自分自身とこの青について④【創作小説】【創作大賞2024応募作】
溢れ出ることのない海を、溢れ出そうとする気持ちに気づかないふりしながら、じっと見ていた。静かでひんやりとしたジュンさんの家は、雨の音をより一層悲しいものにする。慣れ親しんだあの青い海が、ずっと遠くに感じる。あの日は確かに、今日のような雨だった。古傷がズキズキと痛む。
ジュンさんは日が昇るのと同じくらいに家を出た。「今日は雨だからお客さんは入らないだろうなー」と眠そうな顔で嘆いて。
ジュンさんはサーフボードを主に取り扱うお店を経営している。私がここにきてからはお店を閉めていたら