目標を達成するための「待つ、備える」が苦手です|目標は達成しなくても良いです
目標は達成するためのものではなく、気づいていたら達成していた、結果的にそうなっていた、という自由さがあったほうが達成できているという経験のある人は少なくないと思います。
そうであっても目標にこだわるのは従順すぎるし、あなたを要らぬストレスへ放り込む原因にもなります。この目標にこだわることを2つの視点から解説します。
愛着の視点から
心理発達の視点から
今回ソレア質問箱にいただいた質問からご紹介します。
ご自身で書かれているように、目標を「達成」しなければならないという気持ちが強すぎるのではないでしょうか。達成という亡霊に憑りつかれているのです。
現実的に考えると目的など達成しなくてもいいんですよ。途中で別の目的にシフトしてもいいし、やり始めてもつまらなくなったらやめてもいいのです。それをやり抜く必要もありません。なぜなら達成は、目的ではなく結果でしかないのです。気が付いたら達成していた…その程度のものと覚えておきましょう。
※ラジオではちょっと違う視点から話しています。音声とこのテキストの両方ご視聴いただくと広い視点から理解が進むかもしれません▼
■愛着不全の人に聞こえる声
声が聞こえるといっても幻聴のことではありません。そう言われているような気がする、その程度のことで、これはどの人にもあります。普通の人でも内省中に頭の声が聞こえたりします。質問者さんが書いていただいている「早く、早く」と急(せ)かす声には、大きく分けると次の2種類あります。
➊親からの声
➋社会からの声
質問者さんは➊親から急かされているように感じているようですね。これは愛着不全の人に多いです。その人たちの親は「待てない親」ですね。子どもは親にじっくりと待ってもらって、自分のペースを尊重してくれる体験を重ねることで、自分のいる世界が安全に満ちていて、自分は肯定されているのだということを学んでいきます。自信もここから生まれてきます。
急かされる状態ですと、この安心感、肯定感が育っていきません。最初は肯定感があったかもしれませんが途中で失速状態になります。つまり家族としての機能が十分に働かなくなります。これが機能不全家族です。➊は愛着不全の人に特徴的な声と言えるでしょう。
それでは➋社会から急かされる声とはどんなものでしょうか。
それは「勤勉であれ、忍耐強くあれ、謙虚であれ」というような、一人前の社会人になることを要求してくる声です。➋は成人になったばかりの人、社会に放りこまれて間もない成人期の人の前に立ち現れてくる声といえるでしょう。9割の人は経験している声ですね。
■自分を縛る価値観からの離脱|ラクダから獅子へ
質問に戻ります。目標達成なんぞを目的としたら、それこそとても窮屈な人生になってしまいますよ。あなたはもっと自由に生きていいのです。世の中で成果を出さなければいけない、お金を稼がないといけない、そんな一般的な社会的な自分に縛られている必要はありません。
上のようなことがニーチェの哲学書「ツァラトストラ」に書かれています。ラクダから獅子になるくだりです。
◇ツァラトストラの「ラクダ、獅子、子ども」とエリクソンの心理発達理論
ニーチェは三様の変化を考えました。3つの変化とはつまり、ラクダ→獅子→子ども。この順番で人間は変化・成長していくといいます。1つづつ解説していきましょう。「心=身体」の声を聴く(泉谷閑示, 青灯社)を参考にしています。
ラクダは勤勉、忍耐、従順、謙虚などの象徴であり、現代風にわかりやすく言えば「一人前の社会人」に相当します。通常はこれが人間の在るべき姿だと考えられています。このラクダは既存の価値観によって支配されています。この段階では、まだ「自由」を獲得していません。エリクソンの心理発達段階でいうと、社会人になった成人期1期(成人期:25~40歳)に相当します。
既成の価値観に支配されているラクダはそれに耐えかねて獅子へ変身します。自分という在り方を獲得し、自分の世界を自由に生き始めます。「~すべき」から「~したい」という主体的な存在に変身します。エリクソンでいうと、成人期2期(中年期:40歳~65歳)に相当します。
最後に獅子は子どもに変身を遂げます。純粋性や無垢なるタマシイ、新しいものを創造する象徴としての子どもです。「あるがまま」に生き始める、成人期3期(老年期:65歳以上)に相当します。
老年期を子どもとする最も創造性豊かな時期と考えると、未来も明るくなりませんか☺老年期は、エリクソンでは「統合」がテーマですが、老年期は基本的信頼感を再確認する時期でもあります。これは乳幼児のときに馴染んだテーマです。それを再度繰り返して、最終的にはその信頼感を切ってこの世から旅立つとされています。ですから、老年期にニーチェのいう子どもが登場するのはあながち突拍子のないこととも言い切れないのです。
つまりニーチェの三様は、エリクソンの成人期以降と呼応しているということがお分かりでしょう。
■第三反抗期を経て獲得する自由|中年期の課題
精神科医の泉谷閑示は、ラクダを脱して獅子の時代を生きることを第三反抗期と呼んでいます。これをエリクソン的に解釈すると、中年期のアイデンティティの再構築になります。青年期に完成させたアイデンティティをもう一度壊して、もっと自由でフレキシブルなものに立て直す、リフォームする時期です。40代~50代ですね。中年期のテーマは「世話」ですが、それを達成しつつアイデンティティにも手当てしていく重要な時代になります。
ここで3つの反抗期をまとめておきましょう。
第一反抗期(イヤイヤ期)と第二反抗期(思春期)は母親からの離脱
第三反抗期(中年期)は自分を縛る価値観からの離脱
どれも自由を回復させるための反抗ですね。
■達成を捨てよう
「達成できないと親に見捨てられる」という愛着不全傾向の強い人は、達成にこだわる傾向があります。こんな人への行動指針としては、達成ということは考えずに取り組むことだと思います。
達成という亡霊が出てくるのは、あなたの思考の仕業(しわざ)です。頭の支配に流されないこと。こころ(感情)と身体(感覚)を回復させることです。ともすれば思考がよろよろと忍び寄ってくるでしょう。その都度、自由を回復しようと試みれば、あなたのこころは嬉しがって躍動的な毎日をすごせるでしょう。
身体=感覚が一番仲良しなのが「自然」です。自然の中で五感をたっぷりと働かせること。これによって感情がイキイキと躍動しだすでしょう。こころの底にあるフタが開放されて、深い感情がわき出してくるでしょう。
これこそ人間回帰といえるのではないでしょうか。
ここで今回のまとめをしておきます。
■「早く、早く」と声が聞こえる対処法~3つのポイント
✅目標は達成しなくてよい
✅「早く、早く」は親の声かもしれないし、社会からの声かもしれない
✅この声を消すには獅子(トラ)になること(ニーチェ)。これは中年期の課題(アイデンティティの再構築)でもある。
■他の助けを求めるのもいいでしょう
あなたが愛着の問題を抱えている場合は、自分の物語を十分に話せる臨床心理士などの専門家に相談するとよいでしょう。もし、いまのカウンセラーがいまいちと感じるのなら、別のカウンセラーを探しましょう。あなたにとって良いカウンセラーはあなたの一生の財産になります。あなたのカウンセリングがうまくいきますように。
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