見出し画像

ASDの妻に苦悩する夫の話が少ない理由は?|男女比の違い、夫側の問題もあるかも

ASD夫の奥さんがカサンドラで苦悩する話は、本やネットにいっぱいありますが、ASD妻の旦那さんの話が異常に少ないのは何故でしょうか。
妻がASDの方が、旦那さんがキレてしまって手を上げてしまったら大ごとになります。また子どもへ愛着形成する主たる養育者の母親がASDですと、子どものカサンドラの重症度合いが大きくなるから問題だと思うのですが。

ソレア質問箱より

※今回の記事はラジオでも視聴できます。テキストを見ながらどうぞ▼

※この記事は、Twitterの質問箱に来た質問を深掘りして回答したものです。

ASDの妻のことで相談にくる夫が少ないーこれは不思議ですね。わたしにも質問者さんのいうような実感はあります。男性カサンドラの話は少ないですね。

ASDの母親は子育ても大変です。子ども自身も大変です。なぜならASDの度合いが高くなると虐待へ発展することもあります。ASDの母親が子育てをするとき、母親に知能の問題はないのに自閉っぽさが際立っていて、子どもの生育環境に社会的ネグレクト状況を作り出しているということはあり得るのです。もう少し男性カサンドラの相談があってもよさそうなものです。

なかにはASDと診断されているけれど、それでも成人期の母親のように子育てができている母親もいます。

こんなふうにASDというのはスペクトラム、幅があるのですね。

ASD妻をもつ旦那さんの情報が少ない理由は、わたしが見ている限り、次のようなことが絡み合っての結果なのかもしれません。

  • 自閉症の男女比は4倍~8倍、女性より男性のが多い

  • 男性は相談しないことが多い

  • 男性側が、学童期か被虐の場合、相談しないことが多い

男女比からするとASD夫が圧倒的に多いのがおもな理由ですが、男性側が相談しないケースも多いということです。順を追って解説します。

■ASDの男女比

ASDは男性が多いというのは多くの論文が指摘しています。

女児の場合、より重度の自閉症であることが多いように見える。自閉症児の男女比は全体で4対1だが、知能を考慮すると、その差はさらに顕著になる。知能がより高い水準では、男女比が8対1~10対1になる、と専門家は指摘する。(ウォールストリートジャーナル)

https://jp.wsj.com/articles/SB10001424127887324826304578468022782321746

男の子に多く見られ、男女比は約8:1です。(ハートクリニック)

https://www.e-heartclinic.com/kokoro-info/special/speech_13.html

このように男性のASDが圧倒的に多いわけです。ですから妻がASDで夫がカサンドラになる確率は低いわけですね。

そして女性のASDはより重症化するというのも注目箇所でしょう。つまり虐待事例になることが多いということです。

またどうして男性がASDになりやすいかということですが、男性型脳という仮説があります。国立特別支援教育総合研究所の記事を引用しておきます。この論文では、共感するのが女性型脳、システム化するのが男性型脳としています。現時点では仮説です。

英国の自閉症研究者であるバロン・コーエンは「自閉症は極度な男性型脳(EMB : extreme male brain)」仮説を提唱しています。バロン・コーエンは、特に脳の「システム化機能」と「共感機能」に注目して、それぞれに関する質問紙を開発し「システム化指数(SQ : systemizing quotient)」と「共感指数(EQ : empathy quotient)」を多くの男女を対象として調べています()。さらに自閉症の人を対象にこれらの指数を出して、定型発達の人たちと比較した結果を示しています()。
(*)Baron-Cohen, S., Knickmeyer, R.C., Belmonte, M.K. : Sex Differences in the Brain: Implications for Explaining Autism. SCIENCE, 310(4), 819-823, 2005.

https://www.nise.go.jp/cms/6,4134,13,257.html

■男性は相談しない

ソレアのWebサイト訪問数をGoogleアナリティクスでみると、男女比は1:2です。こちらも女性のほうが2倍多いですね。女性のほうが受診行動につながりやすいのです。

■精神発達の影響で相談しないことがある

男性が成人学童期あるいは思春期心性(愛着不全)、被虐(愛着障害)の場合、ASD妻のことを相談しない場合があります。

愛着不全の人は怒りの問題を抱えているため、ASD妻に対して怒りを爆発させて、ともすればDV夫の立ち位置に堕ちてしまうことがあります。あくまでもASD妻が悪いであって自分が悪いわけではないのです。DVをしてしまう自分を変えるために相談にくることもありません。

ASD妻のことでカサンドラ相談には来ませんが、別の人間関係などで相談に来る場合があります。そういう場合はAC相談としてやってきます。ACの一部に愛着不全の人々がいるのです。

愛着障害の人も、同じようにASD妻に怒りを爆発させることもありますが、こころの交流をパートナーに求めた自分が悪かったのだという、自分への怒りがあります。この気持ちを表現することはなくても、自分のパートナーとの感情生活は最低ラインでいいという意識があるのです。

「最低な自分は変えなくてもいい、それが自分の人生だから似合っている」とニヒルに諦めている(ようにみえる)ところがあって、それゆえ相談にくることもありません。

しかし愛着不全と同様、他のことで相談に来る場合があります。自分のDV相談ではなく、他人や子どもとの人間関係に悩んで来られます。

■まとめ

  • ASDの比率は、男性:女性=4:1 ~ 10:1 と圧倒的に男性が多い。だからカサンドラ相談は女性からのものが多い

  • 女性がASDだと重症化している場合が多く、虐待事例に発展することも。

  • 愛着不全や愛着障害の夫は、妻のASDのことで相談にこないことが多い

□ソレア質問箱|ラジオおやすみカフェ

今日のラジオおやすみカフェのテーマは…今週リリースしたソレア質問箱について。詳細はラジオをお聴きください。

  • 質問箱の回答は常時アップデートします。この改訂によって質問リストの最上段にリストし直されます。旧質問が上のほうにリストされ直しているときは改訂したんだなと思って再読ください。

  • ユーザー登録がうまくいかないときは、ニックネーム(アルファベット)、メールアドレスを info@solea.me まで送ってください。こちらで手動登録し、パスワードを送らせていただきます。

■この記事に興味を持った方は、ソレア心理カウンセリングセンターをLINE登録ください。登録いただいて「プレゼント希望」とメッセージを送っていただけると、「歌と心理学」の小冊子をもれなく差し上げます。下のQRコード(を長押しして)から、あるいはソレアのトップページ(https://solea.me/)からご登録ください。▼


ソレア心理カウンセリングセンターをLINE登録する

■Twitter でも発信しています。フォローいただくと、発信ばかりでなく質問箱への質問やそのQ&Aを見ることもできます。【Twitter】→ https://twitter.com/soleapsy

#催眠 #瞑想 #毒親 #HSP #愛着障害 #愛着不全 #発達障害 #カウンセリング #悩み #人間関係 #メンタル #アダルトチルドレン #自分らしく生きる #子育て #あたらしい自分へ #自分にとって大切なこと #人生 #育児 #いま私にできること #自分と向き合う #ラジオ #健康 #幸せ #家族 #心理学 #コーチング #生活 #メンヘラ #自己肯定感 #うつ病 #生きる #マインドフルネス

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?