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文芸寄せ集め

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自分の記事の中から詩と掌編小説を寄せ集めました。
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#私の作品紹介

詩)夏のさざめき

詩)夏のさざめき

夏が来る、と思うと肩がぎゅっと固くなる
自分が溶けて外気と一体化してしまう暑さを思うと気後れしてしまう

投げやりになって足を投げ出したくなるような熱風は私をおののかせ、夏、という季節の有無を言わせぬ暴力性から逃げ出す算段をさせる

夜気すら私を休ませず、朝が来ると太陽の恒常性にうんざりする季節

アイスバーの四隅が直ぐに丸くなるから家までもたなくて、アスファルトの照り返しの中液体になったチョコレ

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詩)梅雨が明けたら

詩)梅雨が明けたら

梅雨が明けたら裸足になって砂上を歩き
どこまでも続く砂に埋もれて寝転がりたい
沈むからだを横たえれば隣にはあなた
日に焼けるからと被った帽子が風に舞う

梅雨が明けたらサンダルで街を歩き
ふわふわで肉球みたいなかき氷を2人で食らいたい
さらさらに混じった硬い氷を歯で噛みちぎり
きな粉の向こうへ砂を見る

霧雨が鳴くから今夜は毛布にくるまり眠ろう
窓枠に雨が滲んで紫陽花を濡らすから

ひとつひとつの

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詩)あの夜空を

詩)あの夜空を

夜空に星を見つけよう

喉に流れこむ寒気によろけながら仰け反ると
からだをやすやすと包み込む巨大な夜空が

黒の中に散らばる点を数えながら余白を思う
あなたと眺めた星空の大きさはこれと比べてどうだったか

大きくなりすぎた自己を解放するような輝く点は
自分を忘れてしまった頃に届く便りのようで
日に焼けしまったアルバムの写真を捲る手が止まる

夜空をつかまえてあなたへ還る
頬に触れた指も冷たく凍えそ

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詩)雪降る日に

詩)雪降る日に

雪降る日にあなたを見つけた
拙いヒールの目立つ日に
雪降る日にあなたを見つけた
煩わしい都会のに泣ける日に

赤に染まる鼻筋から
真白の息がひとつひとつ零れていった
拾って乾かしそっと撫でたい想いに駆られた

湿った雪が気だるく降って
黒いコートに重みを与えた

体温が恒常性を放棄してしまったようだ
缶コーヒーの熱さに指先がとろけ、手のひらも赤く染まる

あなたの髪がやけに狂おしく
積もる雪粒を払

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詩)音楽の切れ間に

詩)音楽の切れ間に

休日の昼下がり、音色の隙間に自分を見つけた

外は穏やかに晴れている
オレンジ色の光が、フローリングの床に差し込んでいる

迂闊にもリピートを忘れたサカナクションの合間に、迷路のような森に迷い込んで途方に暮れている私がいる
音の切れ目から入り込んだ理性が、ふと私を真顔にさせたのだ

いつからだったか
もう誰にも撫でられる事のなくなった頭をそっと撫でる

捕まえようとすると宙に浮いてしまう自分
もは

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詩)ゲリラ豪雨

詩)ゲリラ豪雨

壊れてしまいそうだからそっと触れようと思ったのに壊れてしまいそうなのは私の方で、意外と強靭なあなたを羨望の目で眺める

人見知りだよと笑ったあなたは他人の目を幾つも盗んで平気な顔をする

ビオトープが欲しいくせに夏の似合わない格好をして、夏を脱ぎ去ったあなたは誰より秋の似合う顔をする

あなたが大好きだという音楽は中庸で平和を奏で、混じり気のないあなたをますます好きになる

丁寧すぎる隙のない敬

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掌編小説「薔薇に包まれる」

掌編小説「薔薇に包まれる」

都会には排気ガスが多いという。そんなの小学生の頃に習っていて、誰でも知ってる。
でもここに来るとしみじみ思う。空気がまろやかだな、と。

東京に毒されているつもりはないけれど、普段金魚みたいに呼吸する訳にはいかないから、何気なく息してる。
提供されたものを、右から左に受け取って。

でもここに来ると、東京の空気が刺々しいのだと分かる。
やわらかい、と思う。風がやわらかいのだ。
余白の多い空がなでる

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掌編小説「隣りのお姉さん」

掌編小説「隣りのお姉さん」

読みかけの漫画雑誌が床に転がってる。ベットから落ちたらしい。

どうして漫画雑誌って転がるとああなるんだろう。
くたっとなって、背表紙だけオットセイのように浮き上がって、数ページがうねって折れる。

うんざりして床から拾い上げると、キラキラした男の子が目に入った。

ああ、この子。
既に読み終えていたので、その子の背景まで容易に頭に浮かべられる。

その子は中学生の主人公が憧れている、隣りに住んで

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詩)ふわりと夢を

詩)ふわりと夢を

ふわりと夢をみる
ふわりふわりと夢をみる

あなたは夢に出てこない
おかしいまだ寝てないのかしら
意識がそこに向かないの?

遠くに飛ばした風船を
取りに行くのとあなたが言った
細い手首のあなたなら
そのまま浮いて帰れると

くるりと宙を舞う
くるりくるりと立ち泳ぐ

黒くて長いあなたの髪が
ぐるんぐるんと渦をまく

目が覚めたら常に一緒
ゆらりゆらりと戯れる