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美しいゆめ⑦【創作小説】
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「拝啓 柳田時生様。一人で旅に出ると決めた事。どうかお許しください。私はあなたを愛しています。愛しているからこそ、これ以上あなたとはいられないのです。この矛盾が不器用な私の最大の愛だと言う事。あなたには分かると信じています。初めて会った日からあなたは私に愛を与え続けてくれていましたね。私が背負った運命を知った時、あなたは泣いてくれました。目が覚めた時は絶対に隣に居ると言って、最後まで本当に隣
美しいゆめ⑥【創作小説】
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私達はそれからの日々を曖昧なまま過ごした。知らないことは沢山あって過去についてはほとんど話さなかった。今を着実に重ねていれば、愛は育める。そしてその愛の形に名前は必要なかった。
出会ってから5、6年経つとほとんど一緒に住んでいるような状態になった。時生は自宅に撮影スペースを併設していて(時生は業界では有名なプロのカメラマンだった。)2人で生活するには十分な家に住んでいた。仕事が終わると週に4