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短歌(和歌)と散文

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2023年4月の記事一覧

社会によって人間を失格させられる男。発表以来、特別な心の支えとして多くの人に愛されてきたというこの小説はしかし、私を救わない。

最後のマダムの言葉が、もしその結論なのだとしたら――。

この黒々とした不気味な小説を、私は一人で抱えていられない。

誰かと心を分かち合いたい。

小さいけれど大切なお知らせ

小さいけれど大切なお知らせ

『Art of Life I: 生きるための遺書』と題した私の文学作品の第一部が完結に近づいています。これまでは完成したところまでを無料記事として公開して来ましたが、第一部の完結という一つの節目を迎えるにあたり、今後適当な時期に全編を有料化する予定です。

本作品は、芸術家として、人間として、私が生きられるためには是が非でも書き上げ、世に訴えなければならない作品の一つです。これまで執筆を続けなが

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【和歌】優しい光に包まれるとき🦄

【和歌】優しい光に包まれるとき🦄

碧眼の青年はしもてカレー食ふ木もれ日やさし神宮のもり

吹く風に少しずつ初夏の香りが漂い始めた、ある晴れた日のこと。折にふれて訪れていた神社で参拝を無事に済ませ、境内に設けられた食堂で休んでいると、隣のテーブルでは青い目の青年が一人、懸命に箸を使ってカレーライスを食べていた。いかにも食べ辛そうであったけれど、彼はむしろ誇らしげな表情をしていた。

日本文学研究者の故キーン・ドナルド氏は、初めて日

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【短歌】明日から制服を脱ぐその前に🦋

【短歌】明日から制服を脱ぐその前に🦋

明日から制服を脱ぐその前に下の名前で呼んで先生

制服を着た女子にしかできない恋というものが、あるように思います。まるで命が絶えてしまうような苦しさと、世界をすべて薔薇色に塗り替えてしまうような喜びと。彼女たち自身にとっても、以降の人生において再びは味わうことができないかもしれない、不器用でも真っ直ぐで、自らを燃やしてしまうように激しい感情。

男子校という馴染めない環境で、かけがえのない十代を

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【短歌と詩】もしも愛してくれるなら

【短歌と詩】もしも愛してくれるなら

初めから人生なんてなかったよわかってくれる人などなくて

もしもあなたが私を愛してくれるなら
ごめんね こんな言葉しか出てこなくて

あまりにも痛々しくて きっと
あなたの心まで傷めてしまう
誰より苦しめたくないあなたなのに

でも これが私のほんとう

あまりにも酷くて 怖いから 
誰も想像すらしてくれない

でも私は 
 今もあなたの目の前で息をしている
 この私は
本当にそれに耐えて来た

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【短歌】令和5年春の自撰

【短歌】令和5年春の自撰

主に先月と今月詠んだ歌をまとめました。

単純にこの期間に作った歌を集めたもので、形式的にも内容的にも、何らかの統一性を持たせようとはしていません。現代語で詠んだものもあれば、古語で詠んだものもあります。内容も本当に、本当に様々です。

実際は昨年詠んだ秋の歌も入っています。その歌を詠んだ当時と同じ気持ちを再び痛切に経験することが今春にもあったため、あえて再びここに取り上げました。性愛を題材とした

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