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大学入試/進路指導関連

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私が書いた入試や進路関係の記事のまとめ。九州の受験事情も。
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#仕事について話そう

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

「何になりたいかより何が好きかで進路を語れよ!」

元ネタは以下です。ちなみにワンピースではありませんのでご注意ください。

冗談はさておき、担任として面談や進路指導中に生徒の希望進路や志望動機を聞いていると「○○なりたい」ということが先行しているケースがよくあります。

私の場合、そうしたケースに遭遇した場合、生徒にその進路について再考するようにということ、そして何をしたいかということをもう一度考えるように促しています。

なりたい職業ベースの進

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「始めに過去問ありき」

「始めに過去問ありき」

教員は授業を行うだけが仕事でありません。

具体的には教科担当だけでなく担任として、生徒の大学受験に向けての学習をマネジメントを行っています。
(事務仕事などももちろんありますが)

大学受験を目指す生徒(特に高3に上がってすぐの生徒や、難関大学に向けて受験勉強を始めた生徒)との面談やホームルームでの声掛けで常に口にするのが

「始めに過去問ありき」

という言葉です。

どのぐらいの知識を要求さ

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「偏差値」で大学を選ばせないという担任、進路指導担当者の矜持

「偏差値」で大学を選ばせないという担任、進路指導担当者の矜持

生徒の進学指導を行うとき、「偏差値」で大学の良し悪しを論ずる風潮は非常に強いです。

もちろん、高偏差値大学に記憶力や論理的思考力の優れた学生が多いことを否定はしません。

実際、私の勤務校の卒業生を見てもその傾向はありますし、方々から聞こえてくる話からも同様です。自身の経験則から考えても、それほどずれた認識ではないでしょう。

「偏差値」とは何かでは「偏差値」とは何でしょうか。「偏差値」の定義を

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志望大学が決まらない生徒への進路指導

志望大学が決まらない生徒への進路指導

私は私立高校の教員として、生徒の進路指導に関わっています。

私が担当するのは主に進学、それも4年生大学への進学を考える生徒がほとんどです。

そのため必然的に大学で学ぶことや、そこからの就職に関して情報を収集し、全体に向けてアナウンスしたり、個別に相談を受けて助言したりしています。

大学は4年間ではなく、その先10年を見据えるべき大学進学を考える生徒には常に10年後を考えるようにアドバイスをし

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なぜ進学校の教員は浪人を勧めないのか

なぜ進学校の教員は浪人を勧めないのか

私は私立高校の教員をしています。私の勤務校でもそうですし、いわゆる「自称進学校」と呼ばれる学校の先生の多くは生徒が現役で進学することを勧める傾向があります。

こうした傾向に対し、YouTubeやSNSなどで「生徒の気持ちを分かっていない」、「視野が狭い教員だから地元の国立しか知らない」、「予備校に手柄を取られたくないのだろう」といった批判が多いようです。

しかし、浪人を勧めないという理由はそう

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無償化が必要なのは「大学」ではなく「大学院」

無償化が必要なのは「大学」ではなく「大学院」

一昨年前から「高等教育の修学支援新制度」(大学無償化)が実施されています。

所得制限が現状では所得制限が厳しく、多くの人が利用できる制度ではないものの教育機会の平等化に大きく貢献する制度と言えます。

しかし、それと比較して大学院への進学に対しての支援はいまだ充実しているとは言えない状況です。

どうにかなる大学の学費以前書いた記事でも紹介しましたが、学生支援機構の奨学金(実質は借金ではあります

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看護系大学進学への基礎知識

看護師志望者は想像以上に多い私の勤務校には看護師を志望する生徒が複数います。

全国でも女性の新卒者の10人に1人は看護師資格を取得していると言われており、非常に多くの人が選択肢に考える進路です。

九州は土地柄、医療系の志望者が多いのが特徴です。特に女子生徒の看護、医療系志望者の割合は非常に高いです。

これは九州の男尊女卑が残る文化や高所得な職業が少ないということが原因とも言われますがどうなの

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「貧しいからこそ、四年制大学に奨学金を利用してでも進学すべき」という考え方

多くの学校と同じように、私の勤務校にも多様な生徒が在籍しています。

そうした生徒達を送り出し、その後の彼らの人生の続きを伝え聞くたびに、四年制大学へ進学すべきと強く感じることがあります。

高卒と大卒の収入や社会的立場の差その理由として挙げられるのが、高卒と大卒の生涯賃金の大きな格差です。

私が最初に送り出した生徒はすでに30半ばを迎え、今の時点でも卒業後の進路によって経済格差は広がっているの

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大手予備校校舎削減に見る大学受験業界の群雄割拠時代の到来と学校教員に求められるもの

大手予備校校舎削減に見る大学受験業界の群雄割拠時代の到来と学校教員に求められるもの

駿台校舎削減のニュース先日、大手予備校の一角を担う駿台予備学校が首都圏の小規模校舎を中心に閉校しているというニュースが話題になりました。

ここ数年、大手予備校が苦戦しているという話は業界では話題になっていました。

私の勤務校に通う現役生の場合、大手に通っている生徒はほとんどいないのが実情です。

もちろん、私の勤務校から大手予備校までは多少の距離があるため、以前からそれほど多いわけではありませ

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「進学ガイダンス」に見る、オンラインの弱点

「進学ガイダンス」に見る、オンラインの弱点

本日、私の勤務校の高校3年生は業者主催の進路ガイダンスに参加しました。

これは就活時の合同説明会のように、各大学や専門学校がブースで個別相談会を行うというものです。

ここ数年は感染症の影響であまりきちんと実施されていませんでしたが、今回は数年ぶりに大規模な実施がありました。

やや無理矢理に参加を促した私の担任のクラスの生徒には半ば強制的に参加を勧めていました。

なぜならば、現在の高校3年生

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「一学年80万人」となる時、大学全入時代は来るのか?

減少し続ける18歳人口先日出生数が81万人という過去最少を記録していたことが話題になりました。

教育業界に身を置く一人としては、少子化はダイレクトに影響する問題です。

特に18歳人口は仕事上の影響が大きい数値になります。勤務校の入学者数にも関係しますし、何より大学進学に関して直接的なデータとなるからです。

最近は100万人強が18歳人口とされていたので、20年後はさらに2割減少することになり

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一般入試は本当に平等で公平か

一般入試は本当に平等で公平か

私の勤務校では、そろそろ推薦型や総合型選抜の準備が始まる時期です。

この手の筆記型で無い試験に対して抵抗感のある人は多いようです。

教員の中でも賛否が別れます。

自分が努力して一般入試で大学に行った人ほど、批判的に考える傾向があるように感じます。

筆記試験が平等的に見えるそれと比べると、筆記試験は一見すると極めて平等なシステムに見えます。

学力は努力をしなければ身につきませんし、実際、高

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