虐待されていることを伝えて初めて治癒は始まる|いつ、何を言うか?!
下記▼の記事に対して、スタエフのレターをいただきました。下記の記事の「被虐児のこころ」の部分についてのご意見です。この記事で一番伝えたかったことは、「虐待されている子どもは、自分が虐待されているとは思っていない。自分が悪い子なんだと思っている」ということです。ここを救済するために「あなたの親は悪い人ではないけど、分かってなかったね」という「ウソ」を、心理職の人は言いましょう、というふうにつながっていきます。
虐待問題の継続性について|どのくらい虐待が継続したら虐待といえるのか?
いただいたレターをご紹介します。レターの趣旨としては、「虐待する親も悪い親とはいえないのではないか」ということです。これはとても優しいご意見だと思います。同意できる点はありますが、それでも、伝えないといけないことをお伝えしようと思って、この記事を書きました。
※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼
※この記事は、スタンドFMのレターに来た質問を深掘りして回答したものです。
■ウソをつく必要性
心理職の「あなたの母親は悪い人ではないけれど、分かっていないね」というメッセージは、母親を「良い人だった」ということは言ってはいませんね。
「悪い人ではない」というのはウソなんです。本当は悪い人といいたいのだけれど、それでは子どもの逃げ道を封鎖してしまうので、それはやらない。だからウソをつく。これはカウンセラーのやさしさであり、被虐児の尊厳を守っている行為なのです。
「悪い人ではないけれど…」この文言には、いい人とはいえないね、というニュアンスがあることはお分かりになっていただけると思います。子どもを刺したり、継続的にぶんなぐったり、暴言を吐いて気持ちよくなっていたりする親は、普通に考えても、いい人とは言えません。
でも悪い人なんて大上段(だいじょうだん)にいうのは、子どもの親へのファンタジーを木っ端みじんに吹き飛ばすので、そんなこともできません。そこで、「あなたの母親は悪い人ではないけれど分かっていないね」というウソの混じったメッセージになるのです。
このウソは心理士の良心と言ってもいいでしょう。この記事のアイキャッチ画像のような面持ち(おももち)で、ウソのような本当の話を直球で伝えるのです。
■ファンタジーは壊れないといけない
再度確認しておきたいことは、愛着障害からの回復は2つのことが必須です。その2つのこととは
①母親は愛着を結べない人だったという理解
②自分の安心感を自分で構築していく作業
①は、ファンタジーの崩壊ですね。虐待という複雑性PTSDを乗り越えていくためには、「母親は悪くない、私が悪かったのだ」というファンタジーが壊れることが必要です。ですから、タイミングをみて、できるだけ早いうちに、しかし焦らず、虐待があったことを、そして母親に知能の問題があること、あるいは重度な精神疾患ゆえに愛着が繋げなかったことを告知する必要があります。
この告知では、カウンセラーは、それはもう悪役を演じるしかないでしょう。「母親はヘンだった」ということを直球で投げる必要があるからです。
相談者から恨まれつつ、カウンセリングという場が壊れないように、進めます。緊張あるセッションが続きますが、それを持ちこたえさせるのが、相談者のカウンセラーへ対する信頼です。
ですから告知までの間に、早急に信頼関係を構築する必要があるでしょう。
▲ここですが、子どもが安住の地を見つけるには、母親へのファンタジーが壊れていないとできません。親は「いい人」のままでは安住の地は見つからないのです。
確かに、貴重な経験をしたことによって普通の人では到達できない、こころの高みに達することはあるかもしれません。しかしそれには、まず①ファンタジーが壊れること、そして次に②分厚い安心感を構築していく作業が必要なのです。
ファンタジーを壊さず、親との関係性が修復してハッピーエンドを願うのは、虐待を経験したことのない、普通の愛着の中で育ってきた人です。愛着のない世界がどれほどのものか、愛着の中で生きられた人は想像すら難しいのです。そういうことを支援者は肝に銘じておく必要があるでしょう。
行政(児相)では家族再統合という言葉が独り歩きしていますが、虐待されてきた家庭へ帰される子どもの身になって考えろ、と言いたくなります。再統合を目指して家庭へ帰されて結局虐待死に至った例はたくさんあります。
話しが少しずれました💦元へ戻します。
親の脳機能の問題については、別の方(誰かは分かりませんが、どうも私のクライエントさんのようです)からこんな感想▼を質問箱にお寄せいただきました。みなさんとシェアしたいと思います。
虐待に関する脳機能の問題は、知的障害(軽度から境界知能、そして稀に、普通域に至るまで)から重度の精神疾患(統合失調症や躁うつ病)に陥っている人々が該当するでしょう。
■ダブルファンタジーは、母性の復活ではなく双子との出会い
ダブルファンタジーとは、私が著書「孤独と愛着」で用いた用語です。一度壊れたファンタジーが復活するようにみえる状態をダブルファンタジーと呼びました。あれから5年たって、このダブルファンタジーの実態がだんだんと見えてきたので、ここにひとまず報告しておきます。
ファンタジーの復活にみえるようなものは、双子のカメレオンとの遭遇によって喚起される歓びである。
その歓びの中に、母との壊れたファンタジーのかけらも混じっていく(かもしれない)。
ダブルファンタジーとは、双子自己対象(同じ影をもった同士)との関係を示す。
双子との生活が中心となって、これまでの人生が再度総括されていく感じです。その中に母親との虐待生活も総括されていきます。ここではもう母親のことは何とも思っていません。そんな人がいたな…その程度です。
■まとめ
あなたの親は悪い人じゃないけど、いい人でもなかったね、ということをどうやって子どもに伝えていくかが、心理職の腕の見せ所。ちゃんとウラを取りながら、親の実話を拾いつつ、カウンセリングで小出しにしていく。
親へのファンタジーは壊れないと治癒が進まない。子どもは「親ではなく自分が悪い」と思っている。そのために、心理職はファンタジーを壊すという悪人の役目を負うことになる。
親へのファンタジーが壊れると、双子のカメレオンが現れて、彼らとの交流の中に親のことも混じっていく。だからダブルファンタジーとは親へのファンタジーの復活ではなく、双子との交流の賛歌である。
■他の助けを求めるのもいいでしょう
あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。
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