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破天荒な父。伝説の仙人

僕と父親の、破天荒で少し笑える話です。

■■■ 伝説の仙人 ■■■

これは僕が大学生になった時の話だ。
その頃になると、父は3ヶ月に1回ぐらいしか家に帰ってこなくなっていた。僕はちょっと暇だった。

いつものように大学に行くと、友達から「駅前に仙人が現れる」という話を聞いた。どうやら、テレビでも少し話題になっているらしい。

駅前をよくフラつく父に電話で聞いてみると、「日曜日に駅に行くと、よく見るなぁ」という話だった。

興味を持った僕は友達と一緒に駅周辺をドライブすることにした。

昼から夕方までグルグルと駅を回ってはみるものの、仙人に会うことはできなかった。「しょうがないから、そろそろ帰ろうか」と友達に話しながら、信号で車を止めた時だった。

白い髭をたくわえ、白い装束を着て、杖をつく老人が横断歩道を歩いていくではないか。

「あっ!仙人いた!いた!」

僕が仙人を指差すと、仙人はこっちを向き、こちらに近づいてきた。

「うわ!仙人来た!仙人こっち来た!」

もうテンションは上げ上げだった。

仙人は僕に向かって手を上げると、
「おっ、元気か?」

「・・・お、お父さん!」

駅に現れる仙人とは、僕の父のことだった。

3ヶ月ぶりに再会したが、こんな姿になっていたとは。

父のあだ名は、この日から仙人になりました。

父からは伝説の作り方を学んだ。

続く


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