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マシュマロ
2021年6月22日 05:43
夏が来る、と思うと肩がぎゅっと固くなる自分が溶けて外気と一体化してしまう暑さを思うと気後れしてしまう投げやりになって足を投げ出したくなるような熱風は私をおののかせ、夏、という季節の有無を言わせぬ暴力性から逃げ出す算段をさせる夜気すら私を休ませず、朝が来ると太陽の恒常性にうんざりする季節アイスバーの四隅が直ぐに丸くなるから家までもたなくて、アスファルトの照り返しの中液体になったチョコレ
2021年5月27日 06:00
梅雨が明けたら裸足になって砂上を歩きどこまでも続く砂に埋もれて寝転がりたい沈むからだを横たえれば隣にはあなた日に焼けるからと被った帽子が風に舞う梅雨が明けたらサンダルで街を歩きふわふわで肉球みたいなかき氷を2人で食らいたいさらさらに混じった硬い氷を歯で噛みちぎりきな粉の向こうへ砂を見る霧雨が鳴くから今夜は毛布にくるまり眠ろう窓枠に雨が滲んで紫陽花を濡らすからひとつひとつの
2021年5月28日 05:18
夜空に星を見つけよう喉に流れこむ寒気によろけながら仰け反るとからだをやすやすと包み込む巨大な夜空が黒の中に散らばる点を数えながら余白を思うあなたと眺めた星空の大きさはこれと比べてどうだったか大きくなりすぎた自己を解放するような輝く点は自分を忘れてしまった頃に届く便りのようで日に焼けしまったアルバムの写真を捲る手が止まる夜空をつかまえてあなたへ還る頬に触れた指も冷たく凍えそ
2021年5月30日 06:03
雪降る日にあなたを見つけた拙いヒールの目立つ日に雪降る日にあなたを見つけた煩わしい都会のに泣ける日に赤に染まる鼻筋から真白の息がひとつひとつ零れていった拾って乾かしそっと撫でたい想いに駆られた湿った雪が気だるく降って黒いコートに重みを与えた体温が恒常性を放棄してしまったようだ缶コーヒーの熱さに指先がとろけ、手のひらも赤く染まるあなたの髪がやけに狂おしく積もる雪粒を払
2021年6月5日 07:24
休日の昼下がり、音色の隙間に自分を見つけた外は穏やかに晴れているオレンジ色の光が、フローリングの床に差し込んでいる迂闊にもリピートを忘れたサカナクションの合間に、迷路のような森に迷い込んで途方に暮れている私がいる音の切れ目から入り込んだ理性が、ふと私を真顔にさせたのだいつからだったかもう誰にも撫でられる事のなくなった頭をそっと撫でる捕まえようとすると宙に浮いてしまう自分もは
2021年6月17日 17:02
壊れてしまいそうだからそっと触れようと思ったのに壊れてしまいそうなのは私の方で、意外と強靭なあなたを羨望の目で眺める 人見知りだよと笑ったあなたは他人の目を幾つも盗んで平気な顔をするビオトープが欲しいくせに夏の似合わない格好をして、夏を脱ぎ去ったあなたは誰より秋の似合う顔をするあなたが大好きだという音楽は中庸で平和を奏で、混じり気のないあなたをますます好きになる丁寧すぎる隙のない敬
2021年5月12日 06:14
都会には排気ガスが多いという。そんなの小学生の頃に習っていて、誰でも知ってる。でもここに来るとしみじみ思う。空気がまろやかだな、と。東京に毒されているつもりはないけれど、普段金魚みたいに呼吸する訳にはいかないから、何気なく息してる。提供されたものを、右から左に受け取って。でもここに来ると、東京の空気が刺々しいのだと分かる。やわらかい、と思う。風がやわらかいのだ。余白の多い空がなでる
2021年5月9日 04:00
読みかけの漫画雑誌が床に転がってる。ベットから落ちたらしい。どうして漫画雑誌って転がるとああなるんだろう。くたっとなって、背表紙だけオットセイのように浮き上がって、数ページがうねって折れる。うんざりして床から拾い上げると、キラキラした男の子が目に入った。ああ、この子。既に読み終えていたので、その子の背景まで容易に頭に浮かべられる。その子は中学生の主人公が憧れている、隣りに住んで
2021年4月29日 03:41
ふわりと夢をみるふわりふわりと夢をみるあなたは夢に出てこないおかしいまだ寝てないのかしら意識がそこに向かないの?遠くに飛ばした風船を取りに行くのとあなたが言った細い手首のあなたならそのまま浮いて帰れるとくるりと宙を舞うくるりくるりと立ち泳ぐ黒くて長いあなたの髪がぐるんぐるんと渦をまく目が覚めたら常に一緒ゆらりゆらりと戯れる
2021年4月15日 07:29