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#自由律俳句

【詩】鬼子

【詩】鬼子

ひとは言う ありのままの姿を見せてと
それがどんな意味なのかも知らずに

自分と同じようにかわいいだろうと信じている
愛せるから大丈夫と信じている
鬼なんて存在しないと、信じている

そう思える幸せを守るために
鬼は鬼であることを隠しているんだぜ

傷つけたくないから隠しているのに
ひとはやたら暴こうとしてくる
そしてわかった途端、
傷つけられたと喚き散らかす
ひとの方がよっぽど恐ろしいと思ってし

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【詩】惑星ちがい

【詩】惑星ちがい

 
ぼくは別の惑星の住人だと思う
 
みんなが起きている時、ぼくは寝ている
みんなが寝ている時、ぼくは起きている
みんなが悲しんでいる時、ぼくは喜んでいる
みんなが喜んでいる時、ぼくは悲しんでいる
みんなが笑っている時、ぼくは黙っている
みんなが黙っている時、ぼくは笑っている
 
きっと任務に選ばれたんだ
この惑星の住人について知りなさいって
ここに来たときの記憶がない、そんな状態さ
でないと辻褄

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【詩】いちごみるく

【詩】いちごみるく

甘い香りはあなたを笑顔にさせる
優しくて可愛くてほんとに良い子
体にはいちごみるくが流れているのよと言ったら信じてもらえたそ自分

いちごもみるくも流れていません。

毎日いちご50粒、みるく800cc、砂糖大さじ30、練乳大さじ10
必死で作ってあなたにあげている
本当は、身体の中心に黒い塊があって
それが生み出した
マグマみたいな血しか流れていない
可愛くて甘い香りなんかしない
あなたの笑顔が

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【詩】傷跡

【詩】傷跡

死が訪れる系の映画やドラマ、漫画を見ていて思ったのですが、絶対いなくならないでほしい人がいなくなった時、人は悲しいを超えてただただ“痛い”のではないかと思ったんです。残された人はすごく苦しそうな顔をしていて、悲しそうというより“痛そう“だと思いました。もし自分がそういう状況に置かれたら、こんな気持ちになるのかもしれないって想像して書いた詩です。
(縦書きに挑戦してみました。画面に表示するのむずいな

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【詩】大切なきみ

【詩】大切なきみ

傷つけてもまた愛せば元通りになると思っている、元通りになるから大丈夫だろうと思っている、そんな人は軽蔑していいと思う。

逆だよ。一度傷つけたら愛なんて届かない。
届いたとしても、それによってさらに傷つけてしまうんだよ。
元通りなんかならない。絶対に。

だからきみは怒っていいんだ。
弄ばれて良いほど、きみの命は軽くない。

大切なんだ。大切なんだよ。

自分で思うのは難しいかもね、だからぼくが、

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【詩】虫の夢

【詩】虫の夢

毒を吐く害虫から生まれた私は、
果たして人といえるのだろうか。

人になるために
優しさを真似して、笑顔を練習して、
動きを合わせて溶け込んで。

温かい飲み物を飲んで血を温めて、
体温が元に戻らないよう努める。 

なりたい。人になりたい。

でもなれない。

全部、模倣にすぎないからだ。

必死に人に近づこうとするその時点で
人では無い気がしてならない。

真似しようとする度に
自分は違う生き

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【詩】窃盗犯

【詩】窃盗犯

ココロのピースを一つ奪い去る  

どこにいったのか君は探す

ぼくは、一緒に探すフリをする。

気づかない君

そのままでいてね

ずっと一緒に

ぼくと探し続けようね

行き場を失ったピースだけ持っていても

意味ないからね

【詩】バケモノの唄

【詩】バケモノの唄

今日もバケモノ達は嫌われる
誰かを傷つけ壊すから
誰かの不幸など気に留めない
むしろ笑って嬉しそう
みんなバケモノを消したがる
生きてる価値は無いのだから  
消えて欲しいと唾を飛ばす

でも一度だけ、
バケモノの中を覗いてみよう。

バケモノの中には
小さな幼い子どもがいる
その子どもは
ぶるぶる震えて、泣いている。
アザだらけの体でうずくまり
ぶるぶる震えて泣いている。
助ける人など誰もいない

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女性による虐殺の言葉

女性による虐殺の言葉

・細いの羨ましい!
(肉付きがいいの羨ましいと言ってはいけない)

・胸が大きくて羨ましい!
(小さいの羨ましいと言ってはいけない)

・可愛いの羨ましい!
(少し不細工なの羨ましいと言ってはいけない)

・モテるの羨ましい!
(モテないの羨ましいと言ってはいけない) 

多数派の羨ましいが少数派の羨ましいを押し潰す。
強力な圧力で日々弾圧を受けている。
これは異常だ。

政府の方々、異常事態宣言

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【詩】あなたに問う。

【詩】あなたに問う。

私はあなたのことがわからない。
あなたも私のことがわからない。
それでいいのだ。
同じように見えても全く違う生き物だから、
わからなくて当然なのだ。

なのになぜ、あなたは無理矢理わかろうとするのか。
なぜ、わかった気になろうとするのか。
ただ共に在る、それで良いではないか。
決してわかりはしないが、自分とは違う生き物もいるのだと、そう思うだけで良いではないか。

あなたよどうか落ち着いてくれ。

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【詩】陸にいる子

【詩】陸にいる子

流れていく季節の波に
自分は乗れてないって思う瞬間、
目の前には
波に乗り渡っていく人たちの
色鮮やかな光景が広がっている。
それをぼくは、ただ、見ている。
すごいな、楽しそうだなって
黙って眺めている。
煌めく波と、自分がいる陸との間に
はっきりとした柵があって
波には乗れないくせに水はかかってくるから
ただ濡れて冷える。
ココロと身体が、じわじわ湿って冷えていく
そんな場所に、ぼくは、いる。

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【詩】星降る夜に

【詩】星降る夜に

流れ星に世界平和って願い事するようなあなたは、とてもかわいい。
流れ星は神様だと思っているからかわいい。

流れ星にお願い事をするなんて、そんな酷いこと私にはできません。

あなたが願って、綺麗だったねってこちらを振り向いた瞬間、何かが一つ消えたかもよ。

流れ星が綺麗なのは、今から消える者達のエネルギーに吸い寄せられているから。犠牲があるから。

考えすぎだと、埃を吹き飛ばすように笑うあなた。な

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【詩】冬霧

【詩】冬霧

冬の日が好きだ。
命の尊さを、最も感じられる季節だから。
呼吸が見え、
赤くなった頬と指先からは血液が見え、 
冷たくなった唇と身体から、死が見える。

夏の日は、きみの命が感じられない。
熱く燃えるような身体は、
ただ屍が炎を纏いながら踊っているようにしか見えない。
生と死が両方見える、そうしてはじめて、
きみは生きているんだねって思える。
そう思えるのが冬の日だけなんだ。

今はその日、きみの

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