【生存戦略】被虐児たちの生きるための戦略とは?

生きるために戦略を練るのは大人なら普通にやっていることですね。どうしたら食べていけるか、これは人間だけでなくあらゆる生命体に共通の課題です。しかし子どもがこれをやっているとなると話は別で、過酷な人生が待ち受けています。

こんにちは。時々表現される愛着障害の「生存戦略を練る」 とは、どういったことでしょうか。競争社会なので、誰しも子供の頃からある程度は意識しはじめるとは思うのでが。友達作りは苦手だけど勉強は得意だから沢山読書しようとか、勉強はダメだけど運動は大好きだからクラブでレギュラー目指そうとか。

高間しのぶの質問箱より

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

【お返事】愛着障害の子どもの生存戦略とは、質問者さんのあげてくれた例よりももっと、生存に密接に関わってくるものを指します。生きるか死ぬかに直結した戦略ですね。

■オプションの戦略

質問者さんのあげていただいた、たくさん読書しよう、レギュラー目指そうというのはオプションみたいなものです。生きることに余裕がある子どもたちの戦略ですね。

友だち作りは苦手とか勉強はダメというのは、生きることに直接結びつくものではありません。それらが苦手であったとしても、家庭でのびのびと育てられていれば、自由に不登校させてもらえていれば、子どもはわざわざ生きる戦略を練らなくても、すくすくと成長するでしょう。

■生存戦略とは

そうすると生存戦略とはどういうものかが見えてきます。一言でいうと【親からの虐待から生きのびるための戦略】ということです。

  • 性的虐待を受けている場合は、できるだけ実家に帰らずに友だちの家を転々としよう(危険からの回避)

  • ネグレクトがひどい場合は、給食だけは出席するようにしよう(親の育児放棄への対応)

  • 心理的虐待がひどい場合は、できるだけ遅くまで外で遊んでいよう(親の背筋も凍る笑顔からの回避)

  • 社会的(情緒的)ネグレクトの場合は、児童館行ったら友だち以外にも、できるだけおばさんと接しよう(情緒交流の欠損を補うため)

そんな戦略ですね。

■50m潜水か?100m潜水か?

たとえれば、50m潜水して泳いで、ようやく息継ぎのために浮上するようなもの。息たえだえの息継ぎです。浮上に失敗すると、あと50m余計に潜水していかなければなりません。気絶するか溺れるかの瀬戸際を潜水していきます。

そんな死と隣り合わせの瀬戸際を生きている子どもたちがいるのです。

■基本的信頼感を補うためのもの

心理学的に言い換えると、生存戦略のすべては、基本的信頼感 (Basic Trust) の欠如から来る戦略です。欠如している信頼感を補うためのものが生存戦略です。これがオプションの戦略とは決定的に違うところです。

■まとめ

生存戦略とは、

  • 親からの虐待を生きのびるために取る、子どもたちの戦略です。

  • 基本的信頼感の欠如を補うための、子どもたちの戦略です。

□楽器練習のYouTube|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェのテーマは…YouTubeだけで楽器練習ができるか?詳細はラジオをお聴きください。

■他の助けを求めるのもいいでしょう

あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。

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