた問題に解答することができるようになる。そうありたい。その連続が、入試合格へと導くことになる。それが目的だ。
 
だが、それで終わりなのか。それが目的かもし

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最後まで戦うべし

最後まで戦うべし

夏期講習も終了が近い。受験生は仕上げの模試があるが、それまでにも小テストの嵐である。時間の長短は様々あれど、監督をしていていつも思うことがある。
 
最後まで書き終わった生徒が、顔を上げて空を見ているのである。もちろん、それまでの緊張感が少しほぐれたというのを咎めるつもりはないし、ほっと一息したことを悪く言うつもりはない。だが、それは一瞬ではなく、「もう書いたもんね、お仕事終わり」とでもいうかのよ

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よそよそしい言葉

よそよそしい言葉

学習塾には、小学一年生のクラスもある。少人数だが、国語では、国語辞典を引くことを教えている。なんといっても、ゲーム感覚で、目指す言葉を探すということを繰り返していく。これで自然と辞典になじんでいくのだ。
 
小学生の国語辞典だが、夏休みとなると、カタカナもようやく読めるというような時期だ。五十音順に並んでいるということも、頭で一度理解していたにしても、実際に探すとなると、どちらが先にあるか混乱して

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信頼関係

信頼関係

入社試験というのは、その学習塾の場合、入試問題を解かされるものだった。2科目と言われたが、算数と数学でもよいらしい。配られたのは、学校名は明らかにされていなかったと思うが、特別な難関校ではない中堅どころの私立中学の算数の入試問題と、福岡県の公立高校の数学の入試問題だった。
 
途中で順に、面接に呼ばれた。私はすでに京都でしばしこうした職に就いていたし、特別若いわけではなかった。が、その経歴が目を惹

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作文は、たのしくかこう

作文は、たのしくかこう

国語の授業の一部で、時折「作文」のカリキュラムがある。いろいろ工夫を凝らした教材があって、それに沿って教えていけばよいシステムにはなっているのだが、通り一遍に教えてそれで終わりなどというふうに考えることは私はしない。
 
相手は小学校中学年以下。学校に入ったばかりの一年生はこれまた特別な技術を必要とするが、ここでは三年生と四年生のときのことを取り上げてみよう。
 
まず大きく板書する。「たのしくか

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問題解決の道

問題解決の道

進学塾でも、面白い授業を展開している。いま社会で話題になっていることを考える授業である。評論的な新聞記事のようなものを題材として、その要旨を理解すると共に、それについてのコメント(小論文)を書いて発表し合うのである。小学校上級生で可能としているから、学年もいろいろだが、四年生も活発に意見を述べる。このような訓練は実によいと思うし、また現実の問題を知るという点でも有意義な体験を重ねることができる。私

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